わが子の中学受験を考え始めると、「英語はどう関わるのだろう」という疑問にぶつかります。小学校で英語が教科になり、英語入試という言葉を耳にする機会も増えました。
とはいえ、英語入試がどんなもので、英検が何級あれば有利になるのかまで、はっきり説明できる方は多くありません。情報が学校ごとに散らばっていて、全体像がつかみにくいためです。
この記事では、英語入試が増えている背景から、入試の型、英検の級の目安と加点・出願要件、対策の始め方までをまとめました。志望校を決める前の判断材料として読み進めてみてください。
中学受験で英語入試が増えている背景
中学受験の世界では、英語を使える入試が急速に広がっています。ここでは、英語入試が増えている背景を、実施校の動きと社会の流れから見ていきます。
英語入試を選べる中学はこの10年ほどで大きく増えた
英語入試とは、国語や算数を中心とした入試に英語を加えたり、英検などの資格を使えたりする入試を指します。かつては一部の学校だけの仕組みでしたが、いま選べる学校は大きく増えています。首都圏では、2025年度に私立・国立のおよそ4割にあたる140校規模が、英語に関わる入試を用意したとされます。英語入試を選べる中学は、この10年ほどで大きく増えたというのが実際のところです。
ただし、こうした数字は集計の定義や年度によって動きます。英語だけの入試に絞るか、英検の利用まで含めるかで校数は変わるため、目安として受け止めてください。
まずは、志望する学校が英語入試を実施しているかどうかを、学校一覧や入試要項で確かめてみてください。
大学入試の英語重視が中学入試にも広がっている
英語入試が広がる背景には、大学入試での英語の位置づけの変化があります。読む・聞く・話す・書くの4技能や英語の資格が重視され、その流れが中学入試にも下りてきました。中高一貫校は6年かけて英語力を育てたいと考え、入学の段階で英語に強い生徒を迎えたいのです。グローバル教育を掲げる学校ほど、英語入試を用意する傾向が見られます。
保護者にとっては、算数や国語だけで勝負しなくてよいルートが増える意味があります。英語が得意な子なら、その強みを合否に生かせるわけです。反対に、学校の教育方針とわが子の得意が合っているかを見極める視点も欠かせません。
説明会や学校資料で英語教育の方針を読み、わが子の得意と重なるかを確認してみましょう。
難関校も英語資格を使う入試を取り入れ始めた
英語入試は、以前は中堅校を中心に広がってきました。近年はその動きが難関校にも及び、英語の資格を使える入試を取り入れる学校が出ています。たとえば豊島岡女子学園は、2025年度に算数と英語資格を組み合わせた入試を導入しました。難関校の参入は、英検などの資格が受験の幅を広げる場面が増えていることを示します。
導入する学校や方式は、年度ごとに入れ替わります。2026年度には頌栄女子学園や鎌倉女学院、富士見が英語資格を使う入試の導入を発表しており、顔ぶれは毎年変わると考えてよいでしょう。ここで挙げた学校名も、あくまで一例です。
志望に難関校が入る場合も、英語資格の使い道がないかを最新の入試要項で確かめてみてください。
中学受験の英語入試の型
英語入試とひとことで言っても、その中身は学校によって大きく違います。ここでは、中学受験の英語入試を代表的な4つの型に分けて説明します。
英検などの資格を出願や加点に使う資格利用型がある
中学受験の英語入試でもっとも多いのは、英検などの資格を出願条件や加点に使う型です。当日に英語の試験を受けなくても、すでに取得している級で評価される仕組みです。たとえば3級で得点に加点する、準2級で英語の得点とみなすなど、級に応じて扱いが決まります。この型なら、英語を早めに資格で固めておけるのです。
利点は、当日の負担を減らせる点にあります。英語を資格でまかなえれば、国語や算数の対策に時間を回せます。ただし換算の方法は学校ごとに違うため、事前の確認が欠かせません。
志望校が資格利用型かどうか、募集要項の判定方法を先に読んでおきましょう。
学校が独自に作る英語の筆記型がある
資格を使わず、学校が独自に作成した英語の筆記試験を課す型もあります。長文読解やリスニング、英作文などを当日に解いて、その場の英語力をみる形です。出題のレベルは学校差が大きく、英検4級ほどのやさしいものから準2級に近いものまで幅があります。資格がなくても受けられる代わりに、当日の一発勝負になるでしょう。
安定して得点するには、その学校の形式に慣れておく必要があります。長文が長い学校、リスニングの配点が高い学校など、傾向は過去問に表れます。同じ英語入試でも、必要な力は学校ごとに違うと考えてください。
志望校の過去問を取り寄せ、出題形式とレベルを早めに確認しておきましょう。
面接やスピーキングで話す力をみる型がある
英語での面接やスピーチ、グループワークを通して「話す力」をみる型もあります。筆記だけでなく、実際に英語を使うやりとりを評価する形です。発音の聞き取りやすさや会話の自然さが問われるため、読み書き中心の対策だけでは届きにくくなります。声に出して英語を使う練習が欠かせません。
こうした型は帰国生入試で多く見られますが、一般入試の一部に取り入れる学校も出てきました。人前で英語を話すことに慣れておくと、当日に力を出しやすくなります。ふだんから英語を口にする機会があるかどうかが差になります。
話す試験がある学校を志望するなら、オンライン英会話などで人と話す機会を対策に組み込みましょう。
英語1科目だけで受けられる入試もある
英語1科目だけで合否が決まる、英語一科入試と呼ばれる方式もあります。国語や算数、理科や社会の負担がなく、英語一本で挑める入試です。英語に強い子や帰国生に向く一方で、募集人数が少なく倍率が読みにくい面があります。合格を確保するには、他の方式で受ける併願校もあわせて用意しておくと安心です。
どの型を選ぶかで、必要な対策も併願の組み方も変わります。英語一科に絞るのか、他教科と組み合わせるのかを早めに決めておくと動きやすくなるでしょう。志望校の入試方式を先に把握することが、無理のない計画につながります。
英語一科で受けるなら、他教科型の併願校もあわせて志望校選びを進めておきましょう。
中学受験で使う英検の級の目安
英検を使う場合、まず気になるのは「何級を目指せばよいか」という点でしょう。ここでは、英検の級のレベルと、中学受験で目安になる級を見ていきます。
英検の級は中学初級から高校卒業程度まで対応する
英検は5級から1級まであり、数字が小さくなるほど難易度が上がります。それぞれの級には、学年に対応したレベルの目安が定められています。日本英語検定協会の「各級の目安」では、5級が中学初級程度、3級が中学卒業程度などと示されています。中学受験で主に使うのは、4級から準2級あたりです。
級ごとに、読む力や聞く力の水準が異なります。わが子がいまどのあたりにいるかを、級を物差しにして把握できます。次の対応を目安に、目標とする級を考えてみてください。
| 英検の級 | レベルの目安 | 中学受験での主な使われ方 |
|---|---|---|
| 5級 | 中学初級程度 | 出題レベルの目安。優遇は限定的 |
| 4級 | 中学中級程度 | 加点・書類評価の対象になる学校がある |
| 3級 | 中学卒業程度 | 加点・試験免除など優遇が広がる |
| 準2級 | 高校中級程度 | 英語重視校で強みになる |
| 2級 | 高校卒業程度 | 難関の英語重視校でも評価される |
まずは英検の過去問を1回分解き、いまどの級に届きそうかを確かめてみてください。
中学受験では英検4級以上が優遇の目安になる
中学受験で優遇を受けたいなら、まず4級以上を目標にするとよいでしょう。中学受験では英検4級以上が、優遇を受ける一つの目安になるとされます。4級は中学中級程度にあたり、加点や書類評価の対象にする学校が少なくありません。5級だけでは優遇の対象にならない学校も多く見られます。
ただし、求められる級は学校ごとに違います。4級を持っていれば安心というわけではなく、あくまで動き出しの目安です。まず4級に届くことを最初のゴールに置くと、学習の見通しが立てやすくなります。
当面の目標を4級に定め、取得できたら3級へと進む計画を立ててみてください。
英検3級以上で加点や試験免除の幅が広がる
4級の次に目指したいのが、中学卒業程度にあたる英検3級です。3級を持っていると、優遇の選択肢が一段と広がります。3級以上を対象に加点の幅を大きくしたり、当日の英語試験を免除したりする学校も増えています。準2級や2級まで取れれば、英語重視の学校ではさらに強い材料になります。
迷ったら、まずは英検3級を目標に置くとよいでしょう。中学卒業程度の3級を取れると、加点や試験免除など使える優遇の幅がぐっと広がります。
とはいえ、級が上がるほど学習の負担も増えます。国語や算数とのバランスをみて、無理のない目標級を決めることが欠かせません。高い級をやみくもに狙うより、志望校が求める級に合わせるほうが効率的です。
志望校の要件を確かめ、3級を軸に必要なら準2級まで計画を伸ばしてみてください。
英検を使った加点と出願要件の確認
英検を持っていても、その扱いは学校によってさまざまです。ここでは、英検が入試でどう使われるかと、出願に間に合わせる受験時期の考え方を説明します。
英検の扱いは加点・免除・出願資格・特待の4つに分かれる
英検の使われ方は、大きく4つに分かれます。得点に足す加点、当日の英語試験を受けずに済む試験免除、出願そのものの条件になる出願資格、そして学費などで優遇される特待です。同じ級でも、加点として扱う学校もあれば、出願資格に設定する学校もあります。どの扱いかによって、狙うべき級や受験のプランは変わってきます。
たとえば出願資格になっている場合、その級がないとそもそも受けられません。一方で加点なら、級がなくても受験自体はできます。まず、志望校が英検をどの扱いにしているかを見分けるところから始めます。
志望校の要項を読み、英検がどの扱いにあたるのかを一つずつ確認してみてください。
出願に間に合う英検の受験時期を逆算する
英検をいつ受けるかは、出願の時期から逆算して決めます。中学受験の願書提出は、多くの学校で12月から1月ごろが目安です。英検は受験してから結果が出るまでに時間がかかるため、直前に受けると間に合わないことがあります。取得した級を出願に使うなら、早めのスケジュールが欠かせません。
英検は第2回(10月実施・11月結果)までに目標の級を取っておくと、願書に間に合いやすくなります。優遇の対象となる級や条件は年度ごとに変わるため、志望校の最新の募集要項を必ず確かめてください。
年度によって入試の要件が見直されることもあります。前年の情報のまま準備を進めると、条件のずれに気づけないおそれがあります。はじめての中学受験では、どの回の英検を受ければ間に合うか迷いやすいものです。志望校の出願時期を確認し、そこから英検の受験回を逆算しておきましょう。
中学受験の英語入試対策の始め方
英語入試の対策は、やみくもに英語を勉強するだけでは的が外れます。ここでは、志望校を知ることから始める、対策の進め方を順に説明します。
志望校の過去問で出題傾向をつかむ
英語入試の対策で最初にやることは、志望校を知ることです。英語入試の対策は、まず志望校の過去問から始めるのが近道です。長文読解が中心なのか、リスニングや英作文があるのか、面接まであるのかを過去問で確かめます。型もレベルも学校によって違うため、相手を知らないまま勉強しても力が分散します。
出題の傾向がつかめれば、限られた時間を必要な練習に集中できるのです。リスニングの配点が高い学校なら、聞く練習に比重を置くといった判断ができます。的外れな対策に時間を使わずに済みます。
志望校の過去問をまず1年分解き、出題形式と難易度をノートに書き出してみてください。
英検の学習で読む力と聞く力を固める
過去問で傾向をつかんだら、英検の学習で基礎を固めます。英検の対策は、単語や文法、長文、リスニングを級ごとに積み上げられるように作られています。読む力と聞く力が付けば、学校独自の筆記問題にも応用が利きます。資格の取得と実力の底上げを、同時に進められる点が大きな利点です。
級という目標があると、学習のゴールがはっきりします。子どもも「次は3級」と進み具合を実感しやすく、やる気が続くのです。ばくぜんと英語をやるより、級を区切りにするほうが取り組みやすくなります。
当面の目標級を決め、英検の過去問とテキストで週ごとの学習量を決めてみてください。
塾やオンライン教材で計画的に進める
家庭だけで進めるのが難しいときは、塾やオンライン教材の力を借ります。英語入試や英検に対応した講座を選べば、計画的に学習を進められます。集団塾のほかに、英語に絞った個別指導やオンライン英会話なら、苦手な分野を重点的に補えるのです。話す試験がある学校を志望する場合も、スピーキングの練習がしやすくなります。
選ぶときは、費用と通いやすさ、対応している級や入試方式を見比べます。どれだけよい教材でも、続けられなければ力になりません。わが子が無理なく続けられる形かどうかを基準にします。
英語入試や英検に対応した教材や塾を比べ、家庭に合う形を選んでみてください。
家庭で英語に触れる時間を毎日つくる
教材や塾に任せきりにせず、家庭で英語に触れる時間を毎日つくります。短い時間でも、毎日続けることが着実に力になるのです。英語の動画や絵本、音声を生活のなかに取り入れ、耳と口を英語に慣らします。机に向かう勉強と組み合わせると、覚えたことが定着しやすくなります。
大事なのは、完璧を求めずに続けられる形にすることです。負担が重すぎると、親子ともに息切れして途中でやめてしまいます。楽しめる素材を選べば、勉強という感覚なく英語に触れられます。
1日10分でもよいので、英語に触れる時間を決めて生活のリズムに組み込んでみてください。
まとめ
中学受験の英語入試は、この10年ほどで選べる学校が大きく増えました。首都圏では私立・国立の相当数が英語に関わる入試を用意し、難関校も資格を使う入試を取り入れ始めています。
入試の型は、英検などの資格を使う型、独自の筆記型、話す力をみる型、英語一科型に分かれます。英検を使うなら4級以上が優遇の目安で、3級を取れると加点や試験免除の幅が広がります。扱いは加点・免除・出願資格・特待の4つに分かれ、条件は年度で変わります。
対策は、まず志望校の過去問で傾向をつかみ、英検の学習で基礎を固めるのが近道です。志望校が英語入試を実施しているかを確かめ、募集要項で英検の扱いを読むことから始めてみてください。


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