中学受験の漢字と語彙の覚え方|出題傾向と読解に効く関係

科目別勉強法

中学受験の勉強の中で、漢字と語彙は後回しにされがちな分野です。読解や算数に時間を取られ、漢字の練習は寝る前に少しだけ、という家庭も多いはずです。けれど漢字と語彙は、努力がそのまま点数に変わる数少ない分野です。

とはいえ、ただ書いて覚えるだけの練習では、なかなか身につきません。四字熟語や慣用句まで含めると量が多く、どこから手をつければいいか迷ってしまうものです。

この記事では、中学受験の漢字の出題傾向と効率的な覚え方から、四字熟語・慣用句・ことわざといった語彙の覚え方、そして語彙が読解に効く関係までをまとめました。わが子の国語の学習を見直す手がかりとして読み進めてみてください。

中学受験の漢字の出題傾向

漢字の問題は、中学受験の国語で毎年安定して出される分野です。配点は大きくないものの、確実に得点できる部分として合否に響きます。ここでは、中学受験の漢字がどんな形で問われるのかを見ていきます。

中学受験の漢字は書き取りと読みが中心に問われる

中学受験の漢字は、書き取りと読み取りの2つが出題の中心になります。書き取りは、ひらがなの文を読んで正しい漢字に直す形式です。読み取りは、漢字に振り仮名を付ける形式が多く見られます。どちらも単独の一字ではなく、熟語の形で問われるのが一般的です。

出題される形式は学校ごとに幅があります。部首や画数、同じ読みで意味の違う漢字を問う学校もあります。次の表に、よく見られる出題形式をまとめました。漢字の問題は、まず出題形式を知ってから対策を選ぶと効率が上がります。志望校の過去問を見て、書き取りと読みのどちらが多いかを先に確かめてみてください。

出題形式 問われ方
書き取り ひらがなを漢字に直す
読み取り 漢字に振り仮名を付ける
部首・画数 漢字の成り立ちを問う
同音・同訓異字 意味で使い分ける

漢字の配点は国語全体のおよそ1〜2割を占める

漢字と語彙の問題は、国語の総得点のうちおおむね1割から2割を占めます。読解問題に比べれば、配点は小さく見えるかもしれません。しかし、努力がそのまま点数に結びつく数少ない分野です。読解の記述問題のように、部分点で揺れることがありません。

覚えた漢字は、本番でほぼ確実に得点へ変わります。1問あたりの配点は小さくても、積み重なれば合否の分かれ目になるでしょう。特に難関校では、受験生の得点が接近しやすくなります。漢字の失点をなくすだけで、順位が動くこともあるでしょう。まずは落とせない分野として、毎日の学習に漢字を組み込みましょう。

出題される漢字は小学校の学習範囲を超える場合がある

中学受験で出る漢字は、小学校で習う範囲だけにとどまりません。学校によっては、小学校では学ばない漢字や読みが出ることもあります。難関校ほど、新聞や説明文でよく使う言葉から出題する傾向があります。習っていないから解けない、では済まないのが実情です。

とはいえ、範囲外の漢字を手当たり次第に覚える必要はありません。過去問を数年分見れば、その学校がどのレベルまで問うかがつかめます。頻出する漢字には一定の傾向があり、そこを優先すれば無駄が減ります。まずは志望校の過去問から、出題レベルの見当をつけてみてください。

中学受験の漢字の効率的な覚え方

漢字は、ただ何度も書けば覚えられるわけではありません。限られた時間で定着させるには、覚え方そのものを見直す必要があります。ここでは、中学受験の漢字を効率よく覚える方法を紹介します。

漢字は意味と用例をセットにして覚える

漢字を覚えるとき、字の形だけを何度も書く方法は効率がよくありません。意味がわからないまま手を動かしても、記憶は長続きしないからです。その漢字がどんな言葉で使われるかを、例文とセットで覚えるほうが定着します。「絶」なら「絶対」「絶望」のように、熟語で意味ごと頭に入れましょう。

意味と結びついた漢字は、書き取りでも読みでも思い出しやすくなります。文の中でどう使うかを知っていれば、同じ読みの漢字とも取り違えません。同じ漢字を使った熟語を2つか3つ並べて覚えると、意味の幅も一緒に頭に入ります。単語帳を作るときは、漢字の横に短い例文を添えておくとよいでしょう。

注意

漢字ドリルをただ写すだけの練習は、手が疲れるわりに頭に残りません。10回書き写す前に、その漢字を使った短い文を1つ作るほうが記憶に残ります。作業の量ではなく、意味とのつながりを優先してください。

書き取りは間違えた漢字だけを繰り返す

書き取りの練習では、すべての漢字を平等に練習する必要はありません。すでに書ける漢字を何度も書くのは、時間の無駄になります。一度テストをして、間違えた漢字だけを集めて練習するほうが効率的です。できない漢字に時間を集中させれば、同じ勉強時間でも定着する数が増えます。

間違えた漢字は、専用のノートに書き出しておくと管理しやすくなります。数日おきに解き直し、書けるようになったものは消していきましょう。自分が間違える漢字だけを残した苦手ノートが、直前期の最強の教材になります。まずは一度全範囲をテストし、書けない漢字をあぶり出してみてください。

読みは熟語のまとまりで覚える

漢字の読みは、一字ずつばらばらに覚えるより熟語のまとまりで覚えます。同じ漢字でも、熟語によって読み方が変わることが多いからです。「生」という字は「生活」「生涯」「一生」で読みが違います。一字だけを見て読みを覚えても、実際の問題では通用しません。

熟語で覚えておけば、初めて見る言葉でも読みを推測しやすくなります。音読みと訓読みの区別も、熟語の中でのほうが自然に身につくでしょう。送り仮名のつく訓読みも、言葉ごと声に出すと間違えにくくなります。読みの練習をするときは、必ず熟語の形で声に出して確認しましょう。

部首と成り立ちから漢字の意味を推測する

漢字は、部首や成り立ちを知ると意味を推測しやすくなります。部首は、その漢字がどんな意味の仲間かを示す手がかりだからです。「氵(さんずい)」が付く漢字は、水に関係する意味を持ちます。「海」「河」「湖」のように、部首から意味の見当がつくのです。「木」を含む漢字なら、植物や木材に関わる意味だと推測できます。

成り立ちを知っていれば、初めて見る漢字でも意味を大きく外しません。難しい漢字を丸暗記する負担も軽くなります。同じ部首の漢字をまとめて覚えると、記憶の効率も上がるでしょう。漢字辞典で気になった字の成り立ちを調べる習慣をつけてみてください。

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中学受験で狙われる語彙の種類

中学受験の語彙問題では、漢字だけでなく決まった言い回しも問われます。四字熟語や慣用句、ことわざは、それぞれ問われ方に特徴があります。ここでは、中学受験で狙われる語彙の種類を見ていきます。

四字熟語は意味と成り立ちをそろえて問われる

四字熟語は、漢字4字で1つの意味を表す言葉です。中学受験では、意味を答える問題と空欄に漢字を入れる問題が中心になります。「一石二鳥」や「四苦八苦」のように、由来のある熟語がよく出るのです。数字を含むものや、反対の意味の漢字を組み合わせたものが目立ちます。「半信半疑」のように、対になる言葉を重ねた熟語も頻出です。

成り立ちを知っておくと、意味を思い出す手がかりになります。由来に物語がある熟語は、その話ごと覚えると忘れにくくなります。次の表に、語彙の3つの種類と特徴をまとめました。まずは四字熟語から、意味と使う場面をセットで覚え始めてみてください。

種類 特徴
四字熟語 漢字4字で1つの意味を表す 一石二鳥
慣用句 複数の語が結びつき別の意味になる 手を焼く
ことわざ 教訓や知恵を短い言葉にする 急がば回れ

慣用句は体の部位を使った表現から押さえる

慣用句は、いくつかの言葉が結びついて元とは別の意味を表す言い回しです。中学受験では、体の部位を使った慣用句が特によく出ます。「手を焼く」「足を洗う」「顔が広い」などが代表例です。言葉どおりの意味ではなく、決まった別の意味を持つのが特徴でしょう。

体の部位ごとにまとめて覚えると、記憶が整理されて思い出しやすくなります。「目」「手」「足」といった分け方で一覧にする方法が有効です。同じ部位でも複数の意味を持つ慣用句があるため、例文で確かめます。まずは出やすい体の部位の慣用句から、意味を覚えていきましょう。

ことわざは似た意味と反対の意味で分類する

ことわざは、昔からの教訓や知恵を短い言葉にまとめたものです。中学受験では、意味を選ぶ問題や似た意味のことわざを結ぶ問題が出ます。「急がば回れ」「善は急げ」のように、生活の知恵を表すものが中心になるのです。物語や説明文の中で、たとえとして使われることもあります。

出題では、意味の取り違えを誘う選択肢が用意されがちです。似た言葉でも意味が反対のことわざがあるため、注意が必要でしょう。使う場面を思い浮かべると、意味の違いが記憶に残りやすくなります。ことわざは意味だけでなく、どんな場面で使うかまで一緒に覚えましょう。

語彙を効率よく覚える方法

語彙は数が多く、やみくもに覚えようとすると途中で息切れします。種類ごとに分けて覚えると、少ない負担で多くの言葉が定着します。ここでは、語彙を効率よく覚える方法を紹介します。

語彙は意味と例文をセットにして覚える

語彙は、言葉だけを丸暗記しても実際の問題では使えません。意味と、その言葉を使った例文をセットで覚える必要があります。「気が置けない」は、油断できないという誤解が多い言葉です。本来は、気をつかわずに付き合えるという意味を表します。例文の中で正しい意味を確かめておくと、取り違えを防げるのです。

例文とともに覚えた語彙は、読解問題で出てきても意味がすぐ浮かびます。記述問題で自分が使うときにも、正しい文脈で使えるでしょう。辞書の例文をそのまま書き写すだけでも、使い方の見本になります。単語帳には意味だけでなく、短い例文を必ず添えておきましょう。

POINT

語彙は「意味」「例文」「似た言葉」の3つをセットで覚えると定着が早まります。ばらばらに暗記するより、つながりを持たせたほうが思い出しやすくなります。

四字熟語は共通のテーマでグループにまとめる

四字熟語は、ばらばらに覚えるより共通点でまとめると効率が上がります。数字を含むもの、動物が出てくるものなど、テーマで分類できるのです。「一」で始まる四字熟語だけを集めると、まとめて頭に入ります。同じ仲間として覚えると、思い出すときの手がかりも増えるでしょう。

グループにすると、意味の似た熟語どうしの違いにも気づきやすくなります。表やカードにテーマごとに並べ、少しずつ数を増やしていきましょう。1つのテーマを覚え切ってから次に移ると、達成感も続きます。まずは覚えやすいテーマを1つ決めて、そこから広げてみてください。

ことわざは似た意味と反対の意味で対にする

ことわざは、1つずつ覚えるより意味の関係で対にすると覚えやすくなります。似た意味のことわざと、反対の意味のことわざをペアにして見ていきます。「善は急げ」と「急がば回れ」は、反対の教訓を持つ組み合わせです。対にして覚えると、選択肢で迷ったときに区別しやすくなります。

似た意味と反対の意味でことわざを対にすると、記憶に引っかかりやすくなります。関係づけて覚えた知識は、単独で覚えるより忘れにくくなるでしょう。3つ以上の似たことわざをまとめて覚えると、選択肢の幅にも対応できます。ことわざを覚えるときは、意味の近いものと遠いものを並べてみてください。

覚えた語彙は短文づくりで実際に使う

覚えた語彙は、頭に入れるだけでなく実際に使うと定着します。自分で短い文を作ると、意味を正しく理解しているかを確認できるのです。「気が置けない」を使って一文を書けば、意味の誤解に気づけます。会話の中で口に出してみるだけでも、記憶への残り方が変わります。使えない言葉は、覚えたつもりでも本番で引き出せません。

短文づくりは、記述問題で語彙を正しく使う練習にもなります。作った文を家族に読んでもらうと、意味の誤りにも気づけます。ノートの端に、覚えた語彙を使った文を1つ書き足していきましょう。新しく覚えた語彙は、その日のうちに短い文で使ってみてください。

漢字と語彙が読解に効く関係

漢字と語彙の学習は、その分野の得点だけを目的にするものではありません。積み重ねた語彙力は、読解問題を解く力に直接つながります。ここでは、漢字と語彙が読解に効く関係を見ていきます。

語彙力は文章を読む速さと正確さを左右する

語彙を多く知っているほど、文章を読む速さと正確さが上がります。知らない言葉が減れば、立ち止まらずに文章を追えるからです。1つの段落に知らない語が3つあると、意味をつかむ速度が落ちます。特に説明文では、抽象的な言葉の意味を知らないと内容を追えません。逆に語彙が豊富なら、筆者の主張を素早く正確に読み取れます。

読解の得点は、読む速さと理解の深さで決まるのです。語彙力は、その速さと深さの両方を押し上げます。読解が苦手なら、まず増やすべきは語彙の量です。読解が伸び悩んでいるなら、語彙を増やすことから始めてみてください。

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知らない言葉は前後の文脈から意味を推測する

読解では、意味を知らない言葉に出会う場面が必ずあります。そのたびに手が止まっていては、時間内に読み終わりません。知らない言葉は、前後の文脈から意味を推測する力が求められます。語彙の学習を重ねると、この推測の精度も上がっていくのです。

言葉の成り立ちや似た言葉を知っていれば、初めての語も見当がつきます。漢字の意味から、熟語全体の意味を推測できることもあるでしょう。文章全体の流れをつかめば、細かな一語で立ち止まらずに済みます。国語だけでなく社会や理科の問題文でも、この力は役に立ちます。知らない言葉が出ても、まず前後を読んで意味を考える習慣をつけましょう。

Q. 語彙が苦手な子は、やっぱり読解も苦手になってしまうのでしょうか。
A. 語彙の少なさは、読解でつまずく大きな原因の1つです。ただし語彙は覚えれば確実に増える分野なので、読解より先に手をつけると成果が出やすくなります。語彙を増やすほど、読解の点数も後から伸びていきます。
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まとめ

中学受験の漢字と語彙は、努力がそのまま得点に変わる分野です。配点は国語全体の1割から2割ほどですが、確実に積み上げれば合否の分かれ目になります。

漢字は字を写すだけでなく、意味と用例をセットで覚えると定着します。間違えた漢字だけを繰り返し、読みは熟語のまとまりで押さえるのが効率的です。四字熟語や慣用句、ことわざは、テーマや意味の関係でグループにすると覚えやすくなります。

積み重ねた語彙力は、読解を解く速さと正確さにも直結します。まずは志望校の過去問で出題レベルを確かめ、間違えた漢字を集めることから始めてみてください。

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