理科は覚えることも計算問題も多く、子どもがどこから手をつければいいのか迷いやすい科目です。暗記に時間をかけても計算でつまずき、計算ばかり練習しても知識問題を落とす。そんなちぐはぐさに、点数が伸び悩む家庭は少なくありません。
とはいえ、理科は4つの分野でそれぞれ性格が異なります。同じ勉強のやり方で全部を押そうとすると、力の入れどころがずれて空回りしてしまうものです。
この記事では、理科の4分野の違いから、暗記分野の覚え方、計算分野の解き方、実験・観察や時事問題の対策、そして学習計画の立て方までをまとめました。わが子がどの分野で落としているかを思い浮かべながら読み進めてみてください。
中学受験の理科の4分野と暗記・計算の性格の違い
中学受験の理科は、生物・地学・物理・化学の4分野から出題され、どの分野も配点はほぼ均等です。ここでは、4分野を暗記中心と計算中心に分ける考え方を見ていきます。
生物と地学は覚えた知識がそのまま得点になる暗記中心の分野
生物と地学は、覚えた知識がそのまま得点につながる暗記中心の分野です。植物や動物のつくり、天体の動き、地層のでき方など、知っていれば答えられる問題が中心になります。
計算問題が少ないぶん、取りこぼしを減らせば得点が安定して積み上がります。逆に、覚える量そのものは多いため、直前にまとめて詰め込もうとすると間に合いません。覚えたぶんだけ結果が返ってくるので、努力が点数に表れやすい分野でもあります。同じ暗記型の社会と合わせて、早い時期から少しずつ知識を入れておくと負担が分散します。まずは生物と地学を、こつこつ覚える科目として位置づけておきましょう。
物理と化学は数値を処理する計算中心の分野
物理と化学は、数値を処理して答えを出す計算中心の分野です。力のつり合い、電気の回路、水溶液の濃度など、公式や比を使って解く問題が多くを占めます。
ここで大切なのは、公式をただ丸暗記しても点が伸びにくいことです。なぜその式になるのかを理解していないと、少し数字や条件を変えられただけで手が止まります。逆に、仕組みを理解していれば、初めて見る問題でも同じ考え方で解けるのです。暗記分野と違い、解き方の理屈を体で覚えるまで問題を繰り返す必要があります。まずは1つの単元を、基本問題で解き方が身につくまで練習してみてください。
4分野は配点がほぼ均等で苦手分野を作りにくい
中学受験の理科は、4分野からまんべんなく出題されるのが一般的です。学校によって多少の偏りはありますが、特定の分野だけを捨てて合格点に届くことはまれです。
だからこそ、暗記型の生物・地学と計算型の物理・化学を、性格の違いに合わせて別々に対策する必要があります。苦手分野を1つ残すだけで、合計点は大きく下がってしまうのです。得意な分野を伸ばすより、苦手な分野の失点を減らすほうが総合点は安定します。理科は暗記分野と計算分野で勉強のやり方をはっきり分けるのが、点を積み上げる近道です。次の表で、4分野それぞれの性格と対策の方向をまとめました。まずは、わが子がどの分野で点を落としているかを確かめてみましょう。
| 分野 | 性格 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 生物 | 暗記中心 | 図とセットで用語を覚える |
| 地学 | 暗記中心 | 天体・気象を理屈で覚える |
| 物理 | 計算中心 | 力・電気を図に描いて式で解く |
| 化学 | 計算中心 | 水溶液・濃度を表と比で処理する |
暗記分野(生物・地学)の覚え方
暗記分野の生物と地学は、覚え方しだいで定着の度合いが大きく変わります。ここでは、生物・地学それぞれの覚え方と、知識を定着させる反復のやり方を紹介します。
生物は分類と体のつくりを図とセットで覚える
生物は、植物や動物の分類、体のつくり、季節ごとの動植物などを覚える単元です。文字の羅列だけで暗記しようとすると、似た名前や働きが混ざって思い出しにくくなります。
覚えるときは、教科書やノートの図・イラストとセットにするのが有効です。花のつくりや消化器官の位置は、絵の中で場所と一緒に覚えると記憶に残ります。自分で簡単なスケッチを描いて、名前を書き込む方法もおすすめです。目と手を使って覚えると、文字だけのときより定着しやすくなります。まずは、よく出る図を1枚選んで、名称を隠して答える練習から始めてみてください。
用語だけを声に出して丸暗記すると、テストで図を見せられたときにどの部分か分からず答えられません。必ず図の中の位置とセットで覚えてください。
地学は天体と気象を動きの理屈で覚える
地学は、天体の動き、気象の変化、地層のでき方などを扱う単元です。用語の数が多いため、ばらばらに覚えると本番で細かい違いを取り違えてしまいます。
そこで、暗記の前になぜそうなるかの理屈をつかんでおくと、知識がつながって忘れにくくなります。月の満ち欠けなら、太陽と地球と月の位置関係で形が決まる仕組みを先に理解するのです。理屈が分かっていれば、丸暗記した以上の応用問題にも対応できます。星座の見える時期や天気の変わり方も、同じように動きの理由から押さえるのが近道です。まずは1つの現象を、図を描いて動きを説明できるか確かめてみましょう。
暗記はカードや一問一答で反復回数を稼ぐ
生物も地学も、覚えた知識を定着させるには反復の回数がものを言います。一度覚えただけでは、数日で多くを忘れてしまうのが普通です。
そこで、一問一答形式の問題集や暗記カードを使い、短い時間で何度も繰り返します。すきま時間に1日5分でも、毎日触れることで記憶が長く残ります。暗記は覚える回数を増やすほど、本番で思い出しやすくなります。答えられた問題と間違えた問題を分け、間違えたものだけを翌日もう一度解くと効率が上がります。分野を問わない暗記そのもののやり方は、別の記事で詳しくまとめています。まずは、覚えにくい単元のカードを10枚だけ作って回してみてください。
計算分野(物理・化学)の解き方
計算分野の物理と化学は、公式を丸暗記するだけでは安定して解けません。ここでは、力・電気・水溶液・濃度の4つについて、それぞれの解き進め方を見ていきます。
力のつり合いはてこと滑車を図に描いて式で解く
力のつり合いは、てこ・滑車・ばねといった単元でよく問われます。頭の中だけで考えようとすると、どこに力がかかっているかが分からなくなるのです。
まずは問題の状況を図に描き、支点や力点、かかる重さを書き込みます。図の上で数の関係が見えると、てこのつり合いの式に落とし込めます。支点からの距離と重さをかけ合わせる関係も、図があればつかみやすいのです。滑車も、動く向きと支える力を矢印で書けば、混乱せずに解けます。数字だけを追うより、図に描いてから式を立てるほうが間違いが減ります。まずは、簡単なてこの問題を1問、図を描く手順から解いてみてください。
電気は回路図を書き直して電流と電圧を追う
電気の単元では、豆電球や乾電池をつないだ回路の電流や電圧を求めます。問題の絵をそのまま眺めているだけでは、どこがどうつながっているか読み取れません。
そこで、与えられた回路を自分の手で回路図に書き直します。直列つなぎと並列つなぎを見分け、それぞれで電流と電圧の分かれ方が違う点を押さえるのです。直列なら電流はどこも同じ、並列なら電圧が同じ、というきまりを図に書き込みます。書き直す手間はかかりますが、つなぎ方を取り違える失点を大きく減らせます。まずは、直列と並列が混ざった回路を1つ、書き直して電流を追ってみましょう。
水溶液の性質は指示薬と中和で整理する
水溶液の性質では、酸性・中性・アルカリ性の見分けが中心になります。ばらばらに覚えると、どの指示薬が何色に変わるかで混乱してしまいます。
指示薬ごとに、リトマス紙やBTB液などの色の変わり方をまとめて覚えるのです。酸とアルカリを混ぜると水と塩ができる中和の反応も、セットで押さえておきます。指示薬の反応と中和を結びつけると、実験の結果を予想できるようになるのです。暗記と計算の両方の要素があるので、性質の表を作って手元に置くと復習が早く進みます。まずは、代表的な指示薬3つの色の変化を、自分でまとめてみてください。
濃度と溶解度は表と比を使って計算する
濃度と溶解度は、食塩水などの水溶液を数で扱う計算単元です。文章の条件を頭の中だけで処理しようとすると、何と何を比べているか分からなくなります。
まずは、水・とけているもの・水溶液全体の量を、表に書き出して見ていきます。計算分野は、図や表に数の関係を書き出して、目で見えるようにするのが解き方の基本です。濃度は全体に対する割合なので、比を使えば決まった手順で求められます。溶解度も、水の量が変われば溶ける量も比例して変わる関係を使うのです。数値は算用数字でそろえ、単位をそろえてから計算すると間違いが減ります。まずは、濃度を求める基本問題を1問、表に書き出す手順から解いてみましょう。
実験・観察問題と時事・環境問題の対策
理科では、知識や計算だけでなく、実験の流れやその年の出来事からも出題されます。ここでは、実験・観察問題と、時事・環境問題の備え方を説明します。
実験・観察問題は手順と結果の理由を説明できるようにする
実験・観察問題では、実験の手順や器具の使い方、結果の理由が問われます。手順を丸暗記するだけでは、少し条件を変えられた問題に対応できません。
大切なのは、なぜその手順なのか、なぜその結果になるのかを言葉で説明できることです。ガスバーナーの火のつけ方なら、順番の1つ1つに安全上の理由があります。結果についても、こうなったのはこういう理由だから、と自分の言葉で言えるかを確かめるのです。テキストの実験を読んだら、手順と理由をセットで声に出すと理解が深まります。まずは、よく出る実験を1つ選び、手順の理由を説明できるか試してみてください。
時事・環境問題はニュースと季節の出来事から出る
時事・環境問題は、その年に話題になったニュースや、季節ごとの自然現象から出題されます。テキストだけを追っていると、こうした最新の話題は対策から抜けてしまうのです。
対策としては、ふだんから親子でニュースや季節の出来事に触れておくことが役立ちます。日食や月食、大きな自然災害、環境に関する話題は、理科の問題になりやすいテーマです。子ども向けのニュース番組や新聞を、短い時間でも一緒に見る習慣がおすすめです。受験直前には、その年に出そうな時事のまとめ教材で最終確認をします。まずは、この1年の科学に関する出来事を、親子で3つ挙げてみましょう。
理科の学習計画と過去問の使い方
分野ごとの対策が見えたら、次は全体の学習計画に落とし込みます。ここでは、理科の学習計画の立て方と、過去問の使い方を見ていきます。
暗記分野を先に固めて計算分野に時間を残す
暗記型の生物・地学を早めに固め、計算型の物理・化学の演習に後半の時間を回す。この順番が、限られた時間で理科を仕上げる基本の配分です。
理科を効率よく仕上げるには、分野を進める順番から考えます。暗記分野と計算分野を同時にだらだら進めると、どちらも中途半端になりがちです。
まず、覚えれば得点になる生物・地学を早めに固めておきます。暗記分野を先に固めて、計算分野に演習の時間を残すと、直前期に計算問題を集中して練習できるのです。暗記は一度固めても抜けるので、計算の練習と並行して短い復習を続けます。科目全体の時間の割り振り方は、勉強法をまとめた記事も参考になります。まずは、今の学習時間を暗記と計算にどう分けているか、書き出して見直してみましょう。
過去問は分野別の失点から弱点をあぶり出す
過去問は、ただ解いて点数を見るだけではもったいない使い方です。理科の場合は、どの分野で点を落としたかまで分けて記録することが役立ちます。
解き終えたら、生物・地学・物理・化学の分野ごとに、失点を集計してみます。同じ分野で何度も落としているなら、そこが今のいちばんの弱点です。計算分野で落ちているのか、暗記分野の取りこぼしなのかで、次の手が変わります。分野別に記録を続けると、回を重ねるごとに弱点の場所がはっきりしてくるのです。点数の上下だけを見て一喜一憂せず、分野別の傾向から弱点を見つけます。まずは直近の過去問1回分を、分野別に失点を書き出して確かめてみてください。
苦手分野は基礎問題に戻って穴を埋める
分野別の弱点が見えたら、その分野はすぐに応用問題へ進まないことが大切です。基礎が抜けたまま難しい問題を解いても、同じ失点を繰り返すだけになります。
苦手分野は、いったん基礎問題や教科書の説明に戻って穴を埋めます。用語のあいまいさや、計算の手順のつまずきを1つずつ確認していくのです。どこでつまずいたかをメモに残すと、同じ間違いを繰り返しにくくなります。基礎が固まってから、もう一度過去問や応用問題に戻ると、正答率が上がっていくのです。遠回りに見えても、土台を作り直すほうが結局は早く仕上がります。まずは、苦手な分野の基礎問題集を1冊決めて、最初から解き直してみましょう。
まとめ
中学受験の理科は、生物・地学の暗記分野と、物理・化学の計算分野で性格が大きく異なります。同じ勉強法で全部を押すのではなく、分野の性格に合わせてやり方を変えることが、点を安定させる近道です。
暗記分野は、図や理屈とセットにして反復の回数を稼ぐと忘れにくくなります。計算分野は、公式の丸暗記に頼らず、図や表に数の関係を書き出して解く練習を重ねます。実験・観察や時事問題も、手順の理由やその年の話題から備えておけば取りこぼしを防げます。
学習計画では、暗記分野を先に固めて計算分野に時間を残し、過去問は分野別の失点から弱点を見つけます。まずは、わが子がどの分野で点を落としているかを確かめることから始めてみてください。


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