わが子の中学受験を前に、大手の集団塾に入れるか、個別指導塾で見てもらうかで迷う家庭は多いものです。周りが進学塾に通い始めると、うちも同じでいいのかと落ち着かなくなります。
とはいえ、集団塾と個別指導塾は、授業の進め方も費用も面倒見も大きく違います。子どもの性格や得意不得意を抜きにどちらかを選ぶと、通い始めてから合わないと気づくことになりかねません。
この記事では、集団塾と個別指導塾の違いから、個別指導が向く子の特徴、メリットと注意点、費用の相場、そして選ぶときの基準までをまとめました。わが子にどちらが合うかを見極める材料として読み進めてみてください。
中学受験の集団塾と個別指導塾の違い
中学受験の塾は、大きく分けて集団塾と個別指導塾の2つがあります。まずは両者が具体的にどこで違うのかを、指導形態から費用まで並べて確認します。
| 比較項目 | 集団塾 | 個別指導塾 |
|---|---|---|
| 指導形態 | 講師1人に生徒10〜20人の一斉授業 | 講師1人に生徒1〜3人 |
| 進度 | 決まったカリキュラムで一斉に進む | 生徒に合わせて調整できる |
| 中学受験対策 | 志望校別に体系化されている | 塾によって差がある |
| 質問・面倒見 | 授業外の質問は限られる | その場で質問しやすい |
| 費用の目安(月額) | 3万〜5万円前後 | 6万〜15万円前後 |
| 向く子 | 競争で伸びる・標準進度に乗れる | 苦手補強・自分のペースで学ぶ |
集団塾は決まったカリキュラムで一斉に授業を進める
集団塾は、あらかじめ決められたカリキュラムに沿って、講師1人が10〜20人の生徒に同じ授業を一斉に行います。中学受験の出題範囲を計画的に消化できるよう、年間の進度が細かく組まれています。
同じ志望校を目指す仲間と席を並べ、テストのたびに順位が出るため、競争のなかで学力を引き上げやすい形です。集団塾は競争と体系立ったカリキュラムで学力を伸ばし、個別指導塾は一人ひとりの弱点に合わせて学びを組み立てるという違いが、両者の出発点になります。ただし授業は個人の理解度を待たずに進むため、ついていけないと差が開きます。まずはわが子が一斉授業のペースに乗れるタイプかを、これまでの通塾やテストの様子から振り返ってみてください。
個別指導塾は生徒に合わせて進度と単元を選べる
個別指導塾は、講師1人が1〜3人の生徒を担当し、その子の理解度に合わせて進度と扱う単元を決めます。集団塾のように全員が同じ範囲を進むわけではありません。
たとえば算数の割合が苦手なら、その単元だけを重点的に戻って復習できます。得意な科目は先に進め、苦手な科目に時間を多く割くといった配分も自由です。決まった進度に縛られないぶん、取りこぼした単元を後から埋め直しやすいのが特徴でしょう。ただし、何をどの順で学ぶかを塾任せにすると、受験全体の見通しがぼやけることもあります。入塾時に、志望校までの学習計画をどう立てるかを講師に確認しておきましょう。
中学受験の専用カリキュラムは集団塾のほうが体系化されている
中学受験に必要な学習範囲を体系立てて教える点では、集団塾のほうが積み重ねが厚くなります。大手の進学塾は、長年の入試データをもとにした専用カリキュラムを持っています。
志望校別のクラス編成や過去問対策の講座など、受験に直結する仕組みが整っているのが強みです。何をいつ学べば間に合うかという道筋が塾側にあるため、家庭が学習計画を細かく管理しなくても進みます。個別指導塾にも中学受験に対応した教材はありますが、蓄積やクラスの層は塾によって差が出やすいところです。集団塾を検討するなら、志望校の合格実績と専用カリキュラムの中身を資料で確かめてみてください。
質問のしやすさと面倒見は個別指導塾が手厚い
分からない箇所をその場で聞ける手厚さでは、個別指導塾に分があります。講師が目の前で数人だけを見ているため、つまずいた瞬間に質問できます。
集団塾では授業が一斉に進むぶん、疑問をその場で解消しにくく、質問は授業後の限られた時間に回りがちです。自分から手を挙げて聞くのが苦手な子ほど、集団塾では疑問を抱えたまま先に進んでしまいます。個別指導塾なら、講師が理解度を見ながら声をかけ、分かるまで戻って説明してくれます。わが子が授業中に質問できるタイプかどうかを、これまでの塾や学校での様子から見極めておきましょう。
個別指導塾が向く子の特徴
個別指導塾は、どんな子にも一律に合うわけではありません。ここでは、集団塾より個別指導塾のほうが力を伸ばしやすい子の特徴を見ていきます。
集団塾の進度についていけない子は個別指導塾が合う
集団塾の一斉授業のスピードに追いつけず、毎回の内容が積み残しになっている子には、個別指導塾が合います。分からないまま次へ進む状態が続くと、苦手はさらに増えていくのです。
個別指導塾では、その子が止まっている単元まで戻って学び直せます。周りのペースを気にせず、理解できたことを確かめながら前に進めるのが利点でしょう。集団塾についていけない状態が続くなら、個別指導塾への切り替えや併用を早めに検討したいところです。放置するほど取り戻す範囲が広がり、受験までの時間が足りなくなります。直近のテストで大きく崩れた単元がないかを確認し、早めに手を打ちましょう。
苦手な単元だけを集中して埋めたい子に個別指導塾は向く
全体の成績は悪くないのに、特定の単元だけが弱いという子にも個別指導塾は向きます。集団塾では、すでに理解している範囲もクラス全体に合わせて進むのです。
個別指導塾なら、苦手な算数の図形や国語の記述など、必要な単元だけを選んで対策できます。得意分野に時間を取られず、弱点にしぼって短期間で仕上げられるのが強みです。志望校の頻出分野に穴がある場合も、そこだけを集中して埋める使い方ができます。集団塾に通いながら、特定教科だけを個別で補うこともできます。まずは模試の結果を分野別に見て、どの単元が足を引っ張っているかを洗い出してみてください。
集団塾と併用して弱点を補いたい子にも個別指導塾は役立つ
集団塾に通いながら、苦手だけを個別指導塾で補う併用も広く行われています。大手の進学塾で全体の学習を進め、個別で弱点をつぶす組み合わせです。
集団塾のカリキュラムと競争環境を保ちつつ、ついていけない部分だけを個別で手当てできます。塾のクラスを上げたい、特定教科だけ底上げしたいという目的にも合うでしょう。本人が集団塾の授業を嫌がっていない場合は、まるごと個別に移すより併用のほうが向きます。ただし、両方に通うと費用も通塾の負担も増えるため、目的を弱点補強にしぼることが大切です。家庭教師という選択肢と比べたうえで、併用が本当に必要かを見極めましょう。
個別指導塾のメリットと注意点
個別指導塾には手厚さという利点がある一方で、通う前に知っておきたい弱点もあります。ここでは、メリットと注意点の両面から個別指導塾を確認します。
個別指導塾は理解度に合わせて苦手をつぶせる
個別指導塾の最大の利点は、子どもの理解度に合わせて苦手を一つずつつぶせることです。集団塾のように決まった進度で進まず、分かるまで同じ単元にとどまれます。
つまずいた原因が前の学年の範囲にある場合も、そこまで戻ってやり直せます。理解のあいまいな土台を埋め直せるので、応用問題でつまずく回数が減っていくのです。分かったふりのまま先へ進む集団塾とは違い、理解を確かめてから次に移れます。一人ひとりの弱点に的をしぼれるぶん、限られた時間を苦手克服に使えるのが強みでしょう。わが子の苦手がどこから来ているかを把握し、戻って学び直す計画を講師と共有しておきましょう。
質問しやすく自分のペースで学べる
人前で質問するのが苦手な子でも、個別指導塾なら自分のペースで学べます。講師との距離が近く、分からない箇所をその場で気軽に聞けるためです。
集団授業では、手を挙げて質問することにためらいを感じる子も少なくありません。個別指導塾では、講師が表情や手の動きから理解度をくみ取り、必要に応じて説明を足してくれます。急かされずに考えられる環境は、じっくり取り組むタイプの子の力を引き出すのです。分からないと言い出せずに固まってしまう子ほど、この差は成績に表れます。わが子が集団のなかで質問できずにいるようなら、個別指導の環境が合うか体験で確かめてみてください。
競争環境が生まれにくく緊張感を保ちにくい
個別指導塾の注意点として、競争環境が生まれにくい面があります。周りに同じ目標の仲間がいないため、順位や偏差値による刺激を受けにくくなるでしょう。ライバルの存在が勉強の原動力になる子には、この点が物足りなさにつながります。
集団塾ではテストごとの席順やクラス替えが、勉強への緊張感を保つ働きをするのです。個別指導塾にはその仕組みがなく、自分を追い込む力が弱い子は中だるみしやすくなります。講師が優しく寄り添うほど、できたつもりで満足してしまう場合もあるでしょう。
講師と一対一だと「できた」感覚は得やすい一方、入試本番の競争は別物です。模試を定期的に受け、集団のなかでの現在地を数字で確かめる機会を必ず作ってください。
模試を軸に競争の機会を補いながら、家庭でも目標と締め切りを一緒に決め、緊張感を保つ工夫を取り入れましょう。
講師の質は担当者によって差が出やすい
個別指導塾では、講師の質が担当者によって差が出やすい点にも注意が必要です。塾によっては、指導の中心が大学生などのアルバイト講師の場合があります。
同じ塾でも、担当する講師の経験や中学受験への理解度によって、指導の中身は変わるものです。相性が合わない講師に当たると、せっかくの一対一が力になりにくくなります。集団塾では担当が固定の専任講師で、指導の質が一定に保たれやすい点とは対照的です。多くの塾は講師の交代に応じてくれるので、合わないと感じたら早めに相談することが大切です。入塾前に、中学受験の指導経験がある講師が担当するかを確認しておきましょう。
中学受験の集団塾と個別指導塾の費用相場
塾選びでは、月謝だけでなく年間の総額まで見ておく必要があります。ここでは、集団塾と個別指導塾それぞれの費用相場と、月謝以外にかかるお金を確認します。
集団塾の費用は小6で年間100万円前後になる
集団塾の費用は学年が上がるほど増え、小6では年間100万円前後になるのが一般的です。授業のコマ数や講習が増え、志望校対策や模試の費用も重なるためです。
| 学年 | 集団塾(進学塾)の年間費用の目安 |
|---|---|
| 小4 | 50万〜80万円 |
| 小5 | 70万〜100万円 |
| 小6 | 100万〜120万円 |
大手の進学塾を例にとると、小6の年間費用はおおむね110万〜125万円ほどとされます。授業料のほかに季節講習費や教材費が上乗せされるため、案内に載る月謝だけで判断すると総額を見誤ります。入室金も3万円前後かかり、3年間の総額では200万〜300万円が一つの目安です。通い始める前に3年分の見通しを立て、無理なく払い続けられる金額かを家庭で確かめておきましょう。
個別指導塾の月謝は集団塾より高くなりやすい
個別指導塾の月謝は、同じ中学受験でも集団塾より高くなりやすい傾向があります。講師1人が見る生徒が少ないぶん、1コマあたりの単価が上がるためです。
目安としては、集団塾が月3万〜5万円前後なのに対し、個別指導塾は月6万〜15万円前後とされます。受講する科目やコマ数を増やすほど費用は膨らみ、集団塾との併用ではより多くの費用がかかります。個別指導塾は手厚いぶん、費用が集団塾より高くなりやすい点は必ず見込んでおきたいところです。まずは必要な科目とコマ数をしぼり、月々の負担がどこまでになるかを見積もってみてください。
月謝以外に講習費や模試代がかかる
塾の費用は月謝だけでは終わらず、講習費や模試代が別にかかります。案内に載る月謝しか見ていないと、実際の支出との差に驚くことになります。
季節講習は春・夏・冬にあり、費用は内容によって数万円から十数万円に達するほどです。模試代は1回あたり4千〜6千円ほどで、受験学年になると受ける回数も増えます。入試の受験料も1校あたり2万円前後かかり、併願校が多いほど積み上がります。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」でも、学習塾費には月謝だけでなく入会金や講習会費、教材費、模試代までが含まれると定義されています。月謝以外の項目まで書き出して、年間の総額として塾どうしを比べてみてください。
中学受験の個別指導塾の資料請求・比較
※ここに個別指導塾の資料請求・比較サービスのリンクを差し込む(買い手が自分のIDに差し替え)
中学受験で集団塾と個別指導塾を選ぶ基準
集団塾と個別指導塾のどちらを選ぶかは、子どものタイプと家庭の状況で変わります。最後に、迷ったときに立ち返る選び方の基準を見ていきます。
子どものタイプと弱点に合わせて塾の形態を選ぶ
塾の形態は、子どものタイプと弱点に合わせて選ぶのが基本です。競争のなかで奮い立つ子は集団塾、自分のペースで進めたい子は個別指導塾が合います。
同じ中学受験でも、標準の進度に乗れているかどうかで向き不向きは変わるものです。全体をまんべんなく仕上げたいなら集団塾、特定の弱点を集中して埋めたいなら個別指導塾が力を発揮します。
競争で伸びるなら集団塾、個別対応が要るなら個別指導塾。まず子どもがどちらのタイプかを決めてから、塾の候補を絞る。
塾選びは子どものタイプと家庭の予算の両方から決めることを軸に、まずはわが子の性格と弱点を書き出してみてください。個別指導塾のより細かい選び方は、次の記事も参考になります。
体験授業と費用の見通しで最終的に決める
最終的には、体験授業を受け、費用の見通しを立てたうえで決めるのが確実です。パンフレットの情報だけでは、講師との相性や教室の雰囲気までは分かりません。
体験では、子どもの反応と講師の教え方の両方を見ておきましょう。費用は月謝だけでなく、講習費まで含めた年間総額で比べることが欠かせません。予約時に、中学受験コースの担当講師が対応してくれるかも確認しておくと安心です。子どもの手ごたえと家庭の予算がそろう塾を選び、まずは体験授業を申し込んでみてください。
まとめ
中学受験の集団塾と個別指導塾は、指導形態も費用も面倒見も大きく違います。集団塾は体系立ったカリキュラムと競争環境で学力を引き上げ、個別指導塾は一人ひとりの弱点に合わせて学びを組み立てます。
個別指導塾は、集団塾についていけない子や、苦手な単元だけを埋めたい子に向きます。質問しやすく自分のペースで学べる一方、競争が生まれにくく、費用は集団塾より高くなりやすい点に注意が必要です。
費用は集団塾で小6に年間100万円前後、個別指導塾はさらに高くなりやすく、講習費や模試代も別にかかります。まずはわが子のタイプと弱点を書き出し、両方の体験授業を受けたうえで、無理なく続けられる塾を選んでみてください。


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