模試の結果は志望校を決める大切な材料ですが、いざ受けようとすると「どの模試を選べばいいのか」で手が止まる方は多いものです。サピックス、四谷大塚、日能研、首都圏模試と名前は聞くけれど、何がどう違うのかは見えにくいはずです。
模試ごとに難易度も受験する層も違うため、選び方を誤ると偏差値の意味を読み違えてしまいます。わが子に合わない模試を受け続けても、正確な立ち位置はつかめません。
この記事では、主要な4つの模試の種類と特徴から、志望校に合わせた選び方、結果の活用法、受ける頻度の目安までをまとめました。わが子にどの模試が合うのかを考えながら読み進めてみてください。
中学受験の主要な模試の種類
中学受験で受けられる公開模試は、主催する塾やセンターごとに難易度も受験者層も異なります。ここでは、代表的な4つの模試の対象学年と特徴を見ていきます。
| 模試 | 主催 | 主な対象 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| サピックスオープン | サピックス | 主に小6 | 最も高い | 難関校志望の上位層が中心 |
| 合不合判定テスト | 四谷大塚 | 小6 | やや高い | 年6回・多くの塾が採用 |
| 全国公開模試 | 日能研 | 小4〜6 | 標準 | 受験者数が最も多い |
| 統一合判 | 首都圏模試センター | 主に小6 | 基礎〜標準 | 中堅・公立一貫校志望が多い |
サピックスオープンは難関校を目指す子向けの最難関模試
サピックスオープンは、進学塾サピックスが主催する模試で、4つの中でもっとも難易度が高いことで知られます。主な対象は小6で、春から夏の志望校判定サピックスオープンと、秋以降に全4回ある合格力判定サピックスオープンに分かれています。
受験するのは難関校を狙う上位層が中心で、年間およそ3万人が受けます。母集団の学力が高いぶん、同じ実力でも偏差値は他の模試より低めに出やすいという特徴があります。志望校の出題傾向に合わせた学校別サピックスオープンも用意されています。御三家など最難関校を志望するなら、この模試で上位層の中での位置を確かめてみてください。
四谷大塚の合不合判定テストは小6対象で年6回の定番模試
合不合判定テストは、四谷大塚が主催する小6専用の模試で、例年4月から12月にかけて年6回実施されます。多くの進学塾が採用しているため母集団が広く、志望校の合格可能性を測る定番として長く使われてきました。
出題は算数と国語が各150点、理科と社会が各100点の計500点で構成されます。難易度は日能研の模試よりやや高いと評価されることが多く、標準から発展までを幅広く含みます。回を重ねるほど判定の精度が上がるため、1回だけでなく続けて受けるのがおすすめです。第一志望が固まってきたら、同じ模試を継続して受けて判定の変化を追いましょう。
日能研全国公開模試は受験者数が最も多い標準レベルの模試
全国公開模試は、日能研が主催する模試で、年間の受験者数が7万人を超えるもっとも規模の大きい模試です。小4から小6まで対象が広く、学年に応じて実力判定から合格判定まで段階的に用意されています。
難易度は4つの中で標準的な位置にあり、基礎の定着と応用のバランスを見るのに向いています。受験者数が多いぶん、母集団の中での自分の位置がつかみやすいのも利点です。小6では5月の志望校選定、6月の志望校判定を経て、秋以降の合格判定へと進みます。幅広い層の中で立ち位置を確かめたい場合は、この模試を軸に据えるとよいでしょう。
首都圏模試は中堅・公立一貫校を目指す子に向く基礎から標準の模試
統一合判は、首都圏模試センターが主催する模試で、私立中堅校や公立中高一貫校を志望する子が多く受けます。主な対象は小6で、前期と後期を合わせて全6回、毎回およそ1万3000人から1万5000人が受験します。
難易度は4つの中でもっとも易しく、基礎から標準のレベルが中心です。母集団の学力層が幅広いため、同じ実力でも偏差値は高めに出る傾向があります。偏差値だけでなく、思考コードという独自の指標で読む力と考える力を測るのも特徴です。中堅校や公立一貫校を志望するなら、この模試で無理のない立ち位置を確かめてみてください。
模試ごとの難易度と偏差値の出方
同じ子が受けても、模試が違えば返ってくる偏差値は大きく変わります。ここでは、なぜ模試ごとに偏差値の出方が違うのかを説明します。
模試の偏差値は受験する層の学力で上下する
偏差値は、その模試を受けた集団の中で自分がどの位置にいるかを示す数値です。つまり、まわりの受験者の学力が高いほど、同じ点数でも偏差値は低く出ることになります。
サピックスオープンのように上位層が集まる模試では、平均点が高くなるため偏差値は厳しめに出るのです。逆に、幅広い層が受ける首都圏模試では、偏差値はゆるやかに高く出やすくなります。どちらが正しいということではなく、母集団が違えば物差しそのものが違うと考えてください。同じ子でも、受ける模試が変われば返ってくる数字は動きます。偏差値を見るときは、まず「誰の中での位置か」を確かめる習慣をつけましょう。
同じ実力でも受ける模試で偏差値は5〜10ほど変わる
同一の子どもが複数の模試を受けると、返ってくる偏差値が模試ごとに食い違うことは珍しくありません。一般に、サピックスオープンと首都圏模試では、同じ実力でも偏差値が10前後も開くことがあります。四谷大塚や日能研は、その中間あたりに位置します。
この差を知らずに数字だけを比べると、成績が上がった下がったと一喜一憂してしまいます。大切なのは、模試をまたいで偏差値を単純比較しないことです。志望校の合格ラインも、その学校の合否判定を出している模試の物差しで示されています。数字を見るときは、必ずどの模試の偏差値なのかをセットで確認しましょう。
偏差値は志望校の合格ラインと同じ模試でそろえて見る
志望校の合格に必要な偏差値は、模試ごとに別々の基準で公表されています。そのため、A模試で出た自分の偏差値を、B模試の合格ラインと突き合わせても意味がありません。
比べるときは、志望校の合格判定を出している模試と、自分が受ける模試をそろえるのが基本です。多くの学校は複数の模試で合格ラインを公表しているので、受ける模試の基準を選んで見ましょう。偏差値の細かな読み方や、合格可能性の判定の考え方は、別の記事で詳しくまとめています。まずは自分が軸にする模試を1つ決め、その物差しで志望校との距離を測ってください。
志望校や学年に合わせた模試の選び方
模試は数を受ければよいものではなく、志望校や学年に合ったものを軸に選ぶことが大切です。ここでは、どんな子がどの模試を受けるとよいかを見ていきます。
難関校志望はサピックスオープンで上位層の中の位置を測る
御三家や難関校を第一志望にするなら、上位層が集まるサピックスオープンが向いています。標準的な模試では高い偏差値が出ても、難関校の入試本番では同じ実力層の中で競うことになるからです。
サピックスオープンは母集団の学力が高いため、難関校で戦える力があるかを厳しく測れる模試です。偏差値が下がって見えても、それは物差しが厳しいだけで力が落ちたわけではありません。学校別サピックスオープンを使えば、志望校の出題傾向に対する相性も確かめられます。最難関を狙うなら、早い時期からこの模試で上位層の中での位置に慣れておきましょう。
中堅・標準校志望は日能研か四谷大塚で母集団の中央を見る
中堅校から上位校の幅で志望校を考えているなら、日能研か四谷大塚の模試が向いています。どちらも受験者層が幅広く、標準的な難易度で母集団の中央あたりの位置がつかめます。
日能研は受験者数が多く、四谷大塚は多くの塾が採用しているため、いずれも判定の材料が豊富です。通っている塾でどちらかの模試が組み込まれている場合は、それをそのまま使うと手間がかかりません。2つを併用するより、どちらか1つを軸に継続して受けるほうが推移を追いやすくなります。志望校の合格ラインが載っているほうの模試を選び、同じ物差しで見続けましょう。
公立中高一貫校志望は適性検査型の模試を選ぶ
公立中高一貫校を志望するなら、教科ごとの学力を測る模試だけでは対策が足りません。公立一貫校の入試は、教科横断で考える適性検査型の出題が中心だからです。
首都圏模試センターをはじめ、適性検査に対応した模試や回が用意されています。私立向けの4科目模試とは問われる力が違うため、志望に合わせて種類を選ぶ必要があります。作文や記述の比重が高い学校もあり、対策の方向は受検先によって変わります。私立と公立一貫を併願する場合は、両方の形式の模試を計画的に組み込みましょう。志望校の入試形式を確かめたうえで、それに合った模試を選んでください。
通っている塾が実施する模試をまず軸にする
どの模試にするか迷ったときは、通っている塾が実施する模試をまず軸にするのが現実的です。塾のカリキュラムと模試の範囲がそろっているため、日々の学習の成果がそのまま反映されやすくなります。
複数の模試に手を広げるより、志望校のレベルに合う模試を1つ決めて継続するほうが、偏差値の推移を正しく追えます。まず軸を1つに絞ってください。
塾の模試に加えて別の模試も受けたい場合は、本命の学校が合格ラインを公表している模試を選ぶと無駄がありません。受ける模試を増やすほど費用も負担も膨らむため、目的をはっきりさせてから足しましょう。まずは軸となる1つを決め、その物差しで最後まで見続けることを基本にしてください。
模試の結果の活用法
模試は受けて偏差値を見るだけでは、次の学習につながりません。ここでは、返ってきた結果をどう使えば成績の改善につながるかを見ていきます。
間違えた問題を単元ごとに分けて弱点を洗い出す
模試の結果で最初に見るべきは、偏差値よりも間違えた問題の中身です。どの単元で失点したかを洗い出すことが、次に何を勉強すべきかを決める出発点になります。
理科の物理分野だけ落としている、算数の図形で毎回つまずくといった傾向は、単元ごとに整理すると見えてきます。得点だけを見て一喜一憂せず、間違いを分類する作業に時間をかけましょう。同じ単元を続けて落としているなら、そこが優先して立て直すべき弱点です。逆に、その日だけ落とした問題は苦手とは限らず、見直すだけで済むこともあります。返却されたら数日以内に、間違えた問題を単元別に仕分けしてみてください。
偏差値の推移を複数回並べて実力の幅をつかむ
1回の偏差値だけで実力を判断すると、たまたまの好不調に振り回されてしまいます。子どもの成績は上下に振れるため、複数回の結果を並べて幅で見ることが欠かせません。
良かったときと悪かったときの偏差値の幅を出すと、実力の中心がどのあたりにあるかがつかめます。志望校を選ぶときは、調子の悪い回でも届く学校を安全校として押さえると安心です。1回の判定が良くても、次の回で下がることは普通に起こります。数回分をならして見れば、その日の運不運に左右されにくくなります。模試の結果は毎回記録し、点ではなく線で成績を追っていきましょう。
結果をもとに家庭学習の時間配分を組み直す
弱点が見えたら、次は家庭学習の時間の使い方に反映させます。模試はやりっぱなしにせず、結果を日々の勉強の配分に落とし込むことで意味を持ちます。
失点の多かった単元に学習時間を厚く割り当て、得意な分野は維持する程度に抑えると効率的です。ただし苦手だけに偏らせると得意が崩れるため、全体のバランスも見ながら調整しましょう。学年や時期によって確保できる勉強時間は変わるので、無理のない範囲で組み直すことが続けるコツです。一度にすべてを直そうとせず、次の1か月で取り組む単元を絞ると続けやすくなります。次の模試までの期間で、弱点補強にあてる時間を具体的に決めてみてください。
模試を受ける頻度と時期の目安
模試は多く受けるほどよいわけではなく、学年に応じた適度な頻度があります。ここでは、いつごろどのくらいの間隔で受けるとよいかの目安を示します。
小6は月1回程度の同じ模試を軸に受ける
受験学年の小6になったら、月1回程度のペースで同じ模試を軸に受けるのが目安です。同じ模試を継続することで、偏差値の推移から実力の伸びと停滞が読み取れます。
四谷大塚の合不合判定テストや日能研の合格判定テストは、秋以降に定期的に実施されます。志望校の合格判定を出している模試を選び、毎回受けて判定の変化を追いましょう。小4や小5のうちは、数か月に1回のペースで学習の定着を確認する程度で十分です。低学年から毎月受ける必要はなく、学年が上がるにつれて間隔を狭めていく形が無理のないやり方です。小6の1年間の過ごし方は別の記事でもまとめているので、あわせて確認してみてください。
受けすぎは負担になるため多くて月1〜2回にとどめる
模試を受けるほど正確に位置がわかると考えて、いくつも掛け持ちするのは逆効果です。模試は1回ごとに半日を使い、直しにも時間がかかるため、受けすぎると復習が追いつきません。
複数の模試を毎週のように受けると、結果の直しが回らないまま次の模試を迎えることになります。受けっぱなしの模試は費用がかかるだけで、成績の改善にはつながりません。
模試の本数は、多くても月1回から2回にとどめ、1回ごとにしっかり復習する時間を確保しましょう。志望校の傾向に合わない模試まで無理に受ける必要はありません。受ける回数を絞り、その1回を深く使い切ることを基本にしてください。
まとめ
中学受験の主要な模試は、サピックスオープン、四谷大塚の合不合判定テスト、日能研の全国公開模試、首都圏模試の統一合判の4つです。難易度と受験する層が違うため、同じ実力でも偏差値は模試ごとに5から10ほど変わります。
志望校のレベルに合わせて、難関校なら厳しめの模試、中堅校なら標準的な模試というように軸を1つ決めるのが選び方の基本です。結果は偏差値だけを見ず、間違えた単元を洗い出し、家庭学習の時間配分に落とし込んで使いましょう。
受ける頻度は、小6で月1回程度を目安にし、多くても月1から2回にとどめて復習の時間を確保します。まずはわが子の志望校に合う模試を1つ決めることから始めてみてください。
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