中学受験の志望校の選び方|7つの軸と第一志望・併願校の組み方

志望校・偏差値・学校選び

塾の偏差値表を眺めながら、どの学校を目標にすればいいのか決めきれない。中学受験を控えた家庭で、そんな迷いを抱える保護者は多いものです。志望校は6年間を過ごす場所を選ぶ決断であり、偏差値の数字だけでは決めきれません。

とはいえ、校風や通学時間、進学実績まで含めて考え始めると、見るべき点が多くて何から手をつけるか迷います。第一志望と併願をどう組むか、いつ決めればいいのかも、情報がばらばらでつかみにくいものです。

この記事では、志望校を選ぶ7つの軸から、第一志望と併願校の組み方、決める時期、学校見学の使い方、最後の絞り込み手順までをまとめました。わが子に合う一校を見つける手がかりとして読み進めてみてください。

志望校を選ぶ7つの軸

志望校選びは、偏差値の一点だけで決めるものではありません。ここでは、偏差値を含めて志望校を選ぶ7つの軸を見ていきます。

軸 見るポイント
偏差値 合格可能性の目安。合うかどうかは測れない
校風・教育方針 自由か管理か、行事や宗教教育の重み
大学進学実績 合格者数でなく現役進学率で見る
通学時間 片道60分が一つの目安、限界は90分
共学・別学 子どもの性格との相性
費用 学費と塾費用を含めた6年間の総額
子との相性 見学で感じる居心地

偏差値だけで志望校を決めると入学後に苦しくなる

志望校選びで最初に見直したいのが、偏差値への頼りすぎです。

偏差値は合格の可能性を測る物差しで、学校そのものの良し悪しや子どもとの相性を表す数字ではありません。上位の学校ほど良いと思い込み、偏差値表の上から機械的に選ぶと、入学後に思わぬつまずきが起きます。

背伸びして入った学校では、周りに学力の高い子が集まり、成績が下位に沈んで自信を失う場合があります。偏差値は入れるかどうかを測るだけで、合うかどうかまでは測れません。

注意

偏差値表の上から順に志望校を選ぶと、6年間の満足度を見落とします。数字の高さと、通いやすさや校風の相性は別物として切り分けてください。

偏差値は候補を絞る1つの軸として使い、他の軸と並べて判断しましょう。

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校風と教育方針は6年間の居心地を左右する

学力が同じくらいの学校でも、校風は大きく違います。

自由な校風で生徒の自主性に任せる学校もあれば、宿題や生活指導をきめ細かく見る管理型の学校もあります。宗教教育の有無や行事の重みも学校ごとに差があり、毎日の過ごしやすさを左右するのです。

面倒見のよさや課題の量は、子どもの性格によって合う合わないが分かれます。自分で計画を立てられる子には自由な校風が向き、伴走が必要な子には手厚い学校が合います。校則の細かさや制服の有無も、6年間の過ごし方に思った以上に響いてくるのです。宗教行事やボランティアの多さが、子どもの負担になる家庭もあります。

説明会や在校生の様子から校風を確かめ、子どもに合う学校だけを候補に残しましょう。

大学進学実績は現役進学率まで見て判断する

学校案内で目立つ大学合格実績は、見方に注意が必要です。

学校案内に並ぶ合格者数は、1人の生徒が複数の大学に受かった延べの数です。数字の大きさだけを見ると、実際にその大学へ進んだ人数を多く見積もってしまいます。

Q. 大学の合格実績が多い学校ほど、良い学校といえますか。
A. 合格者数は1人が複数校に受かった延べ数で膨らみます。卒業生数に対する現役進学率で見ると、その学校の進路の実態がつかめるのです。

付属校か進学校かでも前提が変わり、内部進学中心か外部受験中心かで見る指標が違います。合格者数でなく、卒業生数に対する現役進学率で各校を比べてみてください。

通学時間は片道60分以内を一つの目安にする

志望校選びで軽視されやすいのが、毎日の通学時間です。

中学受験生の通学時間は平均でおよそ60分、片道40分から60分に収まる家庭が多くみられます。限界の目安は片道90分とされ、上限を70分未満と考える保護者が約7割を占めます。難関校は自宅から遠くなりがちで、通学時間が延びる傾向もみられるのです。開成中学校の例では、片道60分以上かけて通う生徒が3割を超えます。

通学時間が長いと、朝が早くなって睡眠が削られ、体調や勉強の時間に響きます。通学時間は片道60分を一つの壁として引き、それを超える学校は本人の通う意志を確かめます。

地図アプリで乗り換えを含めた実際の所要時間を測り、朝のラッシュも想定して判断してください。

共学と別学は子どもの性格との相性で選ぶ

志望校を絞るとき、共学か別学かも早めに考えたい点です。

共学、男子校、女子校では、校風や授業の雰囲気が変わります。異性の目を気にせず打ち込みたい子もいれば、多様な環境で刺激を受けて伸びる子もいます。男子校や女子校には、その環境ならではの伝統や行事が根づいている学校もあるのです。受験勉強の段階でも、共学志望か別学志望かで併願の組み方が変わってきます。

どちらが合うかは、子どもの性格や過ごし方の好みによります。親の希望だけで決めず、本人がのびのび過ごせる環境かどうかを軸にするのです。在校生や卒業生の保護者に話を聞くと、校内の雰囲気がより具体的につかめます。

文化祭で在校生の雰囲気を見て、子どもに合う環境を選びましょう。

第一志望校と併願校の組み方

中学受験は、第一志望1校だけで臨むものではありません。ここでは、第一志望校と併願校の組み方を見ていきます。

第一志望は偏差値より行きたい気持ちで決める

受験校の中心になるのが、第一志望校です。

第一志望は、子ども自身が6年間通いたいと思える1校を据えます。今の偏差値に多少届かなくても、目標として掲げてかまいません。偏差値が5ほど上でも、本人の意欲があれば第一志望として狙う価値があります。反対に、通いたい気持ちのない学校を第一志望に置くと、努力が続きにくくなります。

心から行きたい学校があると、つらい時期の踏ん張りが変わってくるのです。第一志望の校舎を一度見ておくと、勉強のつらい時期に思い出す目標になります。親が決めた学校よりも、本人が納得して選んだ学校のほうが、最後まで頑張り抜く支えになります。

子どもと学校を見て、ここに行きたいと思える1校を第一志望に据えましょう。

併願校は合格を確保する安全校から固める

第一志望が決まったら、次は併願校を考えます。

併願校の役割は、合格を確保して受験全体を安定させることです。持ち偏差値より確実に下の安全校を、必ず1校は組み込みます。安全校の合格が1つあるだけで、本命に挑む当日の気持ちが大きく落ち着きます。

併願とはいえ、受かった以上は通う可能性がある学校です。第一志望でなくても、通ってよいと思える学校だけを選びます。通学できない遠方の学校を数合わせで入れても、合格が支えにはなりません。併願校は行きたい順ではなく、合格を確保する順で、先に安全校から埋めます。

偏差値が確実に届く安全校を1校決めてから、その上の学校を積み上げましょう。

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受験校は挑戦・実力相応・安全の3層で組む

個々の学校を選んだら、全体のバランスを整えます。

受験校は、挑戦校、実力相応校、安全校の3つの層に分けて組みます。挑戦校は憧れの第一志望、実力相応校は合格が五分の学校、安全校は確実に受かる学校です。1つの層に偏らせず、3種類をそろえることで全落ちのリスクを抑えられます。

POINT

受験校は挑戦・実力相応・安全を「2:2:1」ほどの割合で組むと、上を狙いながらも合格を確保できるのです。

この割合は目安で、日程や子どもの性格に合わせて調整します。併願日程が詰まりすぎないよう、1日に受ける学校数にも無理がないか見ておきます。まず安全校から決め、その上に実力相応校と挑戦校を積む順で計画を立てましょう。

志望校を決める時期

志望校は、ある日いきなり全部が決まるものではありません。ここでは、志望校を決める時期を段階ごとに見ていきます。

第一志望は小5の終わりから小6の春に決める

志望校選びには、動きやすい時期があります。

小4のうちは、仮の目標があれば十分です。学力の伸びと本人の希望が見えてくるのは、多くの場合小5の終わりごろになります。習い事や本人の興味も、この時期になると方向性が見えてきます。焦って小4で1校に絞り込むと、成績の変化に計画が追いつかなくなるのです。

第一志望を小6の春までに固めておくと、過去問や対策の計画が立てやすくなります。目標が定まらないまま夏を迎えると、勉強の方向が絞れず時間を浪費するのです。説明会や模試の結果を手がかりに、家族で第一志望を話し合う時間を作ります。

小5のうちに候補校を見ておき、小6の春までに第一志望を1校に決めましょう。

併願校は小6の秋の模試結果を見て確定する

併願校は、第一志望より遅く決めても間に合います。

併願校は、成績が固まってくる小6秋の模試を見てから確定します。持ち偏差値の幅がはっきりする時期に組むと、無理のない受験計画になるのです。夏までの模試では成績が安定しないため、秋の数回をならして幅を見ます。1月の前受け校を入れるなら、出願期限が早いので秋のうちに調べておきます。

秋以降は、入試日程と合格可能性をもとに現実的に組み直すのです。安全校が抜けていないか、日程が重なっていないかを最後に確かめておきます。第一志望の入試日と併願校の合格発表日が重ならないかも、あわせて確認します。

小6秋の模試結果を見て、安全校を含めた併願校を確定しましょう。

学校見学と説明会の活用

偏差値表や資料だけでは、学校の空気まではつかめません。ここでは、学校見学と説明会の活用を見ていきます。

学校説明会は小5のうちから足を運ぶ

志望校選びは、実際に足を運ぶところから動き出します。

学校説明会は、小5の春ごろから参加できる学校が多くあります。小6になると塾のカリキュラムが本格化し、説明会に動く時間が減っていくのです。人気校の説明会は予約がすぐ埋まるため、日程の発表を早めに追います。小5の時期なら、子どもの負担も軽く落ち着いて校内を見て回れます。

早い段階で校舎や生徒の様子を見ておくと、目標が具体的になり勉強の意欲につながるのです。気になる学校が複数あるなら、小5のうちに優先順位をつけて回ります。同じ日に近くの学校をまとめて回ると、移動の負担を抑えて比べられます。

小5のうちに、気になる学校の説明会へ早めに足を運んでみてください。

文化祭と体育祭で在校生の素の姿を見る

説明会だけでは見えない部分を補うのが、学校行事です。

文化祭や体育祭では、説明会の整えられた姿とは違う、在校生の素の様子が見えます。あいさつの仕方や先輩後輩の関係から、その学校の雰囲気が伝わってくるのです。廊下ですれ違う生徒の表情や声のトーンからも、学校の空気が読み取れます。

通っている生徒が楽しそうかどうかは、パンフレットには載らない大切な情報です。子どもを連れて行き、この学校に通う自分を想像させると、志望の気持ちが具体的になります。行事の運営を生徒が任されているかを見ると、自主性を重んじる校風かどうかが分かります。

志望候補の文化祭には子どもと一緒に足を運び、通う姿を思い描いてみてください。

個別相談会で偏差値では分からない情報を集める

説明会の後に用意されている個別相談も、うまく使いたい場です。

個別相談会では、補習の手厚さや面倒見のよさなど、数字に出ない点を直接聞けます。通学時間や費用、入学後の学習量といった不安も、その場で確かめられます。パンフレットに載らない補習体制や進路指導の実態も、担当者から聞き出せるのです。

質問する内容を決めずに行くと、担当者の説明を聞くだけで終わってしまいます。事前に聞きたいことを3つほど用意しておくと、限られた時間で必要な情報が集まるのです。気になる点をメモに残しておくと、複数校を比べるときの判断材料になります。

気になる点を3つに絞ってメモし、個別相談会で確かめてみてください。

志望校の絞り込み手順

選ぶ軸と決める時期が分かったら、候補を絞る作業に入ります。ここでは、志望校の絞り込み手順を順を追って示します。

まず子どもの希望と家庭の条件を書き出す

絞り込みの第一歩は、条件を目に見える形にすることです。

子どもの希望と家庭の条件を、紙やスマートフォンのメモに書き出します。校風や部活、共学か別学かといった子どもの希望と、通学時間や費用という家庭の条件を分けて並べます。第一志望に求める条件と、併願校で妥協できる条件を分けて書くと選びやすくなるのです。

すべてを満たす学校はまず見つからないので、譲れない条件と妥協できる条件を仕分けます。優先順位がはっきりすると、候補を絞る基準ができて迷いが減るのです。家庭ごとに優先順位は違うので、他人の基準ではなく自分の家の軸で決めます。

まず家族で条件を書き出し、譲れない点から順に優先順位をつけてみましょう。

偏差値の幅で通える範囲の学校をリスト化する

条件を書き出せたら、数字で通える範囲を絞ります。

偏差値は1回の結果でなく、良い時と悪い時の幅で見ます。その幅に収まる学校のうち、通学圏内にある学校を一覧にして書き出すのです。1回の模試で判定が良くても、次で下がることは普通に起こります。偏差値表は塾ごとに基準が違うので、志望校選びでは一つの塾の表にそろえます。

並べた学校を、挑戦校、実力相応校、安全校の3層に振り分けるのです。悪い時の偏差値でも届く学校を安全校に置くと、計画が崩れにくくなります。通学時間が90分を超える学校は、体力の面から候補を絞る段階で外しておきます。

偏差値の幅で候補を並べ、挑戦・実力相応・安全の3層に分類してみてください。

見学と模試を重ねて第一志望を1校に絞る

最後は、集めた情報を第一志望の1校にまとめます。

リスト化した候補校は、見学と模試を往復しながら数を絞っていくのです。実際に通う姿を思い描けるか、模試の判定が届く範囲かを重ねて見ます。候補が多いまま秋を迎えると、対策が分散して過去問に手が回らなくなります。見学で気持ちが動いた学校ほど、判定が届くかを冷静に見きわめる姿勢が欠かせません。

第一志望が1校に定まると、そこから逆算して併願校と出願の計画が固まります。安全校を必ず残し、入試日程が無理なく回るように出願を組むのです。第一志望が定まれば、過去問演習をどの学校に絞るかもはっきりしてきます。

見学と模試を往復し、小6の春までに第一志望を1校に決めましょう。

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まとめ

中学受験の志望校選びは、偏差値だけで決めるものではありません。校風や教育方針、大学進学実績、通学時間、共学か別学かなど、複数の軸を並べてわが子に合う学校を探します。

受験校は、挑戦校と実力相応校と安全校を2対2対1ほどの割合で組み、合格を確保しながら第一志望に挑みます。第一志望は小6の春までに、併願校は小6秋の模試結果を見て固めると、計画が立てやすくなります。

説明会や文化祭に小5のうちから足を運べば、数字だけでは分からない学校の空気がつかめます。まずは、子どもの希望と家庭の条件を紙に書き出すことから始めてみてください。

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