中学受験の社会の覚え方|地理・歴史・公民の分野別攻略と時事

科目別勉強法

社会は暗記さえすればなんとかなる科目だと思われがちです。けれど実際には、覚えても覚えても本番で出てこない、模試になると空欄が目立つ、という悩みを抱える家庭は少なくありません。用語の数が多いぶん、やみくもに暗記すると抜けていくのも早いのが社会という科目です。

とはいえ、社会は覚え方さえつかめば、算数のように大きく崩れることは少ない科目でもあります。地理・歴史・公民の3分野にはそれぞれ向いた覚え方があり、そこに一問一答や時事問題の対策を重ねていけば、得点は安定して伸びていきます。

この記事では、社会でつまずく原因から、地理・歴史・公民の分野別の覚え方、一問一答の使い方、時事問題の対策、覚えた知識を定着させる方法までをまとめました。語呂合わせなど汎用の暗記法そのものは姉妹記事に譲り、ここでは社会の覚え方に絞っています。わが子の社会の勉強を組み立て直す手がかりとして読み進めてみてください。

中学受験の社会でつまずく原因

社会が苦手な子の多くは、暗記の量が足りないのではなく、暗記のやり方が科目に合っていないことでつまずいています。まずは、なぜ社会が覚えにくく感じるのかを見直しておきましょう。ここでは、社会でつまずきやすい3つの原因について解説します。

社会は用語の丸暗記だけではすぐ抜ける

社会でいちばん多いつまずきは、意味を切り離した丸暗記で用語を覚えようとすることです。単語カードで用語と答えだけを往復しても、背景や理由が結びついていないと、少し時間がたつだけで抜けていきます。

社会の用語は、意味やつながりとセットにして初めて記憶に残ります。たとえば「墾田永年私財法」も、言葉の丸暗記では出てきませんが、税から逃れて開墾を進めた流れの中に置くと思い出しやすくなります。用語を単体で覚えるほど、思い出す手がかりは少なくなるものです。

まずは、覚えたい用語に「なぜ」「どういう意味か」を一つ添える習慣をつけさせてください。意味の裏づけがある知識は、本番で思い出す手がかりが増えます。

Q. 何度も書いて覚えさせているのに、模試になると社会だけ空欄が目立ちます。
A. 書く回数より、意味とのつながりが足りていないのが原因です。用語を単体で覚えるのをやめ、出来事の流れや理由の中で覚え直すと、同じ暗記量でも思い出せる量が増えていきます。

地理・歴史・公民で覚え方が変わる

社会が一つの科目に見えても、地理と歴史と公民は中身の性質がまるで違います。同じ覚え方をすべての分野に当てはめようとすると、どこかの分野で必ず伸び悩みます。

地理は場所や地形といった空間の情報、歴史は時間に沿った出来事の流れ、公民は社会の仕組みという抽象的な内容が中心です。地図で覚えるべき地理を年表のように覚えようとしても、うまくかみ合いません。分野の性質を無視した暗記は、どこかで頭打ちになります。

わが子がどの分野で点を落としているかを、まず模試の大問別に確かめてください。分野ごとに弱点の種類が違うので、苦手な分野に合った覚え方へ切り替えることが立て直しの近道になります。

範囲が広く手をつける順番が定まらない

社会の範囲の広さそのものも、つまずきを生む原因になります。地理・歴史・公民のすべてに一度に手を広げようとすると、どこから始めればいいか決まらないまま時間だけが過ぎていきます。

範囲が広いときほど、すべてを完璧にしようとせず、優先順位をつけて回すことが必要です。塾のカリキュラムで今扱っている単元を軸に、直前の模試で落とした分野を重ねていくと、取り組む順番が決めやすくなります。あれもこれもと手を出すと、どれも中途半端に終わりがちです。

まずは今週やる範囲を1つに絞り、そこを確実に仕上げてから次へ進みましょう。手をつける順番が決まれば、広い範囲でも着実に埋めていけます。効率のいい勉強の進め方全般は、別記事も参考になります。

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地理・歴史・公民の分野別の覚え方

地理・歴史・公民は、それぞれに向いた覚え方が決まっています。分野の性質に合った方法を選ぶだけで、同じ勉強時間でも定着の度合いが変わります。ここでは、3分野それぞれの覚え方について解説します。

分野 覚え方の軸 つまずきやすい点
地理 白地図で位置とセットにして覚える 地名だけ暗記して場所と結びつかない
歴史 出来事を因果でつなぎ流れで覚える 年号の丸暗記で前後関係が抜ける
公民 暮らしの仕組みやニュースに結びつける 用語が抽象的で実感がわかない

地理は白地図に書き込んで位置から覚える

地理は、用語を場所とセットにして覚えるのが基本になります。県名や山地、川、産業などを言葉だけで暗記しても、位置と結びついていないと、問題で問われたときに取り出せません。

地理は白地図に自分で書き込むと、位置と用語が一度に頭へ入ります。コピーした白地図に、覚えたい地名や特産品を手で書き込んでいくと、地図上の位置と情報が結びついて残ります。市販の白地図帳を1冊用意すると、繰り返し使えて便利でしょう。

まずは都道府県と県庁所在地を白地図で埋める練習から始めてみてください。位置の土台ができると、その上に産業や気候の知識を重ねやすくなります。

歴史は出来事を因果でつなげて流れで覚える

歴史は、年号や人名を単体で覚えるより、出来事のつながりで覚えるほうが定着します。何が起きたかだけでなく、なぜ起きて次に何につながったかまで結びつけると、記憶の手がかりが増えるのです。

たとえば鎌倉幕府の成立も、武士が力をつけた背景と、その後の御恩と奉公の仕組みまでを一続きで捉えると、単なる年号より思い出しやすくなります。年表を横に置き、出来事どうしを矢印でつなぎながら読むのがおすすめです。ばらばらの事実を一本の線にすると、記憶の負担も軽くなります。

まずは時代ごとに「原因・出来事・結果」の3点を口で説明させてみてください。流れで語れるようになった範囲は、多少ひねった問題でも崩れにくくなります。

公民は暮らしの仕組みとニュースに結びつけて覚える

公民は3分野の中でも抽象的で、実感がわきにくい分野です。三権分立や税、選挙といった用語は、暮らしと切り離すと言葉だけの暗記になり、記憶に残りません。

対策は、公民の用語を身近な出来事やニュースに結びつけることです。選挙の仕組みは家族が投票に行った話と、税は買い物のときの消費税と重ねると、抽象的な言葉が具体的な場面とつながります。テレビのニュースを親子で一言交わすだけでも、公民の実感は育っていくでしょう。

まずは学んだ用語が、日常のどの場面と関係するかを一つ探させてみてください。生活と結びついた知識は、応用問題で問われても揺らぎにくくなります。

3分野に共通して「なぜ」を一つ足すと定着する

地理・歴史・公民のどの分野にも共通する覚え方が、暗記に「なぜ」を一つ添えることです。用語や数字をそのまま覚えるより、理由や背景を一つ結びつけたほうが、思い出す手がかりが増えます。

工業地帯が海沿いに多いのは原料の輸入に便利だから、というように理由をセットにすると、丸暗記より忘れにくくなります。すべてに詳しい理由をつける必要はなく、覚えにくい項目にだけ「なぜ」を一言足せば十分です。理由の一言が、記憶を引き出すフックになります。

覚えづらい用語に出会ったら、まず一言の理由を子どもに言わせてみてください。同じ暗記科目である理科も、この「なぜ」を足す覚え方が役立ちます。

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一問一答の効果的な使い方

社会の暗記の確認に欠かせないのが、一問一答形式の問題集です。ただし使う順番や使い方を誤ると、覚えたつもりのまま終わってしまいます。ここでは、一問一答の効果的な使い方について解説します。

一問一答はインプットの後の確認に使う

一問一答は、知識を新しく入れる教材ではなく、入れた知識を確認する教材です。まだ習っていない範囲を一問一答だけで覚えようとすると、意味のわからない用語の丸暗記になってしまいます。

正しい順番は、まず教科書や塾のテキストで流れを理解し、その後に一問一答で抜けを点検する形です。理解が土台にあれば、一問一答は覚えた知識を素早く思い出す練習になります。テキストで学んだ範囲を、その日のうちに一問一答で確かめる流れがよいでしょう。

インプットが済んだ単元から順に、一問一答で答えられるか試させてみてください。答えに詰まった項目が、まだ理解の浅い場所だと分かります。

POINT

一問一答は「覚える教材」ではなく「覚えたか確かめる教材」。理解を先に入れてから使うと、抜けを見つける道具として力を発揮します。

間違えた問題に印をつけて繰り返し解く

一問一答は一度解いて終わりにせず、間違えた問題だけを繰り返すのが効率的です。全部を何周もするより、答えられなかった問題に絞ったほうが、少ない時間で穴を埋められます。

やり方は、間違えた問題に印をつけ、次はその印の問題だけを解き直す形です。2回続けて正解できたら印を消し、残った問題だけをさらに回していきます。こうすれば、覚えている問題に時間を使わず、苦手な問題へ集中できます。

間違えた問題に印をつける習慣を、最初の1周目から始めさせてください。周を重ねるごとに解く問題が減り、仕上げにかかる時間も短くなっていきます。

答えから問いを言えるか逆向きにも確認する

一問一答は問いから答えを言うだけでなく、答えから問いを説明できる状態まで持っていくと力になります。問いを見て答えが言えても、その用語が何を指すのかを説明できないことは珍しくありません。

たとえば「地租改正」と答えられても、それがどんな改革だったかを一言で言えなければ、記述問題では得点になりません。答えの用語を見て、その意味や背景を口で説明する練習を加えると、理解の深さが変わってきます。用語を裏返して説明できるかが、理解のものさしになります。

一問一答が一通り解けるようになったら、答え側を隠して意味を説明させてみてください。説明できる用語は、形を変えて問われても対応できるようになります。

一問一答だけに頼ると記述問題に対応できない

一問一答は便利な反面、それだけに頼ると弱点も生まれます。短い用語を答える形式に慣れすぎると、文章で説明する記述問題や、資料を読み取る問題に手が出なくなります。

近年の入試では、用語を覚えているだけでは解けない、理由や背景を書かせる問題が増えています。一問一答で土台の知識を固めたら、記述や資料問題の演習にも時間を配ることが必要です。一問一答はあくまで確認の道具で、そこがゴールではありません。

一問一答が仕上がってきたら、過去問で記述や資料の問題に触れさせてください。知識を使って書く練習まで進めて、初めて得点力につながります。

注意

一問一答が満点になっても、それで社会が完成したわけではありません。用語は言えるのに記述で書けない、という状態はよく起こります。仕上げには、覚えた知識を文章で説明する練習を必ず加えてください。

時事問題の対策

社会では、教科書に載っていないその年の出来事から問題が出ることがあります。時事問題は範囲が読みにくいぶん、後回しにされがちな分野です。ここでは、時事問題の対策について解説します。

時事問題はニュースを社会の単元と結びつける

時事問題は、ニュースをただ知っているだけでは得点になりません。中学受験の時事問題は、その出来事が地理・歴史・公民のどの単元とつながるかまで問われることが多いからです。

時事問題は、ニュースを習った単元に結びつけて初めて得点になります。たとえば選挙のニュースなら公民の三権分立と、自然災害のニュースなら地理の地形と重ねると、単なる知識が問題に対応できる形に変わります。ニュースを見たら、これは社会のどの単元かと一言添える習慣が役立ちます。

気になるニュースが出たら、社会のどの分野の話かを親子で確かめてみてください。単元と結びついたニュースは、そのまま入試の題材になり得ます。

時事は秋以降にその年のまとめ教材で総復習する

時事問題の対策は、1年分をまとめて仕上げる時期を決めておくと効率的です。年間を通して少しずつ気にすることは大切ですが、本格的な暗記は情報が出そろってからのほうがむだになりません。

毎年秋から冬にかけて、その年の重大ニュースをまとめた時事問題の教材が各社から出ます。こうしたまとめ教材を1冊使い、6年生の秋以降に集中して総復習するのが現実的な進め方でしょう。早い時期に断片的に覚えるより、まとまった教材で一気に確認するほうが記憶に残ります。

秋になったら時事問題のまとめ教材を1冊用意し、直前期の復習に組み込んでください。範囲が定まることで、時事への不安も小さくできます。

覚えた知識を定着させる方法

覚え方を工夫しても、一度きりの暗記では知識は抜けていきます。覚えた内容を長く保つには、定着のための仕組みが欠かせません。ここでは、覚えた知識を定着させる方法について解説します。

覚えた知識は翌日と1週間後に復習して定着させる

暗記した知識は、時間をあけて復習することで長く残ります。人の記憶は覚えた直後から薄れていくため、忘れかけたころにもう一度触れると、記憶が定着しやすくなります。

覚えた知識は、翌日と1週間後にもう一度確認すると忘れにくくなります。その日に覚えた範囲を翌日に軽く見直し、さらに1週間後にもう一度確かめると、同じ暗記量でも残る割合が上がります。一問一答なら、間違えた問題だけをこの間隔で解き直す形が手軽でしょう。

覚えた単元に、翌日と1週間後の見直しをセットで組み込んでみてください。復習のタイミングを決めておくと、抜けを取り戻す手間が減ります。

図表やグラフを自分で読み解いて知識を使う

覚えた知識は、しまっておくだけでなく使うことでも定着します。社会の入試ではグラフや統計、地図を読み取らせる問題が多く、暗記した知識をその場で使う力が問われます。

対策として、資料集や問題集の図表を、自分の言葉で読み解く練習を重ねてください。雨温図から気候を判断したり、統計の数字から産業の特徴を読んだりする中で、覚えた知識が実際に働きます。知識は使う経験を積むほど、忘れにくくなっていくものです。

問題を解くときは、図表を一つ選んで何が読み取れるかを言わせてみてください。使いながら覚えた知識は、初めて見る資料にも応用できます。

覚えにくい暗記は語呂合わせや汎用の暗記法で補う

意味やつながりで覚えても、どうしても頭に残りにくい項目は出てきます。年号の並びや、いくつもの用語をセットで覚える場面では、語呂合わせのような暗記の技も助けになるのです。

流れで理解したうえで、細かい数字や順番だけを語呂合わせで補うと、覚え方の負担が軽くなります。ただし語呂合わせに頼りすぎると、意味を伴わない丸暗記へ逆戻りするので、あくまで補助として使うのがこつです。中学受験全般で使える暗記法は、社会以外の科目にもそのまま応用できます。

覚えにくい項目に絞って、語呂合わせなどの暗記法を取り入れてみてください。暗記法そのものの詳しいやり方は、次の記事も参考になります。

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まとめ

中学受験の社会は、用語の丸暗記だけではすぐに抜けてしまいます。地理・歴史・公民は性質が違うので、地理は白地図で位置から、歴史は出来事の流れで、公民は暮らしの仕組みと結びつけて覚えるのが基本です。

一問一答は理解を入れた後の確認に使い、間違えた問題を繰り返すことで穴を埋めます。用語を言えるだけで満足せず、意味を説明する練習や記述対策まで進めると、得点は安定していきます。

時事問題は秋以降にまとめ教材で仕上げ、覚えた知識は翌日と1週間後の復習で定着させます。まずは、わが子が地理・歴史・公民のどの分野でつまずいているかを、模試の大問別に確かめることから始めてみてください。

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