面接のある学校を志望校に入れると、学力とは別の不安が生まれます。「うちの子は初対面の大人の前で、ちゃんと話せるのだろうか」と、筆記対策とは違う心配が出てくる方は少なくありません。
とはいえ、面接で何を聞かれ、どこを見られているのかを具体的に知れば、準備の見通しは立ちます。定番の質問は学校が違ってもよく似ていて、答えの方向もあらかじめ用意できます。
この記事では、中学受験の面接の形式から、受験生と保護者によく聞かれる質問と答え方、準備と練習の進め方、当日のマナーまでをまとめました。親子で面接の準備を始める前に、順に読み進めてみてください。
中学受験の面接の3つの形式
面接と一口に言っても、誰が受けるかによって形式は分かれます。ここでは、中学受験の面接に多い3つの形式を確認します。
受験生本人のみの個人面接は本人の受け答えが見られる
受験生本人だけで臨む個人面接は、中学受験の面接でもっとも一般的な形式です。面接官1人か2人に対し、子どもが1人で受け答えをします。志望動機や小学校生活など、本人に関する質問が中心になります。
ここで見られているのは、答えの正しさよりも受け答えの態度です。質問を最後まで聞き、自分の言葉ではっきり話せるかを面接官は確かめています。学力は筆記試験で測るため、面接では人柄や意欲が評価の中心になります。はきはきとした受け答えや、相手の目を見て話す姿勢が評価されやすいでしょう。緊張して黙り込むより、少し詰まっても最後まで話しきる子のほうが良い印象を残します。準備の重心は、本人が自分の言葉で話す練習に置きましょう。
親子面接は家庭の方針と親子の関係が見られる
親子面接は、受験生と保護者がそろって入室し、一緒に受ける形式です。子どもへの質問と保護者への質問が、交互に投げかけられます。ときには「今の答えについて、お父さまはどう思われますか」と、親子の受け答えがつながる場面もあります。
ここで見られるのは、家庭の教育方針と、普段の親子の関係です。子どもの答えと親の答えが大きく食い違うと、家庭での会話の少なさが伝わってしまいます。志望動機や子どもの長所など、聞かれそうな話題は事前に親子で話しておきましょう。答えを一言一句そろえる必要はなく、方向が同じであれば十分です。
保護者のみの面接は志望動機と教育方針が問われる
保護者のみの面接は、子どもが筆記試験を受けている間に、別室で保護者だけが答える形式です。学校によっては、試験日とは別の日に実施することもあります。問われるのは主に、志望動機と家庭の教育方針、そして学校への理解の深さです。
この形式では、保護者が学校をどれだけ理解しているかがはっきり出ます。学校の教育理念や特色を答えられないと、志望度が低いと受け取られかねません。事前に学校のパンフレットや公式サイトを読み込み、共感した点を自分の言葉で言えるようにしておきましょう。夫婦のどちらが出席するかも、早めに決めておくと安心です。
面接で受験生によく聞かれる質問と答え方
面接の質問は学校が違ってもよく似ており、定番はある程度決まっています。ここでは、受験生によく聞かれる質問と答え方を見ていきます。
| 質問の種類 | よくある質問 | 答えの方向 |
|---|---|---|
| 志望動機 | なぜ本校を志望しましたか | 説明会や見学で感じた具体を挙げる |
| 小学校生活 | 一番がんばったことは何ですか | 結果でなく取り組んだ過程を話す |
| 長所と短所 | 自分の長所と短所を教えてください | 短所は克服したい姿勢とセットにする |
| 時事・読書 | 最近気になったニュースは何ですか | 事実に自分の考えを一言添える |
| 入学後の抱負 | 入学したら何をしたいですか | 学校の特色に結びつけて話す |
志望動機は学校の特色と自分の希望を結びつけて答える
志望動機は、面接でほぼ必ず聞かれる中心の質問です。ここで「家から近いから」「親にすすめられたから」とだけ答えると、志望度が低いと受け取られます。その学校でなければならない理由を、自分が見て感じた具体で語ることが欠かせません。
説明会や文化祭で心を動かされた場面を思い出し、そこを起点に話を組み立てましょう。「理科の授業を見て、自分も実験をやりたいと思った」のように、体験と希望をつなげると説得力が出ます。学校案内の言葉をそのまま借りるのではなく、自分の見聞きした事実を使うのがこつです。学校説明会での情報の集め方は、次の記事も参考になります。
小学校生活の質問は具体的なエピソードで答える
小学校生活については、「一番がんばったことは何ですか」がよく聞かれます。委員会活動やクラブ、行事など、打ち込んだ経験を1つ選んで話します。ここで大切なのは、賞や結果を並べることではありません。
面接官が知りたいのは、その子が何に取り組み、どう工夫したかという過程です。「運動会のリレーで、バトンの渡し方を毎日練習した」のように、具体的な場面を1つ添えると伝わります。うまくいかなかったことを、どう乗り越えたかという話も評価されます。話す出来事は、本人が本当に打ち込んだものを選びましょう。作られた立派な話より、素朴でも実感のある話のほうが、面接官の心に届きます。
長所と短所は短所を克服の姿勢とセットで答える
長所と短所は、多くの学校で問われる定番の質問です。長所は「あきらめずに続けられること」のように、具体的な行動で言えるようにしておきます。難しいのは短所の伝え方で、ここでつまずく子は少なくありません。
短所は隠さず正直に認めたうえで、中学でどう克服したいかまで続けて話すと、前向きな印象に変わります。 「忘れ物が多いので、中学では持ち物を前の日に確認したい」といった形です。短所を言わずに「特にありません」と答えると、自分を見つめられていないと受け取られます。長所と短所は表裏で語れることも多いので、親子で書き出しておきましょう。
時事問題や読んだ本は自分の考えを一言添えて答える
時事問題や最近読んだ本は、子どもの考える力を見るために聞かれます。「最近気になったニュースは何ですか」「読んで面白かった本は何ですか」といった形です。事実をただ要約するだけでは、答えとして物足りません。
面接官が見たいのは、その出来事や本に対して自分がどう感じたかです。「食品ロスのニュースを見て、自分も食べ物を大事にしたいと思った」のように、事実に感想を一言添えます。日ごろから子ども向けのニュースや新聞に親子で触れておくと、話す材料が増えます。難しい意見を言う必要はなく、自分の言葉で感じたことを話せれば十分だと伝えてあげましょう。
将来の夢や入学後の抱負は学校の特色に寄せて答える
将来の夢や入学後にやりたいことも、面接でよく問われる質問です。「入学したらどんなことに挑戦したいですか」と、進学後の姿勢を確かめられます。ここで漠然と「勉強をがんばりたい」とだけ答えると、どの学校でも通る答えになってしまいます。
そこで、その学校ならではの部活動や行事、授業に結びつけて話すのが効果的です。「吹奏楽部に入って、先輩たちのように大会を目指したい」のように具体を出します。志望校の特色を事前に調べておくと、入学後の抱負も志望動機も答えやすくなるでしょう。学校ごとの特色の見極め方は、志望校選びの記事も参考になります。
保護者が面接で聞かれる質問
親子面接や保護者面接では、親の答えも合否の判断材料になります。ここでは、保護者がよく聞かれる質問と答え方を見ていきます。
家庭の教育方針は普段の関わり方で答える
家庭の教育方針は、保護者への質問でもっとも多く聞かれる項目です。「ご家庭ではどのような方針で育てていますか」と問われます。ここで「自主性を重んじています」といった抽象的な言葉だけでは、実感が伝わりません。
答えるときは、普段の具体的な関わり方をそえるのがこつです。「自分で決めさせるために、朝の支度は本人に任せています」のように、家庭での行動で示します。学校の教育理念と家庭の方針が重なる点を見つけておくと、志望度の高さも自然に伝わります。日ごろの子育てで大事にしていることを、面接前に一度言葉にしておきましょう。
志望動機は子どもの回答と食い違わせない
保護者の志望動機は、子どもの答えとそろっているかまで見られます。親子面接では、同じ質問が子どもと親の両方に投げかけられることも珍しくありません。ここで答えの方向が大きくずれると、家庭で受験の話をしていない印象を与えます。
親子で志望動機を丸暗記してそろえる必要はありません。むしろ棒読みは不自然に映ります。事前に「なぜこの学校か」を家庭で話し合い、向いている方向だけをそろえておけば十分です。
親の視点からは、子どもには見えにくい教育環境や進学実績にふれてもよいでしょう。子どもが「校風が好き」と言い、親が「その校風が子に合う」と語れば、答えは自然に重なります。大切なのは、親子が同じ学校の同じ良さを見ているという一貫性です。志望理由を親だけで決めてしまうと、この重なりは生まれません。面接の前に、親子で志望理由を一度声に出して確かめておきましょう。
子どもの性格は長所を軸に短所も添えて答える
子どもの性格を問う質問も、保護者面接の定番です。「お子さんはどのような性格ですか」と、家庭から見た子どもの姿を尋ねられます。長所ばかりを並べても、短所を隠しても、どちらも実像がぼやけてしまいます。
答えの軸は長所に置きつつ、短所も正直に添えるのが自然です。短所は、家庭でどう支えているかまで話すと、子育ての姿勢そのものが伝わります。 「心配性なところがあるので、できたことを言葉にして自信をつけさせています」といった形です。わが子をよく見ている親だと伝わるよう、具体的な場面を1つ用意しておきましょう。
面接の準備と練習の進め方
面接の出来は、当日までの練習でほぼ決まります。ここでは、家庭でできる準備と練習の進め方を紹介します。
定番質問の答えをキーワードでノートにまとめる
準備の第一歩は、定番質問への答えをノートに書き出すことです。志望動機や長所短所など、聞かれそうな質問をひととおり並べてみましょう。ここで文章を丸ごと暗記させると、本番で一言詰まったときに立て直せなくなります。
答えは文章の丸暗記でなく、話の要点をキーワードで書き留めるのです。「文化祭・理科の実験・自分もやりたい」のように単語で並べ、本番はその場で文にします。
キーワードで覚えると、質問の言い回しが変わっても自分の言葉でつなげます。丸暗記した文章は、少しでも順番を忘れると頭が真っ白になりやすいものです。書き出す作業は親が代わりにやらず、子ども自身に言葉を選ばせるのが大切になります。自分で選んだ言葉なら、本番でも思い出しやすくなります。まずは質問を10個ほど用意し、1つずつ答えの要点を一緒に書き出してみましょう。
模擬面接を録画して客観的に見直す
答えがそろってきたら、実際に声に出す模擬面接に移ります。家庭で面接官役と受験生役に分かれ、入室から質問までを通しで行います。頭で分かっていても、いざ声に出すと言葉に詰まることは少なくありません。
このとき、スマートフォンで様子を録画して見返すのが効果的です。自分では気づかない声の小ささや、視線の泳ぎ、姿勢の崩れが画面ではっきり分かります。親が口で「もっと大きな声で」と言うより、映像を見せたほうが子どもは納得します。子どもが自分の映像を見て直すと、注意されるより早く改善するものです。1回撮って終わりにせず、直した点を意識して撮り直すと変化が見えます。録画と見直しを何度か繰り返し、落ち着いて話せる状態まで持っていきましょう。
親以外の複数の相手と繰り返し練習する
練習の相手は、親だけに限らず複数用意すると効果が高まります。いつも同じ相手だと場に慣れてしまい、本番の緊張感がつかめません。塾の先生や祖父母など、少し改まった相手に頼むのがおすすめです。
初対面に近い大人の前で話すと、本番と同じ程度の緊張を経験できます。親の前ではすらすら話せても、他人の前だと固まってしまう子は少なくありません。その緊張の中で最後まで受け答えする練習が、当日の落ち着きにつながります。塾によっては模擬面接の機会を設けているので、活用できるか早めに確認しておきましょう。何度か場数を踏めば、初めての面接官の前でも力を出しやすくなります。
面接当日のマナー
当日は、入室した瞬間から面接が始まっています。ここでは、面接当日に押さえたいマナーを確認します。
入退室はノックと挨拶と一礼の作法で落ち着いて行う
面接は、部屋に入る前の入退室の所作から見られています。入室はドアを2、3回ノックし、「失礼します」と言って一礼してから入ります。椅子の横まで進んだら、名前と受験番号を伝えてから座るのが基本です。
退室のときも、椅子の横で「ありがとうございました」と一礼します。ドアの前でもう一度振り返って礼をし、静かにドアを閉めて出ます。あわてて雑にドアを閉めると、それまでの受け答えの印象まで薄れてしまうものです。細かい作法を完璧に覚える必要はありませんが、流れを一度練習しておくと当日あわてずにすみます。所作がぎこちなくても、丁寧にやろうとする姿勢は面接官に伝わるでしょう。入退室だけは親子で一度通してみて、体で覚えておきましょう。
言葉遣いと姿勢は最後まで崩さず言い切る
受け答えの間は、言葉遣いと姿勢を最後まで保ち続けます。背筋を伸ばして浅く腰かけ、手はひざの上に軽く置くとよいでしょう。視線は面接官の目のあたりに向け、うつむいたまま話さないよう気をつけます。
言葉遣いは、語尾を「です」「ます」ではっきり言い切るのが基本です。小さな声で語尾を濁すより、多少ぎこちなくても最後まで言い切るほうが好印象になります。「〜みたいな」「〜っていうか」といった話し言葉は、面接では避けたいところです。緊張で早口になりやすいので、一呼吸おいて話す練習をしておきましょう。なお、当日の服装や身だしなみも印象を左右するので、別の記事で確かめておいてください。
まとめ
中学受験の面接は、受験生本人・親子・保護者の3つの形式があり、まず自分の受験校がどれかを確かめることから始まります。受験生への定番質問は、志望動機や小学校生活、長所短所、時事や読んだ本などで、答えの方向はあらかじめ用意できます。
保護者は教育方針や志望動機を問われるため、子どもの答えと方向をそろえておくと安心です。準備は、答えをキーワードでノートにまとめ、録画を使った模擬面接と、親以外との練習を重ねるのが近道になります。
当日は入退室の作法と、言い切る言葉遣いを保てば、落ち着いて臨めます。まずは志望校の面接形式を確認し、定番質問の答えを親子で書き出すことから始めてみてください。


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