志望校が固まってくると、次に気になるのが「受験料はいくらかかるのか」というお金の話です。1校ぶんの金額は募集要項に載っていても、併願すると全部でいくらになるのかは、意外と見えにくいものです。
しかも中学受験では、受験料だけでなく入学手続金の締切や返還のルールまで絡んできます。合格したのに納入期限に間に合わない、行かない学校にも入学金を払う、といった落とし穴を知らずに出願計画を組むと、あとで慌てることになりかねません。
この記事では、中学受験の受験料の相場から、複数回同時出願の割引、併願校数別の総額、入学手続金の締切と返還のしくみ、そして受験料と入学金を抑える出願の組み方までをまとめました。わが子の出願を確定させる前に、お金の全体像をつかむ手がかりとして読み進めてみてください。
中学受験の受験料の相場
受験料は、まず1校あたりの金額をつかむところから始まります。ここが分かれば、受ける学校数をかけ算して総額の見当がつきます。ここでは、中学受験の受験料が学校の種別でどれくらい違うのかを確認します。
私立中学の受験料は1校あたり2万〜3万円が中心
私立中学の受験料は、1校あたり2万円から3万円が中心の価格帯です。東京都が公表した令和5年度のデータでは、検定料の平均は23,897円でした。多くの家庭が最初に基準にする数字だと考えてよいでしょう。
この2万〜3万円という金額は、大学受験の1校ぶんと大きく変わりません。私立中学の受験料は1校あたり2万〜3万円が中心で、国立や公立中高一貫の10倍近い水準になります。1校だけならそれほど重く感じませんが、中学受験は複数校を併願するのが普通です。だからこそ、1校の金額に受験校数をかけて総額で考える視点が欠かせません。まずは志望校それぞれの募集要項で、正確な受験料を書き出してみてください。
関東は関西より受験料が高い傾向がある
同じ私立でも、地域によって受験料の水準はずれます。関東の私立中学は2万5000円程度に設定する学校が多く、関西では2万円程度が多いといわれます。住んでいる地域の相場を先に知っておくと、総額の見積もりがぶれません。
この差は、学校の運営方針や入試の実施体制の違いから生まれます。関東で複数校を併願する家庭は、1校2万5000円を基準に総額を計算するとよいでしょう。関西中心に受験するなら、2万円をベースに見積もると過大にならずに済みます。自分の受験する地域がどちらの水準に近いかを、最初に決めておきましょう。地域をまたいで併願する場合は、両方の相場を混ぜて計算する必要があります。
難関校ほど受験料は上がり3万円に届く
受験料は学校の難易度とも関係し、難関校ほど高く設定される傾向があります。麻布中学校や慶應義塾中等部は3万円、開成中学校や早稲田実業は2万8000円が実例です。志望校に難関校が含まれるなら、上限の3万円で見積もると安全です。
難関校の受験料が高めなのは、志願者数が多く、選抜にかかる手間や体制が大きいためと考えられます。本命に難関校を据える家庭は、その1校だけで3万円が出ていく前提を持っておくとよいでしょう。憧れの学校を複数並べると、受験料の合計はそのぶん膨らみます。難関校を何校受けるかを、費用の面からも一度見直してみてください。
国立中学と公立中高一貫校の受験料は数千円にとどまる
私立と対照的に、国立中学と公立中高一貫校の受験料はぐっと安く抑えられています。国立中学はおよそ5000円程度、公立中高一貫校は2000円程度が目安です。私立との差はおよそ10倍にもなります。
この安さは、公的な学校として受験料を低く設定しているためです。私立を本命にしつつ、国立や公立中高一貫校を併願に加えると、総額を抑えながら受験機会を増やせます。ただし公立中高一貫校は適性検査型で問題の傾向が異なり、私立との併願には別の対策がいります。費用の安さだけで飛びつかず、対策の負担まで含めて併願先を選びましょう。
複数回同時出願の受験料の割引
同じ学校が入試を複数回行う場合、受け方しだいで受験料を抑えられます。1回ずつ別々に払うより、まとめて出願したほうが安くなる学校が多いためです。ここでは、複数回同時出願の割引がどんなしくみで働くのかを説明します。
同じ学校を複数回受けると2回目以降が割安になる
多くの学校では、同じ学校を複数回受験すると、2回目以降の受験料が割安になります。1回2万円の学校が、2回で2万5000円になるといった形です。1回ぶんの満額を毎回払うわけではありません。
代表的な学校の割引を並べると、扱いの違いがよく分かります。
| 学校 | 受験料の設定 |
|---|---|
| 大宮開成 | 1回2万円/2回2万5000円/3回3万円 |
| 開智 | 1〜5回すべて一律2万円 |
| 栄東 | 1〜2回2万5000円/3〜4回は+5000円 |
| 神奈川大学附属 | 1回2万5000円/3回同時出願で5万円 |
同じ複数回受験でも、開智のように何回受けても一律の学校もあれば、回数ごとに加算される学校もあるでしょう。第2志望以下に複数回入試のある学校を置くと、少ない追加費用で合格のチャンスを増やせます。志望校の募集要項で、複数回受験の料金設定を必ず確かめてみてください。
同時出願を条件にする学校では出願時にまとめて申し込む
割引には条件があり、多くの学校は「同時出願」を前提にしています。最初の出願の時点で複数回分の願書をまとめて提出しないと、割引が受けられない場合があります。1回目の結果を見てから追加で出願すると、割引の対象外になる場合もあるでしょう。
この条件を知らずに1回ずつ出願すると、本来払わずに済んだ受験料を余計に払うことになります。複数回受ける可能性のある学校は、最初の出願で回数分をまとめて申し込むのが得策です。実際に受けるかどうかは、1回目の合否を見てから決めれば問題ありません。出願の締切前に、どの学校を何回受けるかの想定を固めておきましょう。
併願校数別の受験料の総額
1校あたりの相場が分かったら、次は受ける学校数をかけて総額を出します。併願校が増えるほど、受験料の合計は分かりやすく積み上がっていきます。ここでは、校数別に受験料の総額がどう変わるかを表で確認します。
併願は3〜5校が一般的で受験料は10万円前後になる
中学受験では、3校から5校を併願するのが一般的とされています。1校2万5000円で計算すると、4校でちょうど10万円ほどになります。まずはこのあたりが標準的な受験料の総額だと考えてよいでしょう。
校数ごとの受験料の目安を、表で見ていきます。
| 併願校数 | 受験料の総額の目安 |
|---|---|
| 1校 | 約2万5000円 |
| 3校 | 約7万5000円 |
| 5校 | 約12万5000円 |
| 7校 | 約17万5000円 |
| 8校 | 約20万円 |
この表は1校2万5000円で単純計算したもので、実際は同時出願の割引で下がる場合もあるでしょう。逆に、難関校を並べれば1校3万円になり、総額は表より上振れします。標準的な3〜5校なら、受験料は10万円前後を見込んでおけば大きく外れません。自分の併願リストの校数を、この表に当てはめて総額を出してみてください。
7校以上の併願では受験料だけで20万円を超える
安全校を厚めに取り、チャレンジ校も並べていくと、併願校数は自然に増えていきます。1校2万5000円の学校を8校受ければ、受験料だけで20万円に達します。併願校が増えるほど受験料は比例して膨らみ、7校を超えるとまとまった出費になります。
さらに午後入試を組み込んだり、1月の前受け校を足したりすると、そのぶん受験料は上乗せされます。受験機会を増やすほど合格の可能性は上がりますが、費用も並行して膨らむ点は見落とせません。受験料の上限をあらかじめ家庭で決めておくと、出願計画が際限なく広がるのを防げます。総額の見込みを立てたうえで、どこまで併願するかを判断しましょう。
遠方受験や1月校では交通費と宿泊費も総額に加わる
受験料の総額を出すときは、受験当日にかかる交通費や宿泊費も合わせて見込む必要があります。首都圏の家庭が地方の1月校を前受けする場合、受験料そのものより移動と宿泊のほうが高くつくこともあります。受験料だけを見ていると、実際の出費を小さく見積もりがちです。
とくに複数日にわたって連続で受験する日程では、親の付き添いぶんの交通費も積み上がります。午後入試で午前と午後に別の会場へ移動すれば、当日の交通費もかさみます。1月校を計画に入れるなら、受験料に交通費と宿泊費を足した金額でお金の準備を進めましょう。近隣校中心の併願にすれば、この付随費用は小さく抑えられます。
入学手続金の締切と返還のしくみ
受験料と並んで大きいのが、合格後に納める入学手続金です。締切や返還のルールを知らないと、思わぬ二重払いが発生します。ここでは、入学手続金の締切と返還のしくみを見ていきます。
入学手続金は合格発表から数日で納める必要がある
合格したあとに納める入学手続金は、納入までの期限が短い学校が多いのが特徴です。合格発表から数日以内に手続きを求める学校が珍しくありません。埼玉や千葉では1月中に入学手続きを求める学校が多くあります。
この短さが、中学受験のお金の計画を難しくします。本命の合格発表を待つあいだに、滑り止め校の納入期限が先に来てしまうことがあるためです。納入期限に間に合わなければ、せっかくの合格を辞退せざるをえません。志望校それぞれの合格発表日と入学手続金の締切を、一覧にして並べておきましょう。日程が重なる学校は、あらかじめ資金の準備をしておくと安心です。
進学しない学校の入学金は原則返還されない
複数校に合格した場合でも、実際に進学するのは1校だけです。ところが、進学しない学校に納めた入学金は、原則として返還されません。滑り止め校の納入期限が本命の発表より前に来ると、合格を押さえるために先に納めるしかありません。進学しない学校に納めた入学手続金は、原則として戻ってこないお金です。この点が、家庭の負担を重くします。
入学金の相場は20万円から30万円ほどで、二重に払えば数十万円の出費になります。授業料は入学前に辞退すれば返ってきますが、入学金だけは戻らないと考えておくのが安全です。この二重払いをどこまで許容するかを、出願の段階で家族と話し合っておいてください。
延納制度を使えば入学金の納入を遅らせられる
学校によっては、入学金の一部を先に納めることで、残りの納入を待ってくれる延納制度があります。この延納金の相場は5万円程度です。延納制度を使えば、本命の結果を待ってから進学先を決めやすくなります。
ただし、延納金の額は学校によって大きく開きます。立教新座では延納金が入学金と同額の30万円、市川では15万円、東邦大学東邦では17万円といった具合です。延納金も進学しなければ戻らないため、額の大きい学校では二重払いの負担がそのまま重くなります。滑り止めを選ぶときは、延納制度の有無と延納金の額まで確認しておきましょう。
第一志望の発表前に締切が来る学校は入学金が二重払いになる
滑り止め校を選ぶうえで最も注意したいのが、入学手続金の締切と本命の合格発表日の前後関係です。第一志望の発表より前に滑り止め校の完納期限が来ると、合格を確保するために先に入学金を納めるしかありません。
完納期限が本命の合格発表より前に設定された学校を滑り止めにすると、本命に受かっても滑り止めの入学金は戻りません。堅実校は「合格しやすさ」だけでなく「納入期限が本命の発表より後か」まで見て選んでください。
たとえば市川中学校は完納期限が2月3日で、2月3日以降に発表がある学校を本命にすると、市川の入学金を先に払う形になります。高輪中学校のように延納制度がなく、期限までに全額を納める必要のある学校もあるでしょう。滑り止めは、本命の合格発表日より後に完納期限が来る学校を選ぶと、二重払いを避けられます。募集要項で発表日と納入期限を突き合わせ、堅実校を選び直してみてください。
受験料と入学金を抑える出願設計
受験料も入学金も、出願の組み方しだいで抑えられます。合格を確保しながら、無駄な出費を減らす設計が可能です。ここでは、受験料と入学金を抑える出願の組み方を紹介します。
同時出願の割引がある学校を併願の軸にする
複数回受験を前提にするなら、同時出願の割引がある学校を併願の中心に置くと受験料が下がります。1回ごとに満額を払う学校ばかりを並べるより、割引校をうまく組み込むほうが総額は軽くなります。第2志望以下に割引のある学校を据えるのが基本です。
割引の効き方は学校ごとに違うため、料金設定を比べて選ぶ価値があります。開智のように何回受けても一律の学校は、複数回受けるほど1回あたりが割安になるでしょう。受験機会を増やしたい家庭ほど、こうした学校を軸にする効果が大きくなります。志望校の割引条件を並べて、受験料の合計が最も軽くなる組み合わせを探してみましょう。
延納制度のある学校を滑り止めに選ぶ
入学金の二重払いを避けるには、延納制度のある学校を滑り止めに選ぶのが有効です。延納を使えば、本命の合格発表を待ってから進学先を判断でき、行かない学校への満額納入を防げます。滑り止めの候補は、延納の可否から絞り込むとよいでしょう。
延納金が少額の学校を選べば、万が一進学しなくても負担は小さく済みます。逆に延納金が入学金と同額の学校では、延納しても二重払いの重さは変わりません。滑り止めを決めるときは、延納金が5万円前後に収まる学校を優先すると安心です。本命の発表日と延納の締切を照らし合わせて、無理のない滑り止めを確保してください。
受験料は合格した学校の入学金まで含めて総額で見積もる
受験にかかるお金を見積もるときは、受験料だけでなく入学金までを一つの総額として考えます。受験料が10万円でも、二重払いの入学金が加われば、実際の出費はさらにふくらむでしょう。滑り止め校の入学金が30万円なら、それだけで受験料の総額を上回ることもあります。受験料は「出願にかかる金額」と「納める可能性のある入学金」を合わせて総額で見積もります。
受験料の総額は、出願料の合計に「本命の前に納める入学金」を足して先に出しておく。総額の上限を決めてから、割引校や延納校で削っていくと管理しやすい。
この総額を先に出しておくと、どこで費用を削れるかが見えてきます。まずは併願リストで受験料と想定入学金の合計を計算し、家庭で払える上限と照らし合わせてみてください。
まとめ
中学受験の受験料は、私立で1校あたり2万〜3万円が中心です。関東は2万5000円、関西は2万円が目安で、難関校は3万円に届きます。国立や公立中高一貫校は数千円で受けられ、種別で大きく差が開きます。
併願は3〜5校が一般的で、受験料の総額は10万円前後になります。7校以上受ければ20万円を超えることもあります。同じ学校の複数回受験は、同時出願の割引を使うと受験料を抑えられます。
受験料と並んで重いのが入学手続金です。進学しない学校の入学金は原則返還されず、本命の発表前に締切が来ると二重払いになります。延納制度のある学校を滑り止めに選び、受験料と入学金を合わせた総額で見積もることから始めてみてください。


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