中学受験の算数の図形と場合の数|平面・立体・相似の対策

科目別勉強法

算数の答案を見ると、計算問題は取れているのに、図形と場合の数だけ点が伸びない。中学受験で、そんな偏りに気づく家庭は少なくありません。この2分野は入試で毎年のように問われるうえ、苦手にする子が多い単元です。

とはいえ、図形も場合の数も、センスがないから解けないわけではありません。つまずく場所はある程度決まっていて、覚えるべき型と演習の積み方をそろえれば、点数は後から動きます。

この記事では、平面図形・立体図形・相似・場合の数のそれぞれで、何を型として覚え、どう演習を回すかから、過去問で得点力を伸ばす進め方までをまとめました。お子さんがどこで止まっているかを思い浮かべながら読み進めてみてください。

まずは、図形と場合の数でつまずきやすい単元と、対策の方向を一覧で示します。

つまずきやすい単元 よくあるつまずき 対策の方向
平面図形 補助線が引けず手が止まる 代表的な補助線を型として覚える
立体図形 頭の中で形を追えない 展開図と見取り図を書いて確認する
相似 相似比と面積比を混同する 2乗の関係を固定して覚える
場合の数 数え漏れと重複が出る 樹形図で全体を書き出す

平面図形の対策

平面図形は、角度や面積を求める問題として毎年出題される基本分野です。ここでは、公式の固め方から補助線の引き方、面積の求め方までを解説します。

平面図形は角度と面積の基本公式を先に固める

平面図形でまず必要なのは、角度と面積の基本公式を正確に使えることです。三角形や四角形、円の面積を求める式が曖昧なままだと、補助線を引いても最後の計算までたどり着けません。図形が苦手だと感じる子ほど、公式の抜けが原因になっていることは少なくありません。

公式そのものは数が限られているので、意味とセットで覚えれば定着します。図形は生まれ持ったセンスより、覚えた型の数で差がつく分野だからです。まずは基本公式を、一度も迷わず書き出せる状態を作りましょう。お子さんに公式を口で説明してもらい、詰まった式だけを繰り返し確認すると、抜けが早く埋まります。

Q. 図形のセンスがないみたいで、これから伸びるのか不安です。
A. 図形は、生まれ持ったセンスより、補助線や公式の型をどれだけ覚えているかで差がつきます。型を増やせば後から伸びるので、まずは頻出のパターンを覚えることから始めてみてください。

補助線は代表的な引き方を型として覚える

補助線が引けずに手が止まるのは、平面図形でもっとも多いつまずきです。補助線は思いつきで引くものではなく、平行線を足す、垂線を下ろす、対角線を結ぶといった代表的な引き方が決まっています。頻出の形ごとに、どの補助線が有効かを型として覚えておくと、初めて見る問題でも手が動きます。

覚え方は、解けた問題の補助線を色を変えてなぞり、なぜそこに引いたのかを一言で言えるようにすることです。同じ形が出たときに、同じ線を引けるかどうかで定着を確かめられます。過去に解いた問題を見返し、補助線の意図を説明できるかを確認してみましょう。まずは頻出する10ほどのパターンを、繰り返し引く練習から始めてください。

面積は分割と等積変形で求め方を増やす

複雑な図形の面積は、1つの解法だけでは行き詰まることがあります。図形をいくつかの三角形や長方形に分ける方法と、面積を変えずに形を動かす等積変形を、どちらも使えるようにしておきます。求め方の引き出しが増えるほど、当日に手が止まる場面は少なくなるでしょう。

たとえば、斜めに欠けた図形は、全体から余分な部分を引くやり方と、分けて足すやり方の両方で解けます。同じ問題を2通りで解いてみると、自分に合う解き方が見えてきます。答えが合っていても、別の求め方がなかったかを一度考える時間を取りましょう。1つの解法で満足せず、複数の道筋を持つ意識を育ててください。

立体図形の対策

立体図形は、平面の上で立体を思い描く必要があり、苦手にする子が多い分野です。ここでは、展開図と見取り図の使い方から、体積・水量・切断の問題までを解説します。

立体は展開図と見取り図を結びつけて形をつかむ

立体図形でつまずく多くは、頭の中だけで形を追おうとして混乱する場面です。立体は、平面に開いた展開図と、組み立てた見取り図の2つの見方を行き来してつかみます。展開図のどの面が、組み立てたときにどこへ来るのかを対応づけられると、形の理解が安定します。

練習では、実際に紙で展開図を組み立て、頂点や辺に印をつけて対応を確かめると効果的です。手を動かして確かめた経験は、図だけで考えるときの支えになります。まずは立方体や直方体の展開図で、面と面の対応を言葉で説明できるようにしておきましょう。慣れてきたら、頭の中で組み立てる練習に少しずつ移してください。

体積と表面積は切り口を書いて求める

体積と表面積の問題は、頭の中だけで処理すると面を数え落としがちです。複雑な立体ほど、底面や切り口を図に書き込み、どの面をどう足すかを目で追える状態にします。書き出すひと手間が、数え漏れや重複を防いでくれるのです。

組み合わさった立体は、いくつかの基本の立体に分けて、体積を足し引きすると求めやすくなります。表面積では、隠れて見えない面を数え忘れないよう、面ごとに印をつけて数えます。焦って暗算に頼らず、面を1つずつ確認しながら求める手順を体に覚えさせましょう。手順が固まれば、複雑な立体でも落ち着いて処理できます。

水を入れる問題は水面の高さで区切って考える

容器に水を入れる問題は、水面の高さと水の量の関係を追う出題です。容器の形が途中で変わると、同じ量を入れても水面の上がり方が変わります。水面がどの高さにあるかで場面を区切り、区間ごとに底面積を確かめるのが基本になるのです。

グラフつきの問題では、傾きが変わる点が容器の形の変わり目に対応します。グラフと容器の図を並べて、どの区間がどの部分かを線で結ぶと関係が見えてきます。区間を分ける線を先に引いてから、区間ごとに計算する順で解き進めてください。全体を一度に処理しようとせず、区間に分けて考える習慣をつけましょう。

立体の切断は切り口の頂点を順につないで作る

立体の切断は、切り口がどんな形になるかを正しく描けるかで決まります。切り口の頂点は、同じ面の上にある点どうしを順に結んでいくと作れるのです。異なる面の点をいきなり結ばないというきまりを守るだけで、切り口の形が安定して描けます。

平行な面には平行な切り口の線が現れる、という性質も合わせて使うと精度が上がります。立方体の代表的な切り口を、三角形から六角形まで一通り描いておくと本番で迷いません。まずは頂点を結ぶ順番を声に出しながら、切り口を描く練習を重ねましょう。描き方が身につけば、初めての立体でも切り口を予想できます。

図形の相似の対策

相似は、形が同じで大きさの違う図形を扱う単元で、高学年の図形問題で急に増えます。ここでは、相似の見つけ方と、比の扱いで起きるミスの防ぎ方を解説します。

相似はピラミッド型と蝶ネクタイ型で見抜く

相似の問題は、まず図の中から相似な三角形を見つけられるかで差がつきます。よく出るのは、底辺が平行なピラミッド型と、頂点で交わる蝶ネクタイ型の2つの形です。この2パターンを覚えておくと、複雑な図でも相似の三角形を素早く抜き出せます。

見つける練習では、平行線の記号や等しい角に印をつけ、どの三角形とどの三角形が相似かを言葉にするのです。形が見えれば、対応する辺がどこにあるかも自然に決まってきます。初めは図の中の相似を色分けして、2つの三角形を取り出す作業を丁寧に行いましょう。ピラミッド型と蝶ネクタイ型を探し出す練習を、繰り返してみてください。

相似比と面積比は2乗の関係で取り違えない

相似で最も多いミスは、相似比と面積比を同じ数のまま計算してしまうことです。相似比が2倍なら面積比は4倍になるという2乗の関係を、はっきり区別して覚えておきます。長さの比と面積の比は別物だと意識するだけで、失点が大きく減るのです。

体積が絡む問題では、相似比の3乗が体積比になる関係も合わせて押さえておきます。比を使う前に、今求めているのが長さか面積か体積かを一度確認する癖をつけると安全です。まずは相似比・面積比・体積比の対応を、自分で表に書き出して覚えましょう。比を使うたびに、どの比を使うのかを声に出して確かめてください。

場合の数の対策

場合の数は、数え方の工夫で差がつく分野で、数え漏れや重複が失点に直結します。ここでは、樹形図の使い方から順列と組み合わせの区別、道順の数え方までを解説します。

場合の数は樹形図で数え漏れと重複を防ぐ

場合の数でつまずく原因の多くは、数え漏れと同じものの重複です。式で一気に求めようとする前に、樹形図で起こりうる場合を枝分かれとして書き出します。全体を目で見える形にすると、抜けている場合や重なっている場合に気づけるのです。

書き出す順番を決めておくことも、漏れを防ぐうえで役立ちます。小さい数から順に、あるいは左から順にと、並べ方を固定すると数え落としが減るでしょう。同じものを二度数えていないかも、書き出した図の上で確かめられます。書き出しに慣れてくると、式を使うときの見通しもよくなります。まずは答えの数が少ない問題を、樹形図で最後まで書き切る練習から始めてみてください。

順列と組み合わせは順番の有無で区別する

場合の数の式でつまずくのは、順列と組み合わせのどちらを使うかで迷う場面です。判断の基準は、選んだものの順番が結果に関係するかどうかにあります。並ぶ順で別のものとして数えるなら順列、順番を問わないなら組み合わせを使います。

POINT

場合の数は、数える前に「順番が関係あるか」を必ず確認する。順番ありは順列、順番なしは組み合わせと決めてから式を選ぶ。

たとえば、3人が横に並ぶ方法は、並ぶ順で別々に数えるので順列になります。3人から2人の係を選ぶ方法は、順番を問わないので組み合わせです。同じものを選ぶ場合でも、順番を数えるかどうかで答えは何倍も変わります。この判断が先に決まれば、式で迷う時間が大きく減ります。問題を読んだら、まず順番が関係するかどうかに印をつける習慣をつけましょう。

道順の問題は交差点に数を書き込んで数える

道順の数を求める問題は、公式に頼るより書き込みで数えるほうが確実です。スタートから各交差点まで、そこへ行く道順が何通りあるかを順番に書き込んでいきます。ある交差点の数は、左と下の交差点の数を足したものになります。

この足し上げのやり方なら、通れない道や遠回りの条件があっても対応できるでしょう。公式が使えない変則的な地図でも、1つずつ足していけば答えにたどり着きます。まずは格子状の地図で、交差点に数を書き込みながらゴールまで数える練習をしてみましょう。数の足し方が身につくと、条件つきの道順にも慌てず対応できます。

場合の数は書き出しと計算を場面で使い分ける

場合の数は、いつも計算で求めればよいわけではありません。数が小さいときは、樹形図で書き出したほうが速く、確実に数えられます。数が大きく書き出しきれないときに、順列や組み合わせの計算へ切り替えるのです。

どちらを使うか迷ったら、まず少しだけ書き出してみて、規則が見えたら計算に移る方法もあります。書き出しで感覚をつかんでから式にすると、立式のミスにも早く気づけます。問題ごとに、書き出しと計算のどちらが速いかを見極めて選ぶようにしましょう。使い分けができると、時間の使い方にも余裕が生まれます。

図形や場合の数を含む、算数全体の学習の進め方は別の記事でまとめています。

中学受験の算数の勉強法|苦手単元の潰し方と計算力の鍛え方

中学受験の算数が伸び悩むわが子に向けて、受験算数の特徴と学年別の進め方を見ていきます。苦手単元の潰し方から、計算力の鍛え方、過去問の使い方ま…

過去問を使った演習の進め方

図形と場合の数は、覚えた型を演習で使って初めて得点に変わります。ここでは、基本の反復からミスの記録、過去問での時間配分の練習までを解説します。

演習は基本問題を反復してから応用へ進む

演習は、いきなり難しい問題に挑むより、基本問題の反復から始めるほうが伸びます。基礎が固まらないまま応用に手を広げると、解けない経験ばかりが増えて自信を失います。まずは各分野の基本問題を、迷わず解けるようになるまで繰り返すのです。

基本が安定してきたら、少しずつ応用や過去問へ段階を上げていきます。土台ができていれば、難しい問題も既に知っている型の組み合わせとして見えてきます。基本の正答率が安定してから応用へ進む順番を守って、演習を組み立てましょう。焦って難問に飛びつかないことが、遠回りに見えて近道になります。

科目をまたいだ勉強法の基本は、こちらの記事も参考になります。

中学受験の科目別の勉強法|4教科の配点比重と優先順位の付け方

中学受験の勉強方法を、4教科の全体像からつかみたい保護者に向けた記事です。4教科の配点の比重、科目別の勉強法の要点、インプットから過去問まで…

ミスは原因を記録して同じ間違いを繰り返さない

図形と場合の数の力を伸ばすうえで欠かせないのが、ミスの記録です。つまずきの多くは、同じ種類のミスを何度も繰り返すことで生まれます。間違えた問題は、計算ミスなのか、型を知らなかったのか、原因を短く書き残すのです。原因が分かれば、次に同じ場面が来たときの対策が具体的になります。

注意

解けた問題も、次に同じ補助線や数え方を再現できるとは限りません。解き直しをせずに問題数だけ増やすと、同じ場所で何度もつまずきます。

解き直して初めて、その問題は自分の得点になるという意識が大切です。間違えた問題は、日を置いてもう一度、何も見ずに解けるかを確かめます。記録がたまるほど、お子さんの弱点が具体的に見えてきます。まちがいノートを作り、同じ原因のミスが減っているかを定期的に見直しましょう。

過去問は時間を計って解く順番を決める

過去問は、力試しであると同時に、時間配分を練習する場でもあります。本番と同じ制限時間を計って解き、時間内にどこまで取れるかを確かめるのです。図形や場合の数は時間がかかりやすいので、解く順番をあらかじめ決めておきます。

得意な分野や短時間で解ける問題から先に手をつけると、取れる点を確実に積めます。難しい1問に時間を使いすぎると、解けるはずの問題を落としかねません。過去問を解いたら、時間配分と解く順番がよかったかまで振り返るようにしましょう。振り返りを重ねると、本番で崩れにくい解き方が身につきます。

過去問で相性を確かめたら、志望校の選び方をまとめた記事も合わせて読んでみてください。

中学受験の志望校の選び方|7つの軸と第一志望・併願校の組み方

中学受験の志望校を偏差値だけで決めてよいのか迷う保護者に向けて、志望校の選び方の軸を見ていきます。校風や大学進学実績、通学時間といった判断基…

まとめ

中学受験の算数で出やすい図形と場合の数は、センスではなく型と演習で差がつく分野です。平面図形では基本公式と補助線の型を、立体図形では展開図と見取り図の対応を先に固めます。相似は2つの形で見抜き、相似比と面積比の2乗の関係を取り違えないことが失点を防ぎます。

場合の数は、数える前に順番が関係するかを決め、樹形図で漏れと重複をなくします。どの分野も、基本を反復してから応用へ進み、ミスは原因を記録して解き直すことで得点に変わります。過去問では時間を計り、解く順番を決めて練習しましょう。

まずは、お子さんが止まりやすい単元を1つ選び、その型を覚え直すところから始めてみてください。

あわせて読みたい関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました