中学受験の費用は公立と私立でどう変わるか|トータルの差額

塾費用・お金

わが子に中学受験をさせようと考えたとき、多くの家庭が最初にぶつかるのがお金の壁です。塾の月謝から入学後の学費まで、いったいいくらかかるのか、見当がつかないまま不安だけがふくらみます。

同じ中学受験でも、公立中高一貫校を目指すのか、私立を目指すのかで、かかる費用は大きく変わります。ところが、その差を金額で並べて比べたことのある方は意外と少ないものです。ざっくりした噂だけで「公立は安い」と思い込むと、あとで予想外の出費に驚くこともあります。

この記事では、中学受験の費用を受験対策費と入学後の学費の2段階に分け、公立志望と私立志望で何がどう変わるのかをまとめました。わが子の志望校を決める前に、家庭の予算と照らし合わせる材料として読み進めてみてください。

中学受験の費用が公立志望と私立志望で分かれる仕組み

中学受験の費用は、ひとくくりの金額ではなく、いくつかの支出が積み重なってできています。ここでは、費用を2段階でとらえる考え方と、志望先で対策が変わる仕組みを見ていきます。

費用は受験対策費と入学後の学費の2段階で考える

中学受験の費用は、合格するまでの「受験対策費」と、入学してからの「学費」の2段階に分けると全体像がつかめます。対策費は塾や講座、受験料などで、学費は授業料や施設費として通う間ずっと続くお金です。

この2つは性質がまったく違うため、まとめて「いくら」と考えると計画を誤ります。対策費は数年で終わる一時的な支出ですが、学費は入学後の6年間にわたって続く支出です。しかも、どちらの金額も志望先が公立中高一貫か私立かで変わってきます。まずは自分がどちらの段階の費用を気にしているのかを見直してから、先を読み進めてみてください。

公立は適性検査、私立は教科試験で対策が変わる

公立中高一貫校と私立では、そもそも入試の方法が違います。公立は「適性検査」、私立は教科ごとの「学力試験」で合否を決めるのが基本です。

適性検査は複数の教科を横断した思考力や記述力を問い、私立の四科入試は国語や算数など各教科の知識量を問います。適性検査では、グラフや文章などの資料を読み取り、自分の考えを書く問題が中心です。求められる力が違えば、通う塾のコースも変わり、それがそのまま対策費の差につながります。同じ「中学受験の塾」でも、公立向けと私立向けでは中身が別物だと考えてください。志望先を決める前に、どちらの試験に向けた対策が必要になるのかを確かめておきましょう。

志望先で通塾する期間と科目数が変わる

かかる費用は、通塾の期間と科目数によっても大きく動きます。私立志望は小学4年から国算理社の4科を積み上げるのが一般的で、通塾が長く科目も多くなりがちです。

一方、公立志望は適性検査に絞った専用コースを選べば、対策する科目を減らせる場合があります。この差が、月謝や季節講習費の総額に響いてきます。

Q. 公立中高一貫校なら、受験のための費用もそんなにかからないのでしょうか。
A. 対策費は私立より抑えやすい傾向がありますが、無料ではありません。適性検査は独特なので、専用の塾やコースに通う費用は見込んでおく必要があります。

わが子の志望がどちらかで通塾計画が変わると知り、早めに情報を集めておきましょう。

公立志望と私立志望で変わる受験対策費

受験対策費は、志望先で最も差が出やすい部分です。ここでは、公立志望と私立志望で対策費がどう変わるのかを、具体的な金額とともに見ていきます。

対策費の項目 私立志望 公立中高一貫志望
塾費用(3年間の目安) 約200万円 私立四科より抑えやすい
受験料(受検料) 1校あたり2〜3万円 2,200円(都立の例)
主な対策 国算理社の四科 適性検査(教科横断)

私立志望の塾費用は3年間で約200万円になる

私立を目指す場合、四科対応の中学受験塾に通うのが一般的です。その塾費用は、3年間の総額でおよそ200万円が一つの目安とされています。

大手塾で比べると、四谷大塚が約209万円、日能研が約212万円、SAPIXが約256万円といわれ、塾によって幅があります。私立志望の塾費用は、3年間でおよそ200万円が一つの目安です。この金額には毎月の月謝だけでなく、春期や夏期などの季節講習、テキスト代、模試代が上乗せされます。想定より膨らみやすいので、まずは志望する塾の年間費用を学年ごとに調べ、3年分の総額を見積もってみてください。

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公立中高一貫志望は適性検査コースで科目を絞れる

公立中高一貫を目指す場合は、適性検査に特化した専用コースを選べます。私立の四科と比べて対策する科目を絞れる分、費用を抑えやすいのが特徴です。専用コースでは、作文や資料の読み取りといった適性検査に向けた内容を集中して学びます。

ただし、費用がまったくかからないわけではありません。本気で対策すると、6年生のときの集団塾で年間120万円から150万円ほどかかる例もあります。通信教育を使えば、月あたり数千円から適性検査対策を始めることもできます。個別指導も含め、費用を抑える選択肢を選びやすいのが公立志望の強みです。私立四科の塾と公立専用コースの費用を並べて、家庭の予算に合うほうを選びましょう。

公立の受検料は2,200円で私立より安い

受験当日にかかる受検料も、公立志望のほうが軽くなります。公立中高一貫の受検料は都立で2,200円と、私立の1校あたり2〜3万円に比べて大幅に安く抑えられます。受検料は自治体が定めていて、学校ごとに大きく変わることはありません。

受験そのものにかかる費用が少ないため、出願のハードルも下がります。ただし公立中高一貫は同じ日に検査を行う地域が多く、実質的に1校しか受けられない点には注意しておきましょう。私立は複数校を受けると、受験料だけで数万円から十数万円に膨らむこともあります。受験料も志望先で差が出ると知り、出願する学校数と合わせて総額を見積もってください。

私立は併願するほど受験料が積み上がる

私立を志望する場合、安全校や実力相応校、チャレンジ校を組み合わせて併願するのが一般的です。受験する学校が増えるほど、受験料は重なって積み上がっていきます。

たとえば1校2〜3万円の受験料でも、5校から6校を受ければ受験料だけで10万円を超えることもあります。遠方の学校を受ける家庭では、交通費や宿泊費が加わることもあるでしょう。近年は午前と午後で別の学校を受けられるため、受験機会を増やすほど受験料もかさみます。進学しない学校でも、合格を押さえるために入学金を先に納めることがあります。併願する学校の数を早めに決め、受験料の総額まで予算に入れておきましょう。

公立志望と私立志望で変わる入学後の学費

対策費だけでなく、入学したあとに続く学費も志望先で大きく変わります。ここでは、公立中高一貫と私立で入学後の学費がどう違うのかを、公的なデータで確かめます。

学費の項目 公立中学(中高一貫を含む) 私立中学
学習費総額(年間) 約54万2千円 約156万円
うち学校教育費(年間) 約15万1千円 約112万8千円
3年間の学習費総額 約162.6万円 約467.2万円

公立中高一貫の学費は一般の公立中とほぼ同じ

公立中高一貫校に入学した後の学費は、地元の公立中学とほとんど変わりません。授業料が無償のため、学費そのものの負担は軽く済みます。中学の3年間は授業料がかからず、高校の3年間も就学支援金で負担が軽くなる家庭が多くあります。

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」では、公立中学校の学習費総額は年間約54万2千円でした。このうち授業料や教材にあたる学校教育費は約15万1千円で、残りの多くは塾などの学校外活動費が占めています。つまり公立では、学費より塾代のほうが負担の中心になります。入学後の学費を抑えたい家庭は、公立中高一貫が有力な候補になると覚えておきましょう。

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私立中学の学費は年間約156万円かかる

私立中学に進んだ場合、学費は年間で大きくふくらみます。文部科学省の同じ調査では、私立中学校の学習費総額は年間約156万円でした。この金額には授業料のほか、施設設備費や教材費、寄付金なども含まれています。

私立中学の学習費は、年間で公立中学のおよそ3倍にのぼります。このうち学校教育費だけで約112万8千円と、授業料や施設費の比重が高いのが特徴です。学校による差も大きく、設備の充実した学校ほど費用は高くなる傾向があります。3年間で見ると、公立の約162.6万円に対して私立は約467.2万円と、約304.6万円もの差がつきます。私立を志望するなら、入学後に続く学費まで含めて資金計画を立ててください。

私立は初年度に入学金と施設費が上乗せされる

私立で特に重いのが、入学した年の初年度費用です。入学金や施設設備費がまとまってかかるため、初年度の負担が最も大きくなります。入学金は20万円から30万円ほどが一つの目安で、合格発表後の短い期間に納めなければなりません。

さらに、制服や指定用品、修学旅行の積立金などの費用も入学のタイミングで重なります。学習用のタブレットやパソコンを買いそろえる学校も増え、初期費用に上乗せされるのです。通学定期代も、遠方の学校ほど毎月の負担になります。学校によっては任意の寄付金を求められることもあり、想定外の出費になりがちです。私立を検討するなら、志望校の募集要項で初年度納付金の内訳を確認しておきましょう。

学校外活動費も進学先によって変わる

学費とは別に、塾や習い事にあたる学校外活動費も進学先で変わります。私立に進んだ後も大学受験に向けて塾に通えば、その分が学費に上乗せされます。文部科学省の調査では、公立中学生の学習塾費は年間で約35万円という結果でした。大学受験まで見据えると、この塾代は6年間続くこともあります。

公立中高一貫の中には、6年間かけて大学受験まで計画的に指導する学校も少なくありません。学校の補習や講習が手厚ければ、外部の塾に頼らず塾代を抑えられる場合もあります。入学後にどれだけ塾へ通うかで、6年間の総額は変わってきます。学費だけでなく入学後の塾代まで含めて、長い目で見通しを立ててみてください。

公立志望と私立志望のトータルの費用差

対策費と学費を合わせて見ると、公立志望と私立志望の費用差はいっそうはっきりします。ここでは、両者の総額の傾向と、志望を決めるための考え方を見ていきます。

公立志望は対策費も学費も私立より抑えられる

公立志望は、受験対策費と入学後の学費の両方で私立より負担を抑えやすくなります。受検料は2,200円、入学後の学費も一般の公立中学並みです。対策費でも私立四科の約200万円より軽く、入学後の学費も年間で100万円近い差がつきます。

POINT

公立中高一貫の志望は、対策費と入学後の学費という2段階のどちらでも私立より軽くなりやすい。ただし倍率の高さと私立併願の費用は別に見込んでおく。

公立志望は対策費と学費の両方で、私立より負担を抑えられます。とはいえ、倍率が高いため、私立併願の費用が別に必要になる家庭もあります。まずは公立一本で組めるのか、私立併願まで見込むのかを決めておきましょう。

私立志望は6年間で学費が大きく膨らむ

私立志望は、対策費に加えて入学後の学費が最も大きな支出になります。中高一貫の私立では、6年間の学費が数百万円規模に達することも珍しくありません。私立中高一貫の6年間の学習費は、合計で700万円を超えるという試算もあります。入学金や施設費が重なる初年度は、単年でも負担が大きくなりがちです。

対策費のおよそ200万円と合わせると、家計への影響は長い期間にわたって続きます。中学から大学まで私立に進めば、教育費は途切れず十数年に及ぶのです。目先の塾代だけでなく、入学後6年間の学費まで見据える必要があります。私立を選ぶなら、6年間のトータルで無理がないかを具体的な金額で見積もってください。

家庭の予算から志望の方向を先に決める

費用の全体像がつかめたら、家庭の予算をもとに志望の方向を先に決めるのが現実的です。予算が限られるなら公立中高一貫を中心に、余裕があれば私立併願と、幅を持たせて考えます。きょうだいの人数や世帯の収入によっても、無理なく出せる金額は変わるものです。まず年間いくらまで教育費に回せるかを、家計から先に見積もっておくと決めやすくなります。

もちろん、志望校選びは費用だけで決まるものではありません。校風や通学距離、わが子との相性も合わせて判断する必要があります。私立には授業料の減免や奨学金の制度を持つ学校もあり、条件が合えば負担を下げられます。費用と条件を一覧に並べて、わが子に合う志望先を絞り込んでいきましょう。

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公立中高一貫を志望するときの費用面の注意点

公立志望は費用を抑えやすい一方で、見落としがちな落とし穴もあります。ここでは、公立中高一貫を志望するときに注意したい費用面のポイントを見ていきます。

公立中高一貫は倍率が高く合格が読みにくい

公立中高一貫は費用が安い分、人気が集中して倍率が高くなります。首都圏では志願者が多く、学校によっては8倍から9倍という狭き門です。私立が同じ学校を複数回受けられるのに対し、公立は基本的に1回の検査で合否が決まります。

倍率が高いと、しっかり対策をしても不合格になる可能性が私立より読みにくくなります。適性検査は満点を取りにくく、合格者と不合格者の差がわずかなことも多いためです。公立一本に絞ると、不合格のときは地元の公立中学へ進む前提になります。まずは志望校の倍率を確認し、公立一本で行くか併願するかを早めに判断しましょう。

不合格に備えて私立併願の費用も見込む

公立が不合格でも進学先を確保したいなら、私立併願の費用を別に見込んでおく必要があります。公立の発表前に私立の合格を得ておけば、進学先が決まらない事態を避けられます。

注意

併願用の私立を入れると、受験料に加えて合格後の入学金や学費が上乗せされるのです。費用を抑えるつもりが、併願によって私立並みの出費になることもあります。

併願する私立の受験料と、合格した場合の入学金や初年度学費まで想定しておくと安心です。私立に進む可能性が少しでもあるなら、入学金の納入期限も併せて確認しておきましょう。公立と私立の費用を別々に考えず、併願分まで含めた総額を先に試算しておきましょう。

まとめ

中学受験の費用は、合格までの受験対策費と入学後の学費という2段階で考えると全体像をつかみやすくなります。この2つが、公立中高一貫の志望と私立志望で大きく変わってきます。

対策費は、私立四科の塾が3年間で約200万円かかるのに対し、公立中高一貫は科目を絞れる分だけ抑えやすくなります。入学後の学費も、私立中学が年間約156万円と、公立中学のおよそ3倍にのぼります。

公立志望は対策費と学費の両方で負担が軽い一方、倍率が高く、私立併願の費用まで見込む必要があります。まずはわが子の志望の方向を家庭の予算から決めることから始めてみてください。

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