きょうだいがいる家庭の中学受験|時間と手の配分・費用の負担

親のサポート・メンタル・雑記

上の子の中学受験が近づくほど、家の中は塾の送迎やお弁当づくりを軸に動くようになります。気づけば会話も予定も受験生を中心に回り、下の子はその横で静かに順番を待っている。そんな家庭は珍しくありません。

とはいえ、受験生でないきょうだいにも、寂しさや我慢は確かにたまっていきます。同時に受験が重なれば費用の負担も一気に増え、「どこまで配慮すればいいのか」と迷う方も多いものです。

この記事では、きょうだいがいる家庭の中学受験の難しさから、下の子・上の子への配慮、時間と手の配分、同時受験にかかる費用と負担、年子や連続受験の工夫までをまとめました。家族全体で受験を支えるための手がかりとして読み進めてみてください。

きょうだいがいる家庭の中学受験の難しさ

きょうだいがいる家庭では、受験生だけでなく家族全員の生活が中学受験の影響を受けます。ここでは、どんな負担や偏りが起きやすいのかを見ていきます。

きょうだいの中学受験は生活が受験生中心に偏る

きょうだいの中学受験が始まると、家庭の時間はどうしても受験生に集まります。塾への送り迎え、朝晩のお弁当づくり、模試や講習のスケジュール管理と、親の手は一人の子へ向かいがちです。とくに入試を控えた最後の1年は、親の心も体も受験のサポートで埋まっていきます。

家全体が張りつめた空気になり、下の子まで自然と気をつかう場面が増えます。この偏り自体は、受験がある以上ある程度は避けられないものです。問題は偏っていること自体より、偏りに家族が無自覚なまま進むことにあります。まずは「生活が受験生中心になるのは当然」という前提を、家族で先に共有しておきましょう。

下の子は関わる時間が減って寂しさを抱えやすい

受験生に親の意識が向くほど、下の子と関わる時間は知らないうちに減っていきます。かまってほしい気持ちや寂しさを、下の子自身もうまく言葉にできないことがほとんどです。その結果、ぐずりや甘え、体調の不調といった形で気持ちが表に出ることがあります。

Q. 上の子の受験にかかりきりで、下の子を我慢させてばかりです。罪悪感が消えません。
A. 我慢に気づけている時点で、下の子はちゃんと見てもらえています。完璧に平等でなくてよいので、短くても「あなたを見ている」と伝わる時間を1日に1回つくれば十分です。

我慢はその場で消えるわけではなく、後からまとめてあふれ出すこともあります。だからこそ、下の子の小さな変化のサインを早めに拾うことが欠かせません。表情が硬い、口数が減ったと感じたら、その日のうちに短くても声をかけてみてください。

きょうだいを比べる言葉が両方の意欲をそぐ

つい口から出やすいのが、「お兄ちゃんはできたのに」「あなたもやればできる」といった比較の言葉です。きょうだいの学力差は、生まれ順や性格、興味の向きから生まれるもので、優劣とは関係がありません。それでも比べる言葉は、言われた側の心に思いのほか深く残るものです。

きょうだいを並べて比べる言葉は、比べられた側だけでなく、比べられた本人も同時に傷つけます。
下の子は「どうせ自分は」と自己肯定感を下げ、上の子は「できて当たり前」という重荷を背負い込みます。きょうだいを引き合いに出す言い方は避け、一人ひとりを単独で見て声をかけましょう。

受験生でないきょうだいへの配慮

受験生でないきょうだいへの配慮は、特別なことをするより「見ている」と伝え続けることが軸になります。ここでは、下の子・上の子それぞれへの具体的な関わり方を見ていきます。

相手 配慮のポイント
下の子 毎日決まった時間で向き合う
下の子 2人だけの時間を意図的につくる
上の子 「できて当然」と扱わず努力を認める
双方 成績以外の物差しで一人ひとりを見る
双方 きょうだいを並べて比べない

下の子とは毎日決まった時間で向き合う

下の子への配慮でまず効くのは、短くても毎日続く関わりの時間を決めることです。上の子が塾に行っている間に一緒に遊ぶ、下の子の宿題を見るなど、時間を区切って向き合います。長い時間をまとめて取るより、毎日必ず訪れる短い時間のほうが下の子には効きます。

大切なのは時間の長さより、「この時間はあなたのための時間だ」という約束が守られることです。5分でも10分でもよいので、毎日決まって訪れる時間があれば、下の子は安心して待てるようになります。予定が詰まった日ほど、この時間を先に確保しておくと崩れません。まずは1日に1つ、下の子と過ごす時間を決めて続けてみてください。

上の子を褒めるときは下の子の良さも認める

受験生ばかりを褒めていると、下の子は「自分は見てもらえていない」と感じてしまいます。上の子の頑張りを認めることは大事ですが、同じ場面で下の子の良いところにも触れることが欠かせません。褒める対象が受験の成果ばかりに寄っていないか、一度意識してみてください。

下の子の得意なことや、きょうだいへの優しさを、具体的な言葉にして認めてあげましょう。成績という一つの物差しだけでなく、それぞれの子に合った物差しで見ることが、きょうだい双方の自己肯定感を守ります。日々の声かけが上の子に偏っていないか、一週間に一度は振り返ってみるとよいでしょう。

我慢が多いきょうだいには2人だけの時間をつくる

きょうだいへの関わりは、状況によってどうしても比重が偏ることがあります。「いつでも平等でなければ」と思いつめるより、我慢が多くなっている側に埋め合わせを返す発想のほうが現実的です。偏りをゼロにしようとするより、偏った分をあとで返すと考えると気持ちが楽になります。

比重が偏るのは自然なことで、我慢の多い側に2人だけの時間を返せば釣り合いが取れます。
買い物や散歩など、下の子と2人きりで過ごす時間を意図的につくってみましょう。短くても親を独り占めできる時間は、たまった我慢のちょうどよいガス抜きになります。月に数回でよいので、下の子が主役になる予定を先にカレンダーへ書き込んでおいてください。

きょうだいを受験の応援役として巻き込む

下の子を受験から切り離すのではなく、応援役として巻き込むと、下の子の疎外感はやわらいでいきます。「お兄ちゃんを一緒に応援しよう」と声をかければ、下の子も受験生活の当事者になれるでしょう。応援する側に回れば、上の子を待つ時間も自分ごととして受け止めやすくなります。合格発表の日に家族みんなで喜べるよう、下の子にも応援の役割を一つ渡してみてください。

家族が同じ目標へ向かう連帯感は、下の子の寂しさを打ち消してくれます。上の子を応援した経験は、いずれ下の子自身が受験するときの心の支えにもなるはずです。親がどんな役割で受験に関わるかは次の記事も参考にしながら、家族での声かけの形を決めておきましょう。

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きょうだいがいる家庭の時間と手の配分

きょうだいがいる家庭の中学受験は、時間と手をどう配るかで負担の重さが変わります。ここでは、受験生と家庭を両立させる配分の考え方を見ていきます。

受験生への集中と家庭の生活を両立させる

受験生を全力で支えたい気持ちは自然ですが、家庭のすべてを受験へ振り向けると家族全体が疲れてしまいます。平日は受験生、週末はきょうだいというように、時間の枠をあらかじめ分ける方法もあるでしょう。枠を決めておくと、どちらか一方だけに手が偏りすぎるのを防げます。

POINT

受験生に100%ではなく、家庭全体が回る配分に整えるのが両立のコツです。親自身の休息も、配分の一部として先に確保しておきます。

受験生への集中と家庭の生活は、時間の枠をあらかじめ分けることで両立できます。
親が倒れてしまえば送迎も声かけもすべて止まるため、親の休む時間も必ず配分に含めてください。1週間という単位で、誰にどれだけ手をかけるかを先に決めておくと、偏りにも早く気づけます。

送迎とお弁当の負担を家族で分担する

送迎・お弁当づくり・声かけといった受験のサポートを、母親1人に集中させないことが大切です。父親や祖父母、ときには上のきょうだいにも、できる範囲の役割を割り振ります。役割が分かれていれば、1人が体調を崩しても家庭が止まりません。

共働きの家庭ではとくに、仕事と家事と送迎が同じ時間帯に重なりやすくなります。誰が何を担当するかを先に決めておけば、当日の慌ただしさやきょうだい間の不公平感も減っていきます。週の初めに担当を一覧にして、抜けている部分を家族で埋めておきましょう。送迎は祖父母、朝のお弁当は前夜に父親が詰めるというように、担当を人ごとに固定すると毎日の段取りに迷いません。

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きょうだいの予定をカレンダーで共有する

受験生の模試や塾の予定と、下の子の学校行事や習い事を、同じ場所に並べて見える化します。予定が重なる日に早く気づければ、下の子の行事を後回しにせずに済みます。頭の中だけで管理すると、優先度の低い予定から気づかないうちに後回しになりがちです。

家族の全員が同じ予定を見られると、抜け漏れと「自分だけ我慢している」という不公平感が減っていきます。冷蔵庫に貼る紙のカレンダーでも共有アプリでもよいので、家族の予定を1つの場所にまとめてください。月に一度は予定を見直し、下の子の時間が削られすぎていないか確かめてみましょう。

きょうだいの同時受験でかかる費用と負担

きょうだいが同じ時期に中学受験をすると、費用は1人のときの単純な2倍以上になることもあります。ここでは、塾代・学費・受験料の重なり方と、負担を抑える方法を見ていきます。

同時受験の塾費用はきょうだい2人で年200万円に近づく

中学受験の塾費用は、小5・小6になると1人あたり月5万円前後、年間では100万〜140万円が一つの目安です。きょうだいが同じ時期に通えば、塾代だけで年200万円規模になることも珍しくありません。学年が上がるほど講習や特訓が増え、月々の負担も重くなっていきます。

区分 1人分の目安 きょうだい2人分
小5・小6の年間塾費用 100〜140万円 200〜280万円

きょうだい2人分の塾費用は、年200万円を超えることもある大きな支出です。
表に載る授業料のほかに、教材費・模試代・季節講習代が重なると、負担はさらに膨らんでいきます。まずは1人分の年額を正確に出し、それを2人分に置き換えて総額の見当をつけておきましょう。

私立中学の学費は1人あたり年150万円ほどかかる

私立中学に合格して進学すると、塾代とは別に学費が新たに加わります。文部科学省の令和5年度の調査では、私立中学校に通う子1人あたりの学習費総額は年約156万円でした。公立中学校の年約54万円と比べると、負担の大きさがはっきりわかります。

進学先 1年間の学習費総額の目安
私立中学校 約156万円
公立中学校 約54万円

きょうだいが2人とも私立に同時在籍すれば、この学費がそのまま二重にかかります。下の子が塾に通う受験期と、上の子の私立在学期が重なる年は、家計の支出が最も大きくなるでしょう。費用の総額は次の記事で確認し、家計の見通しを早めに立ててみてください。

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受験料と交通費はきょうだいの受験校の数だけ増える

受験にかかるお金は、塾代と学費だけではありません。1校あたりの受験料はおおむね2万〜3万円で、併願する学校を増やすほど受験料は積み上がっていきます。出願のたびに支払いが発生するため、受験校の数がそのまま金額に直結するのです。埼玉や千葉の前受け校まで含めれば、1人で5校前後を出願するきょうだいも珍しくありません。

きょうだいの同時受験では、試験日の交通費や親の付き添いの手間も、そのまま2人分になります。前受け校や午後入試を足すほど、受験料は比例して膨らんでいくでしょう。受験する学校の数を先に決めてから、受験料の合計をあらかじめ計算しておきましょう。

きょうだい割引や就学支援で負担を抑える

重なる費用は、使える割引や公的な支援で少しでも軽くできます。塾のなかには、きょうだいが同時に入塾すると入塾金が免除される「きょうだい割引」を設けているところがあります。まずは通っている塾に、割引の有無を問い合わせてみるとよいでしょう。

注意

きょうだい割引は、在籍期間などの適用条件が塾ごとに違います。入会から一定期間がたって初めて適用される場合や、短期で退塾すると対象外になる場合もあるため、入塾前に必ず条件を確認してください。

私立中学へ進んだ後も、自治体や学校による授業料の軽減や就学支援の対象になることがあります。使えそうな制度を一覧にして、条件に合うものから早めに申請しておきましょう。手続きには締め切りがあるので、募集や受付の時期もあわせて調べておいてください。

年子や連続受験のきょうだいへの向き合い方

年子や双子、学年の近いきょうだいは、受験の負担が特定の年に集中しやすくなります。ここでは、負担が重なる家庭が前もって備えるための工夫を見ていきます。

年子や双子の同時受験は負担を前もって見積もる

年子や双子のきょうだいは、塾代も学費も受験料も、同じ年に一度にまとめてかかります。負担が一点に集まるぶん、その年の家計に与える影響はとても大きくなります。ゆとりのある年に少しずつ備えておかないと、ピークの年に資金が足りなくなりかねません。

だからこそ、費用が最も重なる年を先に特定し、支出を早めに試算しておくことが役立ちます。数年前から計画的に資金を積み立てておけば、負担が集中する年もあわてずに乗り切れます。まずは2人分の費用が重なる年を書き出し、必要な金額を見積もってみてください。上の子が小6、下の子が小5なら、この2年間に塾代のピークがそろって訪れます。

連続受験は上の子の経験を下の子に生かす

上の子から順に受験する連続受験では、先に受けた経験がそのまま次の子の財産になっていきます。塾選びや併願校の組み方、試験日程の立て方など、一度通った道は二度目に迷いが減るものです。上の子のときにつまずいた点を、下の子では先回りして避けられます。第一志望の過去問をいつから解き始めるかといった勘どころも、2人目にはすでに手元にあります。

ただし、勉強法や志望校まで上の子に合わせるのは避けたほうがよいでしょう。下の子には下の子の性格と得意があり、きょうだいで志望校を分ければ、比較や張り合いも起きにくくなります。上の子の経験は手順の面だけ生かし、中身は下の子に合わせて選び直してみてください。

まとめ

きょうだいがいる家庭の中学受験は、生活が受験生中心に偏り、受験生でない下の子ほど寂しさや我慢を抱えやすくなります。短くても毎日向き合う時間をつくり、きょうだいを並べて比べる言葉を避けることから配慮を始めましょう。

費用の面では、塾代・学費・受験料が同時受験で2倍近くに膨らみます。1人分の年額から総額を見積もり、きょうだい割引や就学支援も早めに調べておくと安心です。

送迎や費用を家族で分担し、下の子を応援役として巻き込めば、受験は家族全体の取り組みに変わります。まずは、受験生でないきょうだいと過ごす時間を1日に1つ決めることから始めてみてください。

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