子どもの中学受験が決まると、親のほうが多くの情報に向き合うことになります。書店の学習参考書コーナーには、勉強法から親の心構えまで、中学受験を扱った本が所狭しと並びます。どれを開けば自分の役に立つのか、背表紙を眺めるだけで時間が過ぎてしまう方も多いでしょう。
とはいえ、必要な本は受験のどの局面に立っているかで変わります。全体像をつかみたい時期と、成績が伸び悩む直前期とでは、手が伸びる一冊はまるで別ものです。
そこで、中学受験の親におすすめの本を、全体像・親の関わり方・メンタル・勉強法・併走記という5つの目的別に分けて紹介します。いずれも実在の定番書ばかりなので、いまの自分に必要な一冊から手に取ってみてください。
この記事で紹介する14冊の一覧
| 書名 | 著者 | 目的別テーマ |
|---|---|---|
| なぜ中学受験するのか? | おおたとしまさ | 全体像 |
| 中学受験という選択 | おおたとしまさ | 全体像 |
| 中学受験の親たちへ | おおたとしまさ・安浪京子 | 全体像 |
| 中学受験は親が9割 | 西村則康 | 親の関わり方 |
| 中学受験 わが子を合格させる父親道 | 鳥居りんこ | 親の関わり方 |
| 受験は母親が9割 | 佐藤亮子 | 親の関わり方 |
| 中学受験「必笑法」 | おおたとしまさ | メンタル |
| 桜井さん、うちの子受かりますか? | 桜井信一 | メンタル |
| 中学受験 6年生からの大逆転メソッド | 安浪京子 | 勉強法 |
| 中学受験 大逆転の志望校選び | 安浪京子 | 勉強法 |
| 中学受験をするきみへ | 安浪京子 | 勉強法 |
| 下剋上受験 | 桜井信一 | 併走記 |
| 翼の翼 | 朝比奈あすか | 併走記 |
| 勇者たちの中学受験 | おおたとしまさ | 併走記 |
中学受験の全体像をつかむ本
中学受験を始める前に読みたいのが、受験そのものを見渡す本です。ここでは、中学受験の全体像をつかめる3冊を紹介します。
『なぜ中学受験するのか?』は受験の意味を問い直す一冊
勉強法より前に「そもそも、なぜ受験させるのか」を考え直したい方に向くのが、おおたとしまささんの『なぜ中学受験するのか?』です。光文社新書から出ており、受験の歴史や社会的な背景をたどりながら、親が受験に向かう動機をていねいにほどいていきます。
目的があいまいなまま塾に通わせると、成績の上下に親子で振り回されがちです。 この本を先に読むと、わが家が何のために受験するのかという軸が定まります。塾選びや志望校選びで迷ったとき、判断の物差しになる一冊でしょう。まずは受験を決める前に開いてみてください。
『中学受験という選択』は受験を進路の1つとして見渡す
同じおおたとしまささんの『中学受験という選択』(日本経済新聞出版)は、中学受験を数ある進路の1つとして冷静に見渡す本です。私立や公立中高一貫、地元の公立中学まで、それぞれの道の長所と短所を並べて示します。
受験するかどうかを迷っている段階の親にとって、選択肢を平らに比べられる視点はありがたいものです。過熱した情報に触れて不安になる前に、進路全体の地図を持てます。周囲の熱量に流されず、わが家の事情から進路を見直したい人にも向いています。受験を決める前提でなく、選ぶ前提で考え直したい方は、手に取ってみるとよいでしょう。
『中学受験の親たちへ』は親の役目をルールで示す
おおたとしまささんと、プロ家庭教師の安浪京子さんが組んだ『中学受験の親たちへ』(大和書房)は、親が果たす役割を具体的なルールの形でまとめた本です。「子どもの最高を引き出す」を軸に、声のかけ方から成績との向き合い方までを示します。
教育ジャーナリストと現場のプロ、2つの視点が入っているため、理想論に偏らず実際の場面で使える点が強みです。何をどこまで手伝うべきか迷う親に、線引きの目安を与えてくれます。情報に振り回されて疲れたとき、迷ったら立ち返れる基準になります。まずは気になった章から読み進めてみてください。
親の関わり方が変わる本
中学受験は、子どもの学力だけでなく親の動き方が結果を左右します。ここでは、親の関わり方を見直せる3冊を紹介します。
『中学受験は親が9割』は親の準備の重さを説く
西村則康さんの『中学受験は親が9割』(青春出版社)は、合否を分けるのは子どもの地頭だけではなく親の準備だと説く一冊です。難関中学に多くの生徒を送り出してきた著者が、学年別・科目別の関わり方をQ&A形式で示します。
具体的には、生活リズムを整え、教材やスケジュールを親が管理し、子どもが勉強だけに向かえるようにする関わりを勧めています。何をどう手伝えばよいか迷う親にとって、最初の道しるべになる一冊です。読み終えたら、自分の家庭で真似できそうな習慣を1つ選んでみてください。
「親が9割」を「9割は親がやるもの」と受け取ると、子どもの代わりに問題を解いたり予定を全部決めたりと、手を出しすぎてしまいます。あくまで環境づくりの話だと切り分けて読んでください。
『中学受験 わが子を合格させる父親道』は父親の関わりを描く
鳥居りんこさんの『中学受験 わが子を合格させる父親道』(ダイヤモンド社)は、母親に任せきりになりがちな受験で、父親に何ができるかをまとめた本です。ヤル気を引き出す「神オヤジ」と、子どもを追い詰める「ダメおやじ」を対比しながら、関わり方の分かれ道を示します。
仕事で勉強を直接見る時間が取れない父親でも、家庭の空気づくりや休日の過ごし方で支えられる場面は少なくありません。母親だけに負担が集中している家庭ほど、読む価値は大きいでしょう。まずは週末の関わり方から、できることを1つ決めてみましょう。無理のない範囲で続けると、それが子どもの安心につながります。
『受験は母親が9割』は母親のサポート術を伝える
佐藤亮子さんの『受験は母親が9割』(朝日新聞出版)は、4人の子を難関校へ送り出した母親が、日々の支え方を具体的に語る本です。スケジュール管理から勉強の伴走、生活面の工夫まで、家庭で実践してきた方法を細かく紹介します。
自分の家庭に合う工夫だけを選び取るつもりで読めば、この本は心強い味方になります。 手厚いサポートには賛否があり、そのまま真似できない部分もあるでしょう。家庭でどこまで関われるかを考える材料としては、読みごたえが十分にあります。
親の役割を基礎から知りたい方は、次の記事も参考になります。
親の不安をやわらげる本
受験が近づくほど、親の不安は子どもより大きくなることがあります。ここでは、親の気持ちをやわらげる2冊を紹介します。
『中学受験「必笑法」』は勝ち負けから力を抜く一冊
おおたとしまささんの『中学受験「必笑法」』(中公新書ラクレ)は、必勝法ではなく親子が笑って終えるための考え方をまとめた本です。他人と比べない、頑張りすぎない、子どもを潰さないという3つの姿勢を軸に、力の抜き方を示します。
受験を勝ち負けだけで測らない視点は、直前期の張りつめた空気をやわらげます。 成績や偏差値に一喜一憂して苦しくなった親ほど、読むと肩の荷が下りるでしょう。不安で眠れない夜が増えてきたら、この一冊を開いてみてください。
『桜井さん、うちの子受かりますか?』は親の悩みに答える
「下剋上受験」で知られる桜井信一さんの『桜井さん、うちの子受かりますか?』(産経新聞出版)は、親から寄せられた受験の悩みに1つずつ答えたQ&Aの本です。成績の伸び悩みやきょうだいの扱いなど、口に出しにくい不安を具体的な相談として扱います。
同じように悩む親の質問が並ぶので、「不安なのは自分だけではない」と思える点が心の支えになります。専門家の理想論ではなく、当事者に近い目線の答えが多い点も読みやすいでしょう。受験期は親同士でも本音を言いにくいものなので、同じ悩みを本の中に見つけられる意味は小さくありません。似た悩みの項目から拾い読みしてみてください。
勉強法と志望校選びの本
成績が伸び悩んだり志望校を決めかねたりする時期は、方法を示す本が助けになります。ここでは、勉強法と志望校選びに役立つ3冊を紹介します。
『中学受験 6年生からの大逆転メソッド』は残り時間の使い方を示す
安浪京子さんの『中学受験 6年生からの大逆転メソッド』(文藝春秋)は、時間が限られた6年生からでも成績を上げるための方法をまとめた本です。やるべきことを絞り、最少の労力で合格に近づく60の工夫を具体的に示します。
あれもこれもと手を広げて空回りする家庭ほど、優先順位のつけ方が役に立つはずです。過去問の使い方や苦手科目の削り方まで踏み込むので、直前期の道しるべになるでしょう。伸び悩みを感じたら、いまの学習量を見直す前に開いてみてください。
残り時間が短いほど、教材を増やすより「やらないことを決める」ほうが効果的です。まず今の課題を減らし、合格に直結する範囲へ力を集めましょう。
『中学受験 大逆転の志望校選び』は学校選びと過去問を結ぶ
同じ安浪京子さんの『中学受験 大逆転の志望校選び』(文藝春秋)は、志望校の決め方と過去問対策を1本の流れとして扱った本です。偏差値だけに頼らず、校風や入試問題との相性から学校を選ぶ55の視点を示します。
志望校を成績表の数字だけで決めると、入試本番で子どもの持ち味が出ないことがあります。学校ごとの問題傾向まで見て選ぶ考え方は、併願校を組むときにも役立つでしょう。校風とわが子の性格が合うかまで考えると、入学後のミスマッチも防ぎやすくなります。学校説明会に足を運ぶ前に読んでおくと、候補の見え方が変わります。
『中学受験をするきみへ』は子どもの心と勉強を支える
安浪京子さんの『勉強とメンタルの悩みを解決!中学受験をするきみへ』(大和書房)は、子ども本人に向けて書かれた勉強とメンタルの本です。親が読んで内容を伝えれば、勉強のやり方だけでなく気持ちの立て直し方まで家庭で支えられます。
勉強法の本は親向けが多い中で、子どもの目線で書かれている点が特徴です。親が先に読んで要点を押さえておくと、子どもへの声のかけ方にも迷いが減ります。子どもが自分で読める言葉になっているため、親子で同じページを開いて話すきっかけにもなります。子どもが行き詰まっているときに、一緒に手に取ってみてください。
中学受験の日々を描いた本
方法や心構えだけでなく、実際の受験がどう進むかを物語で知りたいときもあります。ここでは、中学受験の日々を描いた3冊を紹介します。
『下剋上受験』は親子二人三脚の記録を描く
桜井信一さんの『下剋上受験』(産経新聞出版)は、中卒の父親が娘とともに最難関中学を目指した実話です。塾に頼らず、父親が自分で勉強を教えながら受験に挑んだ日々が、包み隠さずつづられています。
華やかな合格体験ではなく、悩みながら進む過程が描かれるため、受験の現実が伝わってきます。塾に通わせれば安心という思い込みが、読み進めるうちにほどけていくでしょう。同じように手探りで走る親にとって、孤独をやわらげてくれる一冊です。親の焦りがどこから来るのかも、他人の記録を通してだと落ち着いて眺められます。走り出す前に、受験の実際の温度を知るつもりで読んでみてください。
『翼の翼』は過熱する親の心を描く小説
朝比奈あすかさんの『翼の翼』(光文社)は、一人息子の中学受験を通して変わっていく家族を描いた小説です。「もっと上へ」と願ううちに、親自身が受験にのめり込んでいく姿がリアルに描かれます。
自分は大丈夫だと思っている親ほど、読むと胸が痛くなる場面があるはずです。 物語の形をとりながら、親が陥りやすい心理を鏡のように映し出してきます。登場する親の言動に、思わず自分を重ねてしまう読者は少なくないでしょう。小説だからこそ、正論では届かない部分にまで踏み込んできます。受験に入れ込みすぎていないか、立ち止まって確かめたいときに開いてみてください。
『勇者たちの中学受験』は直前期の親子を追う
おおたとしまささんの『勇者たちの中学受験』(大和書房)は、3つの家庭の受験直前3週間を追ったノンフィクションです。子どもが本気になる瞬間と、親が我に返る瞬間が、緊迫した現場の描写とともに記されます。
教育ジャーナリストの視点が入るため、物語を追うだけでなく、親の関わり方への気づきも得られます。本番直前に何が起きるのかを先に知っておくと、当日の心構えが変わるでしょう。受験が近づいてきた家庭は、心の準備として読んでみてください。
物語で受験を知るなら、漫画から入るのも1つの方法です。あわせて次の記事も参考になります。
まとめ
中学受験の親におすすめの本は、いまの局面によって選ぶ一冊が変わります。受験を始める前なら『なぜ中学受験するのか?』や『中学受験という選択』で全体像をつかむとよいでしょう。関わり方に迷うなら『中学受験は親が9割』、不安が募るなら『中学受験「必笑法」』が支えになります。
成績や志望校で行き詰まったときは、安浪京子さんの大逆転シリーズが具体的な手立てを示してくれるでしょう。受験の空気そのものを知りたい親には、『下剋上受験』や『翼の翼』といった併走記が向いています。
どの本も、親が一人で抱えた不安を軽くしてくれます。まずは今の自分に一番近いテーマの一冊を選び、今日から少しずつ読み始めてみてください。


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