集団塾のペースについていけない、苦手教科だけを何とかしたい。中学受験の準備が進むほど、そんな思いから個別指導塾を検討する家庭は増えます。マンツーマンで見てもらえる安心感がある一方で、料金は集団塾より高く、塾選びを誤ると成果が出ないまま費用だけがかさみます。
とはいえ、個別指導塾は数が多く、中学受験に本気で対応できる塾とそうでない塾の差が大きいものです。看板だけを見て決めてしまい、あとで「うちの志望校の対策ができなかった」と気づく方も少なくありません。
この記事では、中学受験の個別指導塾を選ぶ前提から、実績や講師で見るチェックポイント、費用の目安、体験授業での見極め方、避けたい失敗までをまとめました。わが子に合う塾を決める手がかりとして読み進めてください。
中学受験で個別指導塾が向いている子の特徴
個別指導塾は、すべての子に必要なわけではありません。ここでは、中学受験で個別指導が向いている子の特徴を見ていきます。
集団塾のペースについていけない子は個別指導で立て直せる
中学受験の集団塾は、決められたカリキュラムを速いペースで進めます。一度つまずくと立ち止まって復習する時間が取りにくく、わからない単元が積み重なっていくのです。個別指導塾なら、子どもの理解度に合わせて進度を落とし、つまずいた単元まで戻って学び直せます。
とくに算数の割合や速さのように、一つの単元の理解が後の学習を左右する教科では、この戻れる強みが大きく働きます。集団についていけないまま通い続けると、授業の時間そのものが無駄になりかねません。まずは、わが子がどの単元でつまずいているかを書き出し、個別で補える範囲かを確かめてみてください。集団と個別のどちらが向くかを比べたい場合は、それぞれの仕組みをまとめた記事も参考になります。
特定の苦手教科だけを短期間で補強したい子に向いている
集団塾に通いながら、算数だけ、理科だけといった一部の教科に不安を抱える子は多くいます。全体の成績は悪くないのに、特定の教科が足を引っ張って偏差値が伸び悩むパターンです。個別指導塾なら、苦手な教科や単元にしぼって集中的に対策できます。
必要な部分だけを短期間で補えるため、通う教科数を絞れば費用も抑えられます。全教科を個別に置き換える必要はなく、集団塾の弱点を補う使い方が現実的です。苦手が1教科に絞れているほど、短期間で成績を立て直しやすくなります。まずは直近の模試で、どの教科が平均から離れているかを確認し、補強したい教科を1つか2つに絞り込みましょう。
大勢の中では質問できない子は個別指導で伸びやすい
性格や発達の特性から、大勢の教室で手を挙げて質問するのが苦手な子もいます。わからないところをそのままにして帰ってくると、疑問が解けないまま次の授業に進むのです。講師と一対一に近い個別指導では、その場で気軽に質問でき、つまずきをためこまずに帰れます。
とくに人見知りの強い子や、周囲の目が気になって集中できない子は、落ち着いた環境のほうが力を発揮します。集団の刺激が合う子もいるため、体験授業で子どもの様子を見てから判断するのが安全です。わが子が授業中に質問できているかを、塾の面談で一度たずねてみてください。
中学受験の個別指導塾を選ぶチェックポイント
中学受験に対応できる個別指導塾かどうかは、実績や講師といった中身で判断できます。ここでは、塾選びで必ず確認したいチェックポイントを解説します。
| チェック項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 中学受験の指導実績 | 志望校の合格実績と受験専門コースの有無 |
| 講師の質と交代頻度 | 担任制か・講師の担当年数 |
| 指導形態 | 1対1か1対2か・目の届く人数 |
| 大手集団塾との併用 | 通う塾のカリキュラムに対応できるか |
| 振替制度 | 急な欠席や体調不良に振り替えられるか |
個別指導塾選びで優先して見るのは、中学受験そのものの指導実績と、担当講師が変わらない体制の2点。この2つが弱い塾は、料金が安くても中学受験の対策が続かない。
中学受験の指導実績は合格実績と受験専門コースで確認する
個別指導塾のなかには、学校の補習や定期テスト対策を主とし、中学受験には十分対応できない塾もあります。大学受験や高校受験が中心の塾に中学受験を任せると、出題傾向のずれた指導になりかねません。まず確認したいのは、その塾に中学受験専門のコースや、志望校別の合格実績があるかどうかです。
パンフレットの合格実績は校舎全体の数字である場合が多いため、通う校舎単位の実績を面談でたずねると精度が上がります。中学受験そのものの指導実績があるかどうかを、個別指導塾選びでは最初に確かめます。志望校名を伝えて、その学校の対策経験がある講師がいるかを具体的に聞いてみてください。
講師の質と交代頻度は担任制かどうかで判断する
個別指導塾では、講師の質がそのまま成果に直結します。同時に見落とされやすいのが、講師がどのくらいの頻度で交代するかという点です。アルバイト講師が中心で担当が毎回変わる塾では、子どもの弱点が引き継がれず、指導が場当たり的になります。
同じ講師が続けて担当する担任制の塾なら、子どもの理解度や性格を踏まえた指導を積み重ねられます。契約前に、担当が固定されるのか、講師の交代はどのくらいの頻度で起きるのかを必ず確認しましょう。あわせて、講師がプロ講師か学生アルバイトかも、指導の安定度を左右するため聞いておくとよいでしょう。
指導形態は1対1か1対2かで目の届く人数が変わる
個別指導とひとくくりにされがちですが、実際は1対1と1対2で中身が異なります。1対1は講師が1人の生徒だけを見るため、つまずいた瞬間に手を差し伸べられるのです。1対2は講師1人が2人を交互に指導する形で、料金は下がる一方、一人にかけられる時間は半分に近づきます。
志望校対策や苦手の克服など、密度の高い指導がほしい場合は1対1が向いています。演習の見守りが中心で、わからないときだけ聞ければよい場合は、1対2でも十分に機能します。子どもの性格と目的に合わせて、どちらの形態が必要かを体験授業で見比べてみてください。
大手集団塾との併用は塾のカリキュラム対応で決まる
多くの家庭は、大手集団塾に通いながら弱点補強に個別指導を足す形をとります。このとき問われるのが、個別指導塾が集団塾のカリキュラムやテキストにどこまで対応できるかです。サピックスや日能研など、通っている塾の教材に沿って指導できる塾なら、二重の負担を避けられます。
対応できない塾を選ぶと、集団塾の宿題と個別の課題が別々に増え、子どもの時間を奪います。併用を前提にするなら、通う集団塾名とテキストを伝え、その進度に合わせた指導が可能かを確認しましょう。家庭教師という選択肢も含めて、併用しやすい形を比べておくと判断しやすくなります。
振替制度は急な欠席や体調不良に対応できるかで選ぶ
小学生は体調を崩しやすく、習い事や学校行事と授業が重なる時期もあります。集団塾では振替がきかないことが多いのに対し、個別指導塾は日時を調整しやすい点が強みです。ただし、振替の可否や回数の上限は塾ごとに差が大きいため、確認せずに契約すると後で困ります。
当日キャンセルが振替できるのか、振替の期限はいつまでか、月に何回まで認められるのかを、入塾前に具体的に聞いておきましょう。振替がきかない塾では、休んだぶんの授業料がそのまま無駄になります。共働きで送迎の都合が変わりやすい家庭ほど、この振替のしやすさを優先して選ぶと安心です。
中学受験の個別指導塾にかかる費用の目安
個別指導塾は集団塾より料金が高く、相場を知らないと見積もりの妥当さを判断できません。ここでは、中学受験の個別指導にかかる費用の目安を解説します。
個別指導塾の月謝は指導形態と学年で大きく変わる
中学受験対応の個別指導は、目的と指導形態によって月謝の幅が広くなります。学校の補習が中心か、難関校の対策かで、同じ個別指導でも金額は数倍の差になります。首都圏の中学受験が盛んな地域では、平均より高めに設定されることも珍しくありません。おおよその目安は次の通りです。
| 指導のタイプ | 月謝の目安 |
|---|---|
| 苦手補強(週1回・1対2) | 15,000〜25,000円 |
| 中学受験対策(週1〜2回・1対2) | 30,000〜60,000円 |
| 難関校対策(週複数回・1対1中心) | 50,000円〜 |
1対1は1対2より講師の時間を独占できるぶん、同じ回数でも料金は高くなります。表の金額はあくまで目安で、地域や校舎、学年が上がるほど上振れします。まずは志望校のレベルと必要な回数から、どのタイプに当てはまるかを見積もってみてください。
季節講習と教材費は月謝とは別に年間で加算される
見落としやすいのが、毎月の月謝以外にかかる費用です。個別指導塾では、春期や夏期などの季節講習が別料金となり、受験学年ほど講習のコマ数が増えます。とくに受験学年になると講習の回数が跳ね上がり、家計への負担は一気に重くなります。入会金や教材費、模試代なども加わり、年間の総額は月謝の12カ月分では収まりません。
とくに6年生の直前期は、苦手の総仕上げで受講回数を増やす家庭が多く、季節講習を含めると年間で100万円を超えることもあります。契約時は月謝でなく年間の総額で比べることが欠かせません。1年分の費用をあらかじめ書き出し、無理なく払える範囲かを確かめておきましょう。
費用を抑えるには受講科目を苦手教科に絞る
個別指導の費用は、受講する教科数と回数にほぼ比例します。週2回を週1回へ減らすだけでも、月謝はおよそ半分に下がります。全教科を個別に任せると総額は跳ね上がるため、費用を抑えたいなら対象を絞る判断が必要です。集団塾で足りている教科はそのままにし、個別は苦手な教科だけに投じる使い方が現実的です。
たとえば算数だけを1対2で週1回に絞れば、全教科を個別にするより大幅に費用を下げられます。回数を増やす前に、本当に個別が必要な教科はどれかを模試の結果から見直してみてください。塾選びと費用の全体像は、塾の選び方をまとめた記事もあわせて確認すると全体像をつかみやすくなります。
中学受験の個別指導塾の体験授業で見極める点
多くの個別指導塾は入塾前に体験授業を用意しており、相性を確かめる貴重な機会になります。ここでは、体験授業で見極めたい点を解説します。
体験授業は本番を担当する講師が対応するかを確認する
体験授業でよくあるのが、入塾後の担当とは違うベテラン講師が対応するケースです。体験のときだけ指導のうまい講師を当て、実際の授業では別の講師に替わる塾も存在します。看板となるベテラン講師の体験だけで決めると、入塾後の講師との落差に戸惑うことになるのです。これでは体験の印象と入塾後の指導がずれ、思っていた質と違うと感じることになります。
体験を申し込むときに、当日の講師が入塾後も担当するのかを必ずたずねておきましょう。体験の講師と入塾後の講師が同じかが、塾選びで見落としやすい点です。体験中は子どもの反応も観察し、その場で理解が進んでいるかを見てあげてください。
体験後の面談で学習計画と料金説明の丁寧さを見極める
体験授業とセットで行われる面談は、その塾の姿勢が表れる場です。子どもの現状をどう分析し、志望校までにどんな計画で進めるのかを、具体的に説明できる塾は信頼できます。逆に、コース料金の話ばかりで学習計画があいまいな塾は、入塾後も場当たりの指導になりがちです。
面談では、料金の総額と追加費用の有無をはっきり示してくれるかも見ておきましょう。季節講習や教材費を含めた見積もりを渋る塾は、あとから費用が膨らむおそれがあります。質問への答え方があいまいな塾ほど、入塾後の対応も雑になりがちです。複数の塾で体験と面談を受け、計画の具体性と説明の誠実さを見比べて決めてください。
中学受験の個別指導塾選びで避けたい失敗
個別指導塾選びには、後から悔やまれる典型的な失敗があります。ここでは、同じ落とし穴を避けるために気をつけたい点を解説します。
料金の安さだけで選んだり、塾に任せきりにしたりするのは危険。中学受験の指導経験と、家庭での進捗確認の両方がそろって初めて、個別指導は成果につながる。
料金の安さだけで選ぶと講師の質が伴わない
費用を抑えたい気持ちから、月謝の安さだけで塾を決める家庭は少なくありません。ところが極端に安い個別指導塾は、人件費を抑えるために経験の浅い学生講師に頼っている場合があります。中学受験の難問を教えきれず、結局は成果が出ないまま費用だけが残ることになります。
安さの理由が指導形態にあるのか、講師の質を下げているのかを見分けることが大切です。1対2で安いのは仕組み上の理由ですが、1対1で相場より極端に安い塾は理由を確かめたほうがよいでしょう。料金表を見るときは、金額の背景にある講師体制まで踏み込んで質問してみてください。
中学受験の指導経験がない講師に当たると対策がずれる
個別指導塾のなかには、高校受験や大学受験が主力で、中学受験の指導に慣れていない塾もあります。中学受験の算数は特殊算のように独特の解法が多く、経験のない講師では遠回りな教え方になりがちです。志望校の出題傾向を知らない講師だと、対策の的が外れ、貴重な時間を浪費します。
入塾前に、担当予定の講師が中学受験の指導経験をどれだけ持つかを確認しておきましょう。可能なら、志望校と同じレベルの学校を担当した実績があるかまで踏み込んでたずねます。講師の経歴を濁す塾は避け、経験を具体的に語れる塾を選ぶと失敗を減らせます。
塾任せにして家庭で進捗を確認しないと成果が見えにくい
個別指導は講師に任せられる安心感がある反面、家庭が関与しないと成果の把握が遅れます。子どもは「わかった」と言いがちで、実際には理解が浅いまま進んでいることも珍しくありません。月謝を払っているからと任せきりにすると、伸び悩みに気づくのが模試の結果が出てからになります。
月に一度は指導報告や学習の記録に目を通し、どの単元が身についたかを親も把握しておきましょう。子どもに授業の内容を口で説明させると、理解度がはっきりと表れます。塾と家庭で進捗を一緒に追う姿勢が、個別指導の効果を引き出します。
中学受験の個別指導塾の資料請求・比較
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まとめ
中学受験の個別指導塾は、集団塾で伸び悩む子や、苦手教科を補いたい子に向いています。選ぶときは、中学受験そのものの指導実績と、担当講師が変わらない体制をまず確認しましょう。指導形態は1対1と1対2で料金と目の届き方が変わり、大手集団塾との併用では通う塾の教材に対応できるかが分かれ目になります。
費用は月謝だけでなく、季節講習や教材費を含めた年間総額で比べることが欠かせません。体験授業では本番の講師が担当するかを確かめ、面談で学習計画と料金説明の丁寧さを見極めることも大切です。まずは志望校を伝えたうえで、2つか3つの塾の体験授業を受け、実績と相性を比べることから始めてみてください。


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