入試の前日が近づくと、子ども以上に親のほうが落ち着かなくなるものです。あれこれ言いたくなり、夜になっても気持ちがそわそわしてしまう方も多いでしょう。前日と当日の体調管理は、それまで積み上げた力を本番で出しきるための最後の仕上げになります。
とはいえ、いざ前日を迎えると、勉強させるべきか休ませるべきか、何時に寝かせて何時に起こすか、迷うことばかりです。特別なことをして生活リズムを崩し、かえって当日に響かせてしまうのも避けたいところです。
この記事では、入試前日の過ごし方から当日朝の動き方、前日と当日の体調管理、緊張のほぐし方までをまとめました。わが子を万全の状態で送り出すための備えとして、読み進めてみてください。
まず、前日から当日朝までにやることを一覧で確認しておきましょう。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 前日の昼 | 軽い復習・持ち物の準備・いつも通りの食事 |
| 前日の夜 | 翌日の服と経路を用意・7〜8時間の睡眠 |
| 当日の朝 | 試験3時間前に起床・軽い朝食・服装で体温調整 |
| 出発から会場 | 30分前着で移動・深呼吸して待機 |
入試前日の過ごし方
入試前日は、新しいことを詰め込む日ではなく、体と心を整える日です。ここでは、前日にやるべき勉強や持ち物の準備、睡眠の取り方までを順に見ていきます。
前日の勉強は軽い復習にとどめる
前日の勉強は、これまで解いた問題の軽い見直しにとどめます。新しい問題集や難しい単元に手を出すと、解けなかったときに自信を失いかねません。前日にやるのは、暗記事項の最終確認や、間違えた問題の解き直しくらいで十分でしょう。長時間机に向かわせるより、短く切り上げて心の余裕を残すほうが当日に生きます。
やってほしいのは、これまで積み上げた力を確かめて安心させることです。できるようになった問題を一緒に振り返り、「ここまで仕上がったね」と声をかけてあげてください。前日に詰め込んでも得点は大きく変わりません。むしろ睡眠を削るほうが痛手になります。
前日に苦手分野を一気に埋めようとするのは逆効果です。解けない問題に直面すると不安が膨らみ、当日まで引きずってしまいます。新しい教材は開かず、これまでの復習だけに絞りましょう。
持ち物は前日のうちにそろえる
当日の朝にあわてないよう、持ち物は前日のうちにすべてそろえておきます。受験票や筆記用具、上履き、時計など、学校ごとに必要なものは違います。募集要項をもう一度読み返し、指定された持ち物をリスト化して一つずつかばんに入れましょう。予備の鉛筆や消しゴムも、多めに用意しておくと安心です。
飲み物や軽食、常備薬、ハンカチなど、当日を支える細かな品も忘れずに準備します。交通系ICカードの残高や、上着のポケットの中身も前夜のうちに確かめておくとよいでしょう。当日の朝に探し物をすると、それだけで気持ちが乱れます。持ち物を玄関にまとめて置き、あとは持って出るだけの状態にしておいてください。
翌日の準備は前夜に済ませる
持ち物のほかに、翌朝の動きに関わる準備も前夜に済ませておきます。当日着る服や下着、靴下は枕元にそろえ、朝は着替えるだけにしておきましょう。会場までの経路と電車の時刻、乗り換えも紙に書き出して玄関に貼っておくと迷いません。起きる時刻と家を出る時刻を決め、家族で共有しておくことも大切です。
朝食のメニューや、温かい飲み物を入れる水筒の準備も前夜のうちに考えておきます。天気予報を確認し、雨なら傘や替えの靴下も用意しておくと当日あわてずにすみます。ここまで整えておけば、当日の朝は起きて食べて出るだけの状態になっているでしょう。子どもを早く休ませるためにも、親が段取りを先に終えておいてください。
早めに就寝して睡眠時間を確保する
前日は夜ふかしを避け、いつもより少し早めに布団に入ります。睡眠不足のまま本番を迎えると、集中力も判断力も鈍ってしまいます。前日の睡眠は7〜8時間を目安に確保しましょう。前日だけ極端に早く寝かせようとすると、かえって寝つけずに親子で焦ることもあります。
理想は、数日前から本番と同じ時刻に寝起きするリズムを作っておくことです。当日は試験開始の3時間前に起きるため、そこから逆算して就寝時刻を決めてください。もし緊張で寝つけなくても、横になって目を閉じているだけで体は休まります。眠れないことを責めず、「大丈夫、休めているよ」と穏やかに声をかけてあげましょう。
前向きな言葉で子どもを送り出す
前日から当日にかけて、子どもの心を支えるのは親の言葉です。「絶対に受かって」と期待をぶつけると、それがプレッシャーになってしまいます。かける言葉は「いつも通りやっておいで」くらいが、ちょうどよい後押しになります。結果を約束させるのではなく、ここまで続けてきた努力そのものをねぎらってあげましょう。
親が不安そうにしていると、その空気は子どもに移ってしまうものです。だからこそ、まずは親自身が落ち着いて、笑顔でいることを心がけてください。「あなたなら大丈夫」という信頼を、表情と声でそっと伝えます。前向きな一言が、子どもの背中を軽くして本番へと送り出します。
入試当日の朝の過ごし方
入試当日の朝は、脳と体を試験の時間に合わせて起こしていく時間です。ここでは、起床の時刻から朝食、家を出るまでの動き方を見ていきます。
起床は試験開始の3時間前にする
当日は、試験開始の3時間前を目安に起こします。脳がしっかり働き始めるまでには、起きてからおよそ3時間かかるとされています。試験が9時開始なら、6時前後の起床が一つの目安です。早く起こしすぎても眠く、遅すぎても頭が回らないため、逆算して時刻を決めましょう。
起きたら、カーテンを開けて朝の光を浴びさせてください。顔を洗い、軽く体を動かすと、目覚めが早まります。時間に余裕があれば、計算問題を1問だけ解いたり、短い文章を音読したりすると頭が慣れます。当日はじめて見る数字や文字が試験問題、という状態を避けられるでしょう。
朝食は消化のよいものを軽くとる
朝食は必ずとらせます。試験は頭も体も消耗するため、抜くと途中でエネルギーが切れてしまいます。食欲がなくても、消化のよいものを軽くお腹に入れておきましょう。ごはんやパン、うどん、バナナなど、普段から食べ慣れたものが安心です。
避けたいのは、脂っこいものや生もの、いつもと違う特別なメニューです。胃に負担がかかると、試験中に腹痛や気持ち悪さを招きかねません。温かい味噌汁やスープを添えると、体も温まり食も進みます。無理に全部食べさせようとせず、食べられる範囲で切り上げましょう。食べる量より、いつも通りのものを少しでも口にすることを大事にしてください。
時間に余裕をもって家を出る
家を出る時刻は、いつもより早めに設定します。当日は電車の遅延や、駅から会場までの混雑で、思った以上に時間がかかることがあります。会場には集合時刻の30分前に着くくらいの余裕をみておきましょう。早く着きすぎても、近くで温かい飲み物を飲みながら待てば問題ありません。
移動中は、無理に参考書を広げなくてかまいません。子どもが不安そうなら、軽い雑談で気持ちをほぐすほうが落ち着きます。交通機関が乱れたときのために、別の経路も一つ調べておくと安心でしょう。あわてず会場に入れるよう、時間には十分な幅をもたせてください。
会場では深呼吸をして待つ
会場に着いたら、まずは深呼吸をして呼吸を落ち着けます。周りの子が難しそうな問題集を開いていても、気にする必要はありません。自分がやってきたことを信じ、これまで使ったお守りのノートを軽く眺めるくらいでよいでしょう。トイレの場所を先に確かめておくと、直前にあわてずにすみます。
待ち時間に見直すなら、新しい範囲ではなく、覚えた要点をさっと確認する程度にとどめます。冷えは集中の敵なので、上着やひざ掛けで体を温めておきましょう。試験官の指示をよく聞き、開始の合図を落ち着いて待ってください。緊張は誰にでもあるものと伝え、送り出す親も笑顔でいたいところです。
前日から当日の体調管理
前日から当日にかけては、実力を出しきれるかどうかを体調が大きく左右します。ここでは、睡眠と食事、感染症への備えを具体的に見ていきます。
体調管理は「睡眠・食事・感染対策」の3つが柱です。前日だけ頑張るのではなく、数日前からいつも通りの生活を保つことが、当日のコンディションにつながります。
睡眠リズムを数日前から整える
当日に強い体をつくるには、数日前から睡眠のリズムをそろえておきます。直前になって急に早寝早起きに切り替えると、体内時計が追いつかずに日中ぼんやりしてしまいます。1週間ほど前から、本番と同じ時刻に寝て同じ時刻に起きる練習を重ねましょう。休日も生活リズムを大きく崩さないことが、当日の目覚めのよさにつながります。
昼寝をするなら、15分から20分ほどの短い仮眠にとどめます。長く眠ると夜の寝つきが悪くなり、リズムが乱れてしまうためです。寝る前のスマートフォンやゲームは、脳を興奮させて眠りを浅くします。就寝1時間前には画面を消し、落ち着いて過ごせる環境をつくってあげてください。
胃腸のトラブルを食事で防ぐ
本番で力を出すには、胃腸を整えておくことも欠かせません。緊張するとお腹が痛くなりやすい子は、前日から消化のよい食事を選びましょう。おかゆやうどん、豆腐、白身魚、鶏むね肉などは、胃に優しく力になります。脂っこい揚げ物や生もの、食べ慣れないものは、この時期だけは控えるのが安全です。
冷たい飲み物のとりすぎも、お腹を冷やして下しやすくなります。カフェインや糖分の多い飲み物は避け、常温の水や麦茶を選んでください。心配なら、普段使っている整腸剤を医師や薬剤師に相談して用意しておくと安心でしょう。当日の朝も、いつも通りの消化のよい朝食で胃腸を落ち着かせてあげましょう。
感染症の流行に備えて予防する
入試は、インフルエンザやかぜが流行する時期に重なります。せっかくの実力も、体調を崩しては発揮できません。前日までの数週間は、手洗いとうがいを習慣にし、人混みへの外出をできるだけ控えましょう。家族全員で予防を心がけ、早めのワクチン接種も検討しておくと安心です。
マスクの着用や、部屋の加湿もかぜの予防に役立ちます。睡眠と栄養をしっかりとり、免疫が下がらない生活を保つことも大切でしょう。それでも当日に発熱した場合に備え、追試や別日程の有無を学校に確認しておいてください。万一のときの対応を知っておくだけで、親の不安はぐっと軽くなります。
服装を重ねて体を冷やさない
試験会場は、暖房が効きすぎていたり、逆に寒かったりと環境が読めません。体が冷えても暑くても、集中は途切れてしまいます。脱ぎ着で調整できるよう、重ね着で会場に向かわせましょう。カーディガンやベストなら、試験中でも体温に合わせて調節しやすくなります。
足元の冷え対策として、厚めの靴下やひざ掛けを持たせるのも効果的です。使い捨てカイロを一つしのばせておくと、寒い教室でも手先が冷えずにすみます。ただし、上着の着用が認められるかは学校ごとに違うため、事前に確かめておきましょう。当日の気温に合わせて、無理なく調節できる服装を選んであげてください。
入試前の緊張をほぐす方法
どれだけ準備をしても、本番前の緊張は完全には消えません。ここでは、子どもの気持ちを和らげる方法と、親のかかわり方を見ていきます。
体を動かして緊張を和らげる
緊張は、体をほぐすことである程度やわらぎます。肩を回したり、大きく伸びをしたり、その場で軽く足踏みをすると、こわばった体がゆるみます。ゆっくり息を吐く深呼吸を数回くり返すだけでも、高ぶった気持ちは落ち着いてくるでしょう。緊張は悪いものではなく、力を出すための準備だと伝えてあげてください。
眠れない夜は、無理に寝かせようとせず、好きな音楽を流して横にならせるだけでもかまいません。体が休まっていれば、頭は十分に働きます。緊張を隠すより、「ドキドキするね」と言葉にするほうが気持ちは軽くなります。当日の朝は、いつも通りの声かけで送り出してあげましょう。
親の声かけで子どもを安心させる
当日の子どもにとって、いちばんの支えは親の落ち着いた態度です。親が不安な顔をしていると、その空気は子どもに伝わってしまいます。「あなたなら大丈夫」と信じている姿勢を、言葉と表情で見せてあげましょう。プレッシャーになる「絶対受かって」より、「いつも通りやっておいで」のほうが力になります。
送り出すときは、結果ではなく、ここまで頑張ってきた過程をねぎらってください。「よく頑張ったね」の一言が、子どもの気持ちを軽くします。試験が終わったあとも、出来を問い詰めず、まずは労をねぎらうことを心がけましょう。親の穏やかな声かけが、子どもが実力を出しきるための一番の後押しになります。
まとめ
入試前日は、新しい問題に手を広げず、軽い復習と持ち物の準備にとどめるのが安心です。夜は7〜8時間の睡眠を確保し、数日前から本番と同じリズムで寝起きしておきましょう。
当日の朝は、試験開始の3時間前に起きて脳を目覚めさせ、消化のよいものを軽く食べさせます。時間に余裕をもって家を出れば、会場でも落ち着いて開始を待てるでしょう。
前日から当日の体調は、睡眠と食事、感染症への備えで大きく変わります。緊張は誰にでもあるものと伝え、親は結果より過程をねぎらう声かけを心がけてください。まずは、前日から当日までのやることを家族で共有することから始めてみましょう。


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