中学受験の暗記科目を覚えるコツ|忘却曲線をふまえた復習の型

科目別勉強法

歴史の年号も理科の用語も、覚えたそばから抜けていく。テスト前に必死で詰め込んでも、数日たつと頭に残っていない。暗記科目に手を焼くわが子を見て、ため息をつく保護者は少なくありません。

暗記は量と根性で乗りきるもの、と思われがちです。けれど、やみくもに繰り返すだけでは、時間ばかりかかって成果は伸びません。覚え方には効率の良し悪しがあり、そこを押さえるだけで定着は大きく変わります。

この記事では、暗記が伸びない原因から、丸暗記に頼らない覚え方、忘却曲線をふまえた復習の間隔、暗記が苦手な子への工夫、そして社会や理科の暗記分野への応用までをまとめました。わが子に合う覚え方を探しながら読み進めてみてください。

中学受験で暗記が伸びない原因

暗記科目は、時間をかけたぶんだけ点に結びつくとは限りません。ここでは、中学受験の暗記が伸びない主な原因を見ていきます。

注意

「まとめて覚えれば効率がいい」と考えて、暗記を週末や直前にまとめてやらせるのは逆効果です。同じ総量でも、日をまたいで小分けにするほうが定着します。親が「一夜漬けでも間に合った」経験を、そのままわが子に当てはめないよう注意しましょう。

暗記が伸びないのは丸暗記に頼っているから

暗記が伸びない最大の原因は、意味を切り離した丸暗記に頼っていることです。用語や年号を、ただ文字の並びとして覚えようとするパターンです。

丸暗記した知識は、覚えた直後のテストは乗りきれても、時間がたつと急速に抜け落ちます。たとえば歴史なら、出来事の背景や前後のつながりを飛ばして年号だけを覚えても、少し問い方を変えられると引き出せません。暗記は、意味の分からないものほど忘れやすく、分かっているものほど長く残ります。覚える前に「なぜそうなったのか」を一度確認し、意味とセットで頭に入れる習慣をつけましょう。

覚えた直後の復習を飛ばすと記憶はすぐ抜ける

覚えた知識がすぐに抜けるのは、直後の復習を飛ばしているからです。人の記憶は、覚えた当日から急な勢いで薄れていきます。

ドイツの心理学者エビングハウスの実験では、意味のない文字列を覚えた場合、20分後には約4割を忘れるという結果が示されました。学校の勉強にそのまま当てはまる数字ではありませんが、覚えた直後ほど忘れが速いという傾向は変わりません。1回覚えて終わりにすると、この下り坂をそのまま落ちていくことになります。反対に、忘れきる前にもう一度ふれるだけで、記憶の減りかたは大きくゆるみます。覚えたその日のうちに一度見直す時間を、短くてよいので確保してください。

暗記の時間を詰め込みでまとめて取ると定着しない

暗記が定着しないもう一つの原因は、時間をまとめて一気に詰め込むやり方です。テスト前夜にまとめて覚える、いわゆる一夜漬けの進め方を指します。

短時間に大量の知識を入れても、脳は覚えきれず、多くがこぼれ落ちるのです。同じ1時間を使うなら、1日で一気にやるより、10分ずつ数日に分けたほうが記憶に残ります。詰め込みは直前の点数こそ作れますが、入試まで知識を持たせる覚え方には向きません。覚えた知識を本番まで持たせたいなら、一度にまとめて入れる発想から離れる必要があります。暗記は毎日の学習に少しずつ組み込み、間隔をあけて繰り返す形に切り替えましょう。

中学受験の暗記を効率化するコツ

暗記の効率は、覚え方を少し変えるだけで大きく変わります。ここでは、中学受験の暗記を効率化する具体的なコツを紹介します。

覚え方 向いている知識 やり方の要点
理解と関連づけ 歴史の流れ・理科の仕組み 背景や因果とセットで覚える
一問一答・暗記カード 用語・人物・語句 問いと答えの形で反復する
アウトプット暗記 覚えたか不安な知識全般 書く・声に出す・説明する
寝る前と朝の反復 覚えにくい暗記全般 寝る前に入れ翌朝に確認する
語呂合わせ 年号・順序・数値 リズムや語感で引っかける

暗記は理解と関連づけで覚えると定着する

効率よく覚える第一のコツは、知識を理解と関連づけて頭に入れることです。単独の情報より、意味やつながりのある情報のほうが記憶に残ります。

たとえば歴史の年号は、その出来事が「なぜ起きたか」「次に何につながったか」と一緒に覚えると、忘れても前後から思い出せるのです。理科の用語も、仕組みや理由とセットにすると、丸暗記より少ない回数で定着します。ばらばらの点を、線でつないでいくイメージです。一つの知識に別の知識がぶら下がるほど、思い出す手がかりは増えていきます。新しい知識を覚えるときは、すでに知っていることと結びつけられないかを一度考えてみてください。

覚えたい知識は一問一答と暗記カードで確認する

用語や人物を覚えるときは、一問一答と暗記カードが役立ちます。読むだけの暗記より、思い出す練習を挟むほうが記憶は強くなるのです。

一問一答は、問いを見て答えを頭から引き出す作業を繰り返せます。暗記カードは、表に問い、裏に答えを書き、めくって自分で確認できます。答えを見た瞬間に「知っている」と感じても、それは自力で思い出せることとは別物です。覚えられたかは、見て確認するのでなく、隠して自分で思い出せるかで判定します。市販の一問一答集を使ってもかまいませんし、間違えた問題だけをカードにするのも効果的です。読み返すだけで満足せず、答えを隠して自分で言えるかを試してみましょう。

暗記はアウトプット中心で手と口を動かす

暗記の効率を上げる三つ目のコツは、覚えた知識を外に出すアウトプットです。頭に入れる作業だけでなく、出す作業を増やすと定着が進みます。

具体的には、覚えた内容を紙に書く、声に出す、家族に説明するといった方法があるのです。人に説明しようとすると、あいまいな部分がはっきりし、どこが抜けているかに気づけます。覚えたつもりの知識ほど、いざ書き出そうとすると出てこないものです。読むだけのインプットは手軽な反面、覚えた気になりやすい落とし穴もあります。1回読んだら1回は書くか声に出すことを目安に、手と口を動かしながら覚えていきましょう。

覚える時間は寝る前と朝を組み合わせる

覚える時間帯を工夫することも、暗記の効率を左右します。とくに寝る前と朝の組み合わせは、記憶の定着に向いています。

睡眠中は、その日に覚えたことが頭の中で整理されるといわれます。寝る直前に暗記し、翌朝に同じ範囲を軽く見直すと、一晩をはさんで記憶が固まりやすくなります。テレビやゲームのあとより、一日の終わりの落ち着いた時間のほうが頭に入りやすいものです。夜に覚えて朝に確認する、この2回の接触がそのまま復習にもなります。暗記科目は寝る前の10分に回し、翌朝の起きがけに前夜の範囲をさっと確かめる流れを作ってみてください。

覚えにくい用語は語呂合わせで引っかかりを作る

どうしても覚えられない知識には、語呂合わせが役立ちます。意味の薄い数字や順序に、リズムや語感の引っかかりを持たせる方法です。

年号や元素の順番など、理屈で覚えにくいものほど語呂の効果が出ます。「いい国つくろう」のように音の流れに乗せると、ただの数字より思い出しやすくなるものです。市販の語呂の本を使ってもかまいませんが、子ども自身が語感を探して作った語呂は記憶により強く残ります。手間をかけて作るぶん、覚えようとする意識も自然に高まります。すべてを語呂にする必要はなく、何度やっても抜ける知識にしぼって使うと効率的です。

忘却曲線をふまえた復習の進め方

暗記は一度覚えて終わりにすると、その多くが抜けていきます。ここでは、忘却曲線をふまえた復習の進め方を紹介します。

POINT

暗記は「当日・1週間後・1か月後」の3回を目安に、間隔を広げながら復習する。覚え直すたびに記憶は固まり、1回あたりにかかる時間も短くなる。

復習のタイミング ねらい
覚えた当日 忘れが速いうちに記憶をつなぎ止める
1週間後 薄れかけた記憶を呼び戻す
1か月後 長期の記憶として固定する

最初の復習は覚えた当日のうちに済ませる

復習で最も大切なのは、1回目を覚えた当日のうちに行うことです。記憶が最も速く薄れるのは、覚えた直後だからです。

その日に学んだ範囲を、寝る前などに5分でも見直すと、忘れかけた記憶をつなぎ止められます。時間をあけずに一度戻ることで、翌日以降の忘れる速さがゆるやかになるのです。新しく暗記した日は、その日のうちに軽く見返す時間を必ず取るようにします。この当日のひと手間が、あとの復習をぐっと楽にするのです。逆に最初の復習を数日後まで放置すると、覚え直しに近い労力がかかってしまいます。暗記した日は、寝る前の数分を見返しにあてる習慣をつけましょう。

2回目以降は1週間後と1か月後に間隔を広げる

2回目以降の復習は、間隔を少しずつ広げていくのがコツです。忘れかけたころに思い出す作業が、記憶を強く固定します。

目安は、当日の1回目に続けて、1週間後に2回目、1か月後に3回目という流れです。1回目より2回目、2回目より3回目と、復習にかかる時間は短くなっていきます。一度で完全に覚えようとせず、忘れることを前提に回数で定着させる考え方です。まだ覚えているうちに毎日繰り返すより、少し忘れたころに戻すほうが、記憶は長持ちします。復習の予定は間隔を広げる形で組み、覚え直しの手間を減らしていきましょう。

復習は記録をつけて抜けを可視化する

復習を続けるコツは、やった範囲と間違えた問題を記録することです。記録がないと、どこを復習し忘れているかが見えなくなります。

覚えた日と復習した日を簡単にメモしておくと、次にいつ戻ればよいかが分かります。手帳の端でもノートの余白でも、書き留める場所はどこでもかまいません。間違えた問題に印をつけておけば、できる問題を何度も解く無駄が減らせます。何度も間違える知識だけが手元に残り、そこに時間を集中させられます。市販の暗記アプリを使ってもよいので、覚えた範囲と苦手な問題を目に見える形で管理してみてください。

暗記が苦手な子への工夫

暗記が苦手な子でも、覚え方を変えるだけで負担は軽くなります。ここでは、暗記が苦手な子への具体的な工夫を紹介します。

Q. うちの子はどれだけやっても覚えられません。もう暗記に向いていないのでしょうか。
A. 向き不向きの前に、覚え方が子どもに合っていない場合がほとんどです。範囲を小さく区切る、五感を使う、興味のある入り口から広げるといった工夫で、同じ子でも覚えられる量は変わります。

覚える範囲を小さく区切って達成感を作る

暗記が苦手な子には、覚える範囲を小さく区切る工夫が効きます。一度に多くを求められると、手をつける前にあきらめてしまうからです。

たとえば社会の用語を30個まとめて渡すより、5個ずつに分けて「これだけ覚えよう」と示すほうが取りかかれます。小さな範囲を覚えきる経験を積むと、「覚えられた」という手応えが次への意欲につながるのです。覚える前から「無理そう」と感じさせないことが、苦手意識をやわらげます。できない量を前に固まるより、できる量を刻んで重ねるほうが、結果として多く覚えられます。1回に覚える量を思いきって減らし、達成感を小さく積み上げる形に変えてみてください。

五感を使うと苦手な子でも記憶に残りやすい

覚えるのが苦手な子ほど、五感を使った暗記が向いています。目で読むだけでなく、書く・声に出す・耳で聞くと、記憶の手がかりが増えるからです。

手を動かして書くと、文字の形や書いた感覚が記憶に加わります。声に出して読めば、自分の声を耳で聞く分だけ入り口が増えます。歌やリズムに乗せて覚える方法も、音の記憶として残りやすい手です。一つの知識に複数の感覚がひもづくほど、思い出すきっかけの数も増えていきます。書くだけ、読むだけで終わらせないことが、苦手な子には特に効きます。目だけで覚えようとして進まないときは、書く・言う・聞くのうち二つ以上を組み合わせて覚えさせてみましょう。

科目別の暗記分野への応用

暗記のコツは、科目の特徴に合わせて使い分けると効果が高まります。ここでは、暗記分野の多い科目への応用を紹介します。

社会は用語を出来事のつながりで覚える

社会は暗記量が多い科目ですが、用語を出来事のつながりで覚えると効率が上がります。人物・年号・地名がばらばらのままだと、数の多さに埋もれてしまいます。とくに歴史は覚える語の数が多く、単純な丸暗記では追いつきません。

歴史なら、出来事を時代の流れの中に置き、原因と結果でつなげて覚えます。地理なら、気候や地形と産業を関連づけると、単独の暗記より思い出しやすくなるのです。工業地帯なら、そこに港や平野がある理由とセットにすると忘れにくくなります。丸暗記に頼らず、意味のつながりで束ねるのが社会の暗記のコツです。社会の覚え方や一問一答の活用は、次の記事もあわせて参考にしてください。

中学受験の社会の覚え方|地理・歴史・公民の分野別攻略と時事

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理科は暗記分野を仕組みと結びつけて覚える

理科は計算分野と暗記分野が混ざりますが、暗記分野は仕組みと結びつけると覚えやすくなります。植物や天体、岩石の名前を、ただの言葉として覚えると抜けやすいからです。

たとえば植物のつくりは、根・茎・葉のはたらきとセットで覚えると、名前だけよりしっかり定着します。はたらきが分かっていれば、名前を忘れても仕組みからたどり直せるのです。星の動きや季節の変化も、理由とあわせて理解すると忘れにくくなります。暗記分野こそ、なぜそうなるかを一度おさえてから覚えるのが近道です。理科の暗記と計算の攻略は、次の記事でさらにくわしく紹介しています。

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中学受験の理科で点が伸びず、暗記と計算のどちらから手をつけるか迷う保護者に向けた記事です。生物・地学の暗記分野の覚え方から、物理・化学の計算…

漢字と語彙は読み書きと意味をあわせて覚える

国語の漢字と語彙は、読み書きと意味をあわせて覚えると得点につながります。字の形だけを覚えても、意味が分からなければ文章の中で使えません。とめ・はね・はらいだけを練習しても、なかなか得点には結びつきません。

漢字は、読み方と書き取りに加えて、その語がどんな場面で使われるかまで確認します。語彙は、例文とセットで覚えると、記述や読解のときにも生きてくるのです。意味を知らない言葉は、書けても使えず、読解でつまずく原因になります。書いて覚える練習と、意味を理解する作業を分けずに進めるのがコツです。漢字と語彙の効率的な覚え方は、次の記事にまとめています。

中学受験の漢字と語彙の覚え方|出題傾向と読解に効く関係

中学受験の漢字が苦手で、語彙も含めてどう覚えさせればいいか迷う保護者に向けた記事です。漢字の出題傾向と効率的な覚え方から、四字熟語・慣用句・…

まとめ

中学受験の暗記は、丸暗記に頼らず、意味や理由と関連づけて覚えるのが効率を上げる基本です。用語は一問一答や暗記カードで思い出す練習をし、書く・声に出すといったアウトプットを増やすと定着します。

覚えた知識は、当日・1週間後・1か月後と間隔を広げて復習すると、忘却曲線の下り坂をゆるやかにできます。暗記が苦手な子は、範囲を小さく区切り、五感を使って覚えると負担が軽くなります。

社会や理科、漢字語彙は、それぞれの知識の性質に合わせて覚え方を選ぶと効率が上がります。まずは、覚えたその日のうちに一度見直す習慣から始めてみてください。

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